2016-02

遠い昔の国鉄の分割民営化が、今産む「15の春」。

 先週末、北海道の青年部の集会で話をした。政権批判よりも北海道で今起きていることの原因は何かを話、これから何をすべきかを感じてもらい、政治への関心を強めてもらいたかったからだ。市場原理主義政策の負の遺産を一番感じるはずの地域で暮らす若者だからなおさらだ。
 北海道では学校の統廃合が加速している。義務教育も深刻だが、15歳で親元を離れなければならなくなる高校の統廃合は町の将来を変える。足寄町では地元の足寄高校の定数割れを防ぐため、町営の進学塾経営に乗り出した。町でも進学のために塾に通う子がいるが、塾は車で1時間ほどの帯広市まで行かなければならない。必然、高校移住が増え地元高校へ進む子が減る。その防止のための苦肉策である。足寄高校在学生は町営進学塾には無料で行ける。
 一方、渡島地区の福島町でも高校の統廃合が深刻な問題になっていた。もし地元高校が無くなれば隣町の木古内まで行かなければならず、雪の冬期間は車で1時間を超える通学は無理だ。沖縄の離島では15で親元を離れなければならない高校移住を「15の春」と悲哀をこめて呼んでいるが、同じことが陸続きの地でも起きつつある。
 仮に鉄道が残っていたら北海道での15の春の問題は深刻化していないだろう。福島町には松前線が通っていたが、国鉄の分割民営化の翌年の1988年に廃線。皮肉にも来月、近くを新幹線が通るが地元には関係ない。
 JRになって北海道は経営難のため廃線を進める。分割民営化の時の基金の運用益ではどうにもならない。札幌周辺の路線も赤字である。
 一方、ドル箱の東海道新幹線を持つJR東海は内部留保を溜め込み、自力でリニアを建設するとまで言い切れる。国鉄であれば、いや仮に民営化しても分割をしていなければ関東や東海道新幹線の利益を地方の路線経営に回せたはずだ。鉄道を社会的共通資本、公共資本と考えない面々はそんなことは考えない。
 北海道では新幹線開業が期待されるが、そんな増収は起きない。すでに大阪博多間開業で証明されている。新幹線は走らせるにも金がかかる。開通後も廃線は止まらないだろう。北海道の多くの地域で高校統廃合と一緒に「15の春」があちこちで起こる。経営者は鉄道からバス路線に転換というが、これも証明済みだ。
 かつての赤字ローカル線廃止のときもそんなことを言ってたが、あっという間にバス路線も廃止に追い込まれた。
 遠い昔の、記憶にも無い国鉄分割民営化が今の北海道で「15の春」を産んでいる。公共サービスの重要性、社会的共通資本を守り拡大しなければ日本は地方から沈んで行く。そんな話をした。
 懇親会の始まりのとき、ある青年が駆け寄り、「話に感動しました」と言ってくれた。たった20分足らずの話であったが、幾人かの心には響いたようだ。

2016-02-29 | Posted in 日記3 Comments » 

 

インフレターゲット政策の失敗。

 総務省が昨日、1月の全国消費者物価指数を発表した。生鮮食料品を除く指数、いわゆるコア指数は昨年11月と12月は前年同月から0.1%上昇したが、1月は横ばいに落ち込んだ。東京都の区を除くと0.1%のマイナスだった。
 日銀は生鮮食料品とエネルギーを除くコアコア指数を重視しているが、それだと1月の上昇率は1.1%で昨年12月の1.3%上昇から伸び率が鈍る。1年ぶりの鈍化だった。日経では3月以降さらに物価上昇率は鈍るという専門家の声も報道している。
 量的・質的緩和導入の際に2年間で物価上昇率2%という短期決戦に黒田日銀は事実上敗北した。それなのにさらにマイナス金利に突っ込んだ。銀行や個人の預金にマイナス金利が付くかもしれないという不安感を与えてまでお金を投資に向かわせようとする政策は、機関投資家など一部の面々にとってはありがたいだろうが、普通の人は苦しめられる。住宅ローンの金利などが下がり不動産投資が増えるかもしれないが、所詮これもお金持ちのこと。
 株価重視の政策は庶民政策ではない。庶民生活を苦しめるだけのインフレターゲット政策は、生活の面でも政策の面での失敗だった。市場原理主義に染み付いた金の亡者たちの暴走なのだ。トリクルダウンなどあるはずがない。

2016-02-27 | Posted in 日記No Comments » 

 

野党共闘が進むほど同日選の可能性高まる。

 とうとう維新は「頼むから民主党に入れてくれ」と懇願しだした。本当は党名だって「民主党」でかまわない、といったものだろうが、最後の面子を立てた形で「党名は検討」となるようだ。それでも党名は検討したがやはり「民主党」で落ち着くか、「◯◯民主党」か「民主党◯◯」くらいで略称は「民主党」にならざるを得ないだろう。訳もわからない党名にしたら有権者も混乱するし、何の得にもならない。何より4月の二つの補選に響く。そこは維新の皆さんも承知だろう。面子を立ててもらっただけで納得済みのはずだ。そうなるとさすがに反対とは主張しがたい。
 ただしこれは衆議院の話で、参議院の維新議員は前回当選時に存在した民主党に合流することはできない。だから参議院では統一会派とはなっていない。溝が大きいのである。今の合流の方針がすんなりと両党でまとまるとは限らないのも事実だ。
 さて仮にそうやった野党連携が進みだすと、これに敏感になるのが官邸だ。共同通信社の世論調査で安倍内閣と自民党支持率が下がった。マイナス金利のサプライズも続かず、官製春闘と力を入れた割には賃上げ増は期待できないような経済情勢になってきた。甘利スキャンダルも今後どうなるかわからない。つまり安倍政権に取っては先行き不安は増すばかりなのである。
 共産党も1人区で擁立見送りを決定するなど真剣な姿勢を見せて来た。維新の民主党への合流で本格的な野党共闘が動き出せば、安倍総理が描く夏の参議院選挙で憲法改正に必要な3分の2の議席確保は困難になる。とすれば野党共闘を潰しに出る。それは同日選である。さすがに同日選となれば各党の思惑が先行し共闘は混乱する。そこにつけ込んで一気に決戦に出てくる。
 とすれば同日選でも闘える野党共闘を民主党は目指すしかない。そのための維新との合流である。野党共闘だけでは同日選は闘えない。問題は維新だけでなく社民党や生活の党との関係をどうするかである。そこまでの動きができれば仮に同日選になってもそれなりの闘いができる。岡田代表の政治力にかかっている。

2016-02-24 | Posted in 日記1 Comment » 

 

米露がシリア停戦合意。

 米露がシリア内戦の停戦に合意したようだ。盛り上がる(?)国内の大統領選をよそに、オバマ大統領は次の大統領が誰になろうと後戻りできないよう着々と平和外交を進めている。合意にはISとヌスラ戦線の2勢力を除く全ての反政府軍と政府軍が入る。合意の効力は27日から。仮にうまくいけばシリア内戦は集結に向かう。ただ気がかりなのはトルコ。エルドアン大統領は自身の権力安定のため、クルド人に対する弾圧を昨年夏頃から強化し国内は不安定化しだした。テロも起きているがどの勢力が起こしているのかはっきりしない。トルコ政府はテロを理由にシリアの反政府勢力への支援を継続する姿勢。今回の合意に対するトルコの姿勢がシリア停戦に大きく影響を与えるだろう。
 アメリカは表ではプーチン大統領を非難し反露の姿勢を演じている。しかしロシア抜きにはシリア問題が解決しないのは承知。以前、シリア空爆を思いとどまる際もプーチンの要請に呼応する形で九死に一生を得た。あの時、空爆を実施していたらイラン制裁解除も今回の合意もなかったろう。ウクライナ危機も停戦合意事項である東部の自立的政策をポロシェンコ大統領側が実施すれば片がつく。しかしそうさせたくない勢力がいるから政権が不安定になり、合意が進まないでいる。それでもいずれ動くと思う。
 オバマはなるべく米軍が出て行かなくてもいいように手を打つだけ打って任期を終えるだろう。その流れで東アジアの安全保障を考えなければならない。中国との関係をどうしていくか。アメリカに頼らない外交姿勢が試される。

2016-02-23 | Posted in 日記No Comments » 

 

シャーリーとヒンダ。

 「シャーリーとヒンダ」?なんのこっちゃ〜、てな思いでしょう。僕もそうだったが、高野孟さんが自身の雑誌「インサイダー」で紹介しているので知った。勉強不足ですな。お2人は92歳と87歳のバリバリの反戦活動おばあちゃんでオーストラリアに実在のお方。その存在と行動を知ったノルウェーの監督さんが興味を持ち、実際にカメラを回してできた作品が、「シャーリーとヒンダ。ウォール街を出禁になった2人」という映画。2人が経済に目覚めウォール街に押し掛け、追い出されるらしい。→http://www.shirley-hinda.com
 高野さん、観に行かなければと思い立ったが、もうすでに都内では上映終了。何とか上映中の映画館を見つけて茨城までいったそうだ。面白そうなので僕も観たいと思うのだが、これから観れそうなのは神奈川県の映画館。何とかならないかな。
 さてその映画の中でケネディ大統領が暗殺される前の演説をおばあちゃんらがYouTubeで見つける。ケネディがGDP至上主義を痛烈に批判する演説を行ってる。これも知らなかった。高野さんが古い勉強メモファイルからと言って一節を紹介している。なるほどと思うし、暗殺されるのも無理からぬと思うので、高野さんに断りつつ紹介する。
 「アメリカは世界一のGNPを誇っている。でも、そのGNPの中には、タバコや酒や薬、離婚や交通事故や犯罪や環境汚染、環境破壊に関わる一切が含まれている。戦争で使われるナパーム弾も、核弾頭も。警察の装甲車もライフルもナイフも、子どもたちにおもちゃを売るために暴力を礼賛するテレビ番組も。しかしそこには、子どもたちの健康、教育の質の高さ、遊びの楽しさは含まれない。詩の美しさも、市民の知恵も、勇気も、誠実さも、慈悲深さも…。要するにこういうことだ。国の富を測るはずのGNP からは、私たちの生きがいのすべてがすっぽり抜け落ちている」
 そうだ!そうだ!ケネディすごい!54年も前にこんな演説してたんだ。彼が暗殺されずにいたら世の中どうなっていただろう。

2016-02-22 | Posted in 日記No Comments »