2016-02

壮大な茶番劇。

 イギリスのキャメンロン首相がEUに突きつけていた改革案をめぐる総会が、全会一致で改革案を承認したようだ。会議は延長を重ねた。当初の帰国予定時間を過ぎても帰れないキャメロン首相が、怖い顔つきでインタビューに応じていた。しかし、「大丈夫。着替えるシャツは持って来ている」とのジョークも披露していたようだ。
 困難を極めた総会で各国を譲歩させた。これでイギリスはEUに残るしかない。といった戦略で離脱の是非を決める国民投票を乗り切る思惑であろうキャメロン首相。方やメルケルやオルブライトのEU組もEU改革の成功を全面に押し出すだろう。
 しかし、これは各国首脳が演じた壮大な茶番劇と言っても良い。イギリスの「栄誉ある孤立」の時代は終わった。アメリカの相対的力の低下によって世界は多極化、グループ化の世界に入った。パックスブリタニカ後のイギリスは、そのあと覇権国となったアメリカのパックスアメリカーナの中でしか「栄誉ある孤立」を演じきれなかった。そのパックスアメリカーナが崩壊した以上、何処かのグループに属すしかない。まさか遠い中国とはいかない。
 イギリスの国民投票は早まるだろう。このつくられた成功熱が冷めないうちに国民投票に持ち込み、離脱を阻止する。これが世界の政治家が演じた茶番劇の幕引きとなる。その後の孤立化と国力の縮小を覚悟し英国民がEU離脱を決定するとしたら、それはそれで大変なことになるが。

2016-02-20 | Posted in 日記1 Comment » 

 

何も残さない「法の番人」。

 一昨年の7月1日。安倍内閣は戦後の全ての内閣が一貫して「憲法違反」であるとしてきた「集団的自衛権の行使」を容認する閣議決定を行った。国民の多くが反対、懸念する中での強行、しかも国会閉会中の蛮行であった。そしてその1年後、閣議決定にもとづいて安保関連法案が強行採決される。憲政史上の大転換であり、いまだ国民は納得していない。
 さてその「集団的自衛権の行使は憲法違反」との歴代内閣の姿勢の論理的主柱であったのが内閣法制局である。今回の安倍内閣の大転換に内閣法制局はどう対応したのであろう。集団的自衛権は「自国が攻撃されていないのに他国を攻撃すること」という「質」の問題であって、攻撃の「量」の問題ではない。このことは内閣法制局は熟知してはずである。しかし安倍内閣は「量」の問題にすり替えてしまった。この点に対してほぼ100%と言っていい憲法学者や内閣法制局元長官の面々が反対する。それだけの論理転換を内閣法制局は本当に「是」としたのか。
 私は、1月21日の決算委員会で7月1日の閣議決定に関する内閣法制局内の全文書の開示を求めた。翌週、内閣法制局が分厚い文書一式を持って部屋にやってきた。しかしその全部が安保法制懇と与党協議の際に主催者が配布した資料であった。つまり内閣法制局が作成した資料ではない。内閣法制局が作成した資料は一枚だけあった。それは件名「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目ない安全保障法制の整備について」ついて、とし「別添について、内閣官房国家安全保障局から照会があったところ、意見がない旨回答してよろしいか、決裁を願います」という決裁文書である。起案者名と横畑長官以下4名が印鑑が押されている。そしてその後ろに安全保障局が作成した、あの新3要件が含まれる8枚の閣議決定文書案が綴られている。一字の訂正も必要ないから「意見がない」とした。
 何度聞いてもこれ以外は存在しないと言う
 内閣法制局内でも様々な意見があってしかるべき最重要案件であるはず。無いはずがない。議論を進めることによって、「意見がない」旨の結論に至った。いや内閣法制局の意見を加味して閣議決定文書案が作られたはずではないか。しかし現実は、内閣法制局の意見や考えが全く残されていないことになる。一枚の決裁文書以外は長官の国会での答弁議事録しか後世に残らない。公文書管理法では、「国・・・の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること・・・国民主権の理念にのっとり・・・国・・・の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」を目的に、法令の制定又は改廃及びその経緯、閣議・・・の決定又は了解及びその経緯がわかる文書を作成しなければならないとしている。内閣法制局の行為は、この法律に違反すると考えて当然だ。
 そう考えていると先週、朝日新聞の記者が来て「文書が内閣法制局に残されていた」という。コメントを求められたので述べた。その記事が17日の同紙朝刊の一面を飾った(それはこちらから→朝日新聞2月17日朝刊)。

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 これほど議論の経過を隠す理由はなんだろうと考えていると、一つの理由が浮かんでくる。7月1日の閣議決定に対する内閣法制局の責任回避。そう考えると辻褄があう。どう考えても憲法違反だし、将来違憲判決だって想定される。そんなやばい閣議決定に横畑長官らは関わりたくない。しかし官邸の政治力で関わらなければならなくなった。ではどうする。将来の歴史的批判だけは極力避けるようにしたい。すべて安倍内閣が強権的にやったもの。そのための徹底した証拠の隠滅。長官の国会答弁を詳細に読み直さなければならないが、閣議決定に対する内閣法制局の責任と読み取れる言質は残していないかもしれない。何れにしても国民の知る権利など毛ほども尊重していない我が国官僚の面々であることは間違いない。
 もうしばらく国会での内閣法制局の追求が続くだろう。

 

2016-02-19 | Posted in 日記No Comments » 

 

超寒いです。沖縄。

昨日、参議院特別委員会の仕事で石垣島に来た。一昨日の福岡は寒かった。東京では春一番が吹き、相当気温も上がったようだが、福岡は冷たい風が吹き空もねずみ色の冬空だった。
コートは邪魔だが仕方ないか、と思って沖縄に来た。ところが参った。
何と気温12度。寒い寒い。風も冷たい。こんな沖縄ってあるのと言いたくなる天候だ。もっと南の八重山の石垣島に来ても同じだった。風邪を引きそうだ。今日も気温は上がりそうもない。空も寒そうである。
でも聞けば一昨日は27度の真夏日だったという。15度もの寒暖差に地元の人も参ったといった様子だった。
4泊5日の旅を終え今日東京に戻る。あっちはどんな気候かなぁ。
via PressSync

2016-02-16 | Posted in 日記No Comments » 

 

間が悪かったマイナス金利のタイミング。

 日銀のマイナス金利が実行に移るのはこの16日から。それなのに早くも政策の効力が雲散霧消した。アメリカの景気悪化に加え、ドイツ銀行発の欧州金融機関の信用リスクで世界同時の株安が被っている。黒田サプライズの29日だったが、結果は実に間の悪い時のサプライズだったことになる。
 加えて日本株安と円高は、日銀マイナス金利策の底の浅さの露呈が拍車をかけた感がある。日銀発表では金利マイナスになる預金額は10兆円ほどで日銀保有預金のわずか。これだと銀行が実際に金利を払わなければならなくなるのは2018年頃からとの分析もある。つまりしばらく放っておいてもいいわけだ。大手が金利を下げだしたのは、今後マイナス金利が拡大されるだろうという心理と世界的な長期金利マイナス化が原因。
 このままでは銀行が無理に融資を拡大する必要もない。そうすると早くも追加緩和の時期と内容が問われることになる。ECBではすでに3月にマイナス0.4%に引き下げるのではと言われている。欧州銀行で最高のマイナス金利はスウェーデンの中銀でマイナス1.10%。日銀もECB程度は視野に入れているだろうが、それで治まる保障も無い。果てしなき金融緩和地獄である。
 日銀が底の浅いマイナス金利策にしたのは地銀の経営を悪化させないよう配慮したためと思われる。実際欧州では銀行の収支が悪化し、最近の信用リスクの高まりが株安を招いている。黒田日銀はどうするか。引くも進むも地獄の金融緩和から抜け出す時の日本はどうなっているだろう。

2016-02-10 | Posted in 日記No Comments » 

 

首相、同日選まだ射程。

 昨日、安倍首相は自民党の細田博之選挙制度改革問題統括本部長に党として定数削減に取り組む姿勢を明確にするよう指示した。自民党は議席減につながる小選挙区の定数削減には積極的ではない。1票の格差を是正する程度でお茶を濁すつもりだったろうが、首相から再検討を促されたことになる。
 この話は結構大きい。最高裁から違憲状態を突きつけられたまま総選挙を実施する訳にはいかない。自らが首を切られる解散は議員なら誰もが嫌だから、抜本的選挙制度改革に手を付けないことは、その分、首相は解散がしにくくなる。そんな自民党内を見透かしたような首相の指示は波紋を呼ぶ。首相は「同日選挙実施」のハンドルを手放していないことを宣言したわけだ。
 甘利スキャンダルで同日選は無いと考えていたが、内閣支持率が下がらなかったので首相は自信をもった。一方、日銀の追加緩和は思いもよらない早々の失速状態だ。株価も元に戻り、円もマイナス金利に関わらず買われている。今朝もブルームバーグのキャスターがそのことに触れていた。アベノミクスの失速は日増しに明らかになるだろう。
 総選挙実施は夏までがタイムリミットと考えても不思議ではない。同日選となると確実に大阪から橋下さんが名乗り出るだろう。そうなると自民党と大阪維新で衆参3分の2近く議席確保も現実味を帯びてくる。
 対決の構図は描きやすくなっているはずだが、その割には我が党の動きは鈍い。

2016-02-09 | Posted in 日記No Comments »