2016-02-10

間が悪かったマイナス金利のタイミング。

 日銀のマイナス金利が実行に移るのはこの16日から。それなのに早くも政策の効力が雲散霧消した。アメリカの景気悪化に加え、ドイツ銀行発の欧州金融機関の信用リスクで世界同時の株安が被っている。黒田サプライズの29日だったが、結果は実に間の悪い時のサプライズだったことになる。
 加えて日本株安と円高は、日銀マイナス金利策の底の浅さの露呈が拍車をかけた感がある。日銀発表では金利マイナスになる預金額は10兆円ほどで日銀保有預金のわずか。これだと銀行が実際に金利を払わなければならなくなるのは2018年頃からとの分析もある。つまりしばらく放っておいてもいいわけだ。大手が金利を下げだしたのは、今後マイナス金利が拡大されるだろうという心理と世界的な長期金利マイナス化が原因。
 このままでは銀行が無理に融資を拡大する必要もない。そうすると早くも追加緩和の時期と内容が問われることになる。ECBではすでに3月にマイナス0.4%に引き下げるのではと言われている。欧州銀行で最高のマイナス金利はスウェーデンの中銀でマイナス1.10%。日銀もECB程度は視野に入れているだろうが、それで治まる保障も無い。果てしなき金融緩和地獄である。
 日銀が底の浅いマイナス金利策にしたのは地銀の経営を悪化させないよう配慮したためと思われる。実際欧州では銀行の収支が悪化し、最近の信用リスクの高まりが株安を招いている。黒田日銀はどうするか。引くも進むも地獄の金融緩和から抜け出す時の日本はどうなっているだろう。

2016-02-10 | Posted in 日記No Comments »