日記

立憲フォーラムの目的

事務局長を勤めている立憲フォーラムは、今月24日に会期内最後の勉強会を開く。講師にピーター・バラカンさんを招いている。そのバラカンさんのインタビュー記事が6月19日の朝日新聞に掲載された。その中でバラカンさんは我がフォーラムのことに触れてくれていた。

「「立憲フォーラム」という憲法改正問題の集まりに誘われ、参加することにしました。憲法は政治家のためではなくて国民を守るためにあるのに、今の政権は自分たちが人々を管理しやすくするために憲法を改正しようとしている印象がある。それは大変な間違い。ぼくは外国籍だし、参政権もないけれど、日本の皆さんがそのことに気づいていないんじゃないかという危機感があるんです。・・・政治家はよく愛国心に訴えて人をまとめようとしますが、日本の人はアイデンティティーを国家に重ねる人が驚くほど多い。それが健全かどうか。・・・自分の身を守るためにもそのことを自覚することがとても大事だと思います。」

20歳以上の男女全てが投票できる今の制度が最初に実施されたのが、1946年の総選挙。しかしこれは、国民の強い求めに応じて実施されたのものではない。当時は占領下。西洋的資本主義は導入されていても、権利も保障さていない国民、文明人にはほど遠い民衆だから、軍国主義への道を黙って許してしまった。だから日本国民に民主主義を植え付ける必要性が不可欠。との連合国側の民主化政策の一つとして始まった普通選挙であった。

それまでの日本の民衆は、政治という国の取り決めは、貴族が、鎌倉以降は武士が、明治以降は天皇を中心に偉い人たちがやるものであると思っていた。つまり日本の民衆は、自分たちが権利を権力者から取り返すという過程・・・西洋では市民革命であったり、植民地であれば独立戦争であったりするが・・・を経験していない。こんな民族はそう多くはない(もちろん部分的には様々な抵抗闘争があったが、全国的に広がり革命までには至っていない。明治維新は支配層である武士階級の内部革命であり、民衆蜂起の市民革命とは異質)。これを理由に、憲法改正派の主流は、「それぐらい日本人は天皇を中心に家族的に穏やかに一つであったのです」と結論づける。一方で改正派の中でも異質な・・・あえて言うなら西洋派か・・・小林教授は「抵抗すらできないほど民衆は抑え付けられて、従順であることに慣らされていた」という。

諸説あるが、とにかく敗戦で占領国になって突然、世界最先端の憲法を制定し、民主主義国家の仲間入りさせられた日本であることは間違いない 。問題は日本国憲法が求める日本国に相応しい日本国民であるか否かである。戦前までの長い長い権力への従属期間の意識が現代日本人にしみ込んではいないか。バラカンさんの、「日本の人はアイデンティティーを国家に重ねる人が驚くほど多い。それが健全かどうか。」との指摘は、そのことを西洋人として直感的に感じているからこその指摘であろう。

現代日本人は、家族制に回帰し、国家権力を強化する方向の「憲法改正草案」を問う巨大与党の様々な圧力に、対抗し得る民衆であるだろうか。

その前に、対抗できる政治的力が存在し得るのか。

7月21日の参議院選挙はその戦後日本人の根本を総括するたたかいのスタートラインとなる。スタートラインに着く前に負けていては話にならない。戦後の民主主義の深化を信じ、日本がもっとより良きに国になるためのたたかいが始まっている。そのために、我が立憲フォーラムは生まれたと思う。

2013-06-21 | Posted in 日記2 Comments » 

コメント2件

 えさきなおこ | 2013.06.21 23:32

私は、時々思います。自分は、お国のために生き捧げているんではないかと?戦時中のお国のためには、ありえない生き方だと頭の中では思っているはずのに・・・そんなことですか?お国のために生きることが、名誉なことではないはずなんだけど・・・それは、生きがいのあるすばらしいことだと、どこかで思っています。そんなことですか?・・・どんな時代がやってくるのかとても楽しみです。あなたは、そんな事を思うことはありませんか?

 etakashi | 2013.06.24 8:48

一人一人の声の違いがある。それら声の大小などをお互いが調整してハーモニーが生まれると思う。全て同じ声なら合唱なんて面白くないはず。あらゆる基本に個人が尊重されるという思想があるのが、民主主義の普遍の原理です。これをなくせば近代民主主義ではなくなります。ただの国家主義です。問題はそのような個人の権利意識・・・わがままを通すという独善主義を超えたもの・・・が確立されているかどうかです。そんな国民の集まりが国となるはずです。国を想う気持ちは、個の権利意識が日本より遥かに確立されたアメリカの方が強いかもしれません。国を想うという国民の素直な心(憲法の精神)にその国の権力者(憲法を守っているか)が応えているかです。国民の多くが国を愛せなくなたったら、国を変える。つまり革命です。これを抵抗権といいます。この思想には国家権力はいつでも国民にとって悪になりうるというものがり、この抵抗権はアメリカ独立宣言でも保障しています。憲法で規定して国民に守らせるという昔の方法(大日本帝国憲法)では納得しない国民に今の日本の人々はすでになっているかどうかでうね。

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