2013-06-05

日記193 不穏な雰囲気

昨日のアメリカの市場はダウで77ポイント下落、ナスダックもS&Pも同様に下げています。先月はじめに、FRB議長の金融緩和政策の見直し報道が流れると下落し、その後「当分続く」と期待すると買いが増え株価は上がるなど、乱高下を繰り返し、平均して下げ基調のようです。日本でも同じように上り下がりを繰り返しつつ、下げ基調のは同じです。株から逃げていったマネーが普通だったら比較的に安心の国債に向かうはずが、そうならずに金利が上がり、政府や日銀の思いとはちょっと違った不穏な動きを市場はしています。

日銀は今世紀になって一度金融緩和をして円安へ誘導し、日本は輸出産業を中心に空前の利益をあげ、「いざなみ景気」という戦後最長の好景気となりました。そんな好景気があったことを知る人は少ないのですが、その理由はいわゆるデフレだったからです。ちょっと変な話ですが、円安となれば当然輸入物価が上がるので消費者物価も上がるはずですが、日本は物価が下がるデフレでした。確かに石油など一部は値上がりしました。しかし物をつくる原価はあがってもそれを一般的に価格に転嫁できて初め消費者物価は上がります。その頃の日本は、バブル以降の価格安競走に入っておりとても転嫁できる状況にはありません。特に大手の製造業や小売業と契約している下請け企業は、顔色を伺ってとても価格転嫁はできません。

そこで価格を上げられない経営者は何をやったかというと賃金を抑えることでした。日本の勤労者の約9割は中小企業で働いています。中小企業は利益の約8割を人件費に使っています。そこにしわ寄せがいきました。そこを切り詰めたわけですから、日本の多くの勤労者の賃金は下げられたことになります。当然失業者が増えたり、正規が非正規に置き替えられたりしたわけです。賃金が安くなり続ければ、消費意欲は減退します。さらに物が売れなくなり、景気が悪くなり、デフレが進むという悪循環に落ち入っているのが今の日本です。

つまり今のデフレは賃金デフレが原因なわけで。だから、安倍総裁は賃金を上げてとしきりに経営者団体に発信しているわけですね。一部企業は上がっても相対的に勤労者の消費意欲が向上するような賃金アップが可能か。どうでしょうか。うまくいかなければ、日銀も自らの信用を落としてまで賭けに出た今回、非常に危険です。

地政学的には時代錯誤の感がある安倍総裁。集団的自衛権容認や中国、韓国との対立などアメリカによかれと思ってやったことが、アメリカから釘を刺されたりしています。最近ではアベノミクスに対しても批判的なコメントがあちらのメディアから発信されだしました。不穏な雰囲気はますます強まっているように思います。

 

 

2013-06-05 | Posted in 日記No Comments »