日記

どん詰まりの黒田日銀。

 黒田日銀総裁が30日の講演で「まず行動すべきは日銀」とした上で、賃上げを促進するよう労使双方に求めたことを日経がWeb記事で伝えている。以前、クルーグマンの話で日銀総裁が賃上げを求める「怪」を書いたが、いよいよおかしくなってきた。
 かつて総裁は財政金融委員会で共産党の大門議員が「賃金が上がらず物価だけ上がることはあってはならない」と強調すると、黒田総裁は「物価と賃金は同時に上がる」と訳の分からない応えをした。それと同じように今度も「物価と賃金は、理論的にも実証的にもおおむねパラレルに動く」と指摘したそうだ。確かにそうである。物価も賃金も上がっていない。まさにパラレルである。そして「卵が先か鶏が先かという問題であって、デフレという竦み(すくみ)の状況を打破するには、誰かが断固たる決意をもって物事を変えなければならない」だそうだ。何をこの人は言いたいのだろう。
 さらなる量的緩和の期待をこの10月に裏切った総裁。その実情は「もう打つ手無し」のはず。国債も日銀だけが買いあされない。切羽詰まった中で今度は脅しに出たというところだろう。日経も「市場混乱などのリスクが顕在化しそうになれば、日銀はためらうことなく行動を起こす。だから、経営者も労働組合もデフレ時代の発想から脱却して賃上げに動いてほしいという(総裁の)メッセージに労使はどう応えるのか」と御用新聞極まりない言い方で記事を締めくくる。
 噛み砕いて言うと、「とにかく賃金を上げてくれ。そうでないとアベノミクスも異次元の量的緩和も眉唾だったことが国民にバレてしまう。でもこれ以上日銀は動けない。でもそんなことは言えないからよろしく頼む」ということ。
 「まずは行動すべきは日銀」と勇ましい空約束しかできないほど黒田日銀はどん詰まり状態なのだ。

2015-11-30 | Posted in 日記No Comments » 
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