2015-11-28

横浜寿町に見る日本の今。

 四面楚歌のアベノミクスであるが、株価がまだ2万円近くで維持している間は何とか支持を持ちこたえる。しかしその間に国民の資産をドブに捨て続けている訳だから我が国は日々深刻になっている。 
 昨日、横浜市にある寿町を訪ねた。そこは大阪のあいりん地区や東京の山谷と同じ日雇い労働者が集まる街。一泊2000円程度の簡易宿泊所が林立する。人口推定6300人ほど、その51%が65歳以上という大都会の中の超高齢化地区である。歩いてみて気づくのは住民のほとんどが男性ということ。住民の高齢化が進めば当然要介護者も増える。
 20年ほど前、そうなることを予測した人がこの地区にいち早く介護保険事業を立ち上げた。それが特定非営利法人「ことぶき介護」。現在30名を超える職員で事業にあたる。自治労の組合員だ。
 要介護4の三好さんが住む宿泊所を訪問した。3畳足らずの部屋にベッドを置くとほとんどスペースはない。三好さんはそこで生活する。寝たきりまではいかないが介助がなければ生活はできない。三好さんのような人がこれからもここでは増え続ける。案内してくれた梅田さんは、「生活保護住居費の特別基準の68000円がなくなり、一般基準の52000円に引き下げられたので今後住み続けられるかどうか」と話す。つまり一泊2000円だと30日で6万円。一般基準では足りないのだ。現在は経営者の判断で6か月の猶予期間を設けているが、その期間は年内で切れる。
 一日契約の簡易宿泊所が無ければここの多くの住人は居場所が無くなる。確かに月6万円は安くはないがここに住む人々の生活のよりどころなのである。有料だが小さなんお風呂も宿泊所には整備されている。おどろくことにその経営者のほとんどが在日の皆さんだという。感謝するものの日本人経営者がほとんどいないことに憤りも感じてしまう。
 今、300m四方の寿町内に7つほどの介護事業所がある。それだけ要介護者が多い。皆、かつかつの費用の中で運営している。
 安倍政権は新3本の矢の一つで介護離職ゼロにすると勇ましい。しかしその方法は何ら示していない。地方の施設では人が集まらないから離職者ゼロどころではないと悲鳴をあげていた。富裕者向けの高級施設でなければ介護保険の報酬だけでは介護士さえ集まらなくなりつつあるのが介護現場の現実である。
 誰でもが高い確率で世話になる介護。その現場が悲鳴をあげている。予算の裏付けも方法も示さずに介護離職ゼロなど無責任に極まる。介護職の社会的地位を上げ処遇を改善するしか方法はない。そこにお金を使うしか方法はない。誰でもわかっているがそれをしない。ドブに捨てつづけるお金をなぜ国民生活の向上に使わないのか。寿町の今が明日の東京などの大都会の姿である。いや10年後の東京はもっと悲惨かもしれない。都会の高齢者数を減らすために、高齢者移住を進めるなど国民を愚弄しすぎる政治や官僚行政にいつまでも付き合っていたら再び日本は地獄を見ることになる。

2015-11-28 | Posted in 日記3 Comments »