2015-12-18

異次元なるもの末路は。

 三菱地所はそうとう儲かっているのだろう。東京駅前に高さ390mの日本一高いビルを建設するらしい。1兆円を超える巨大プロジェクトだそうだ。オイルマネーで潤いお祭り騒ぎの中東のどこかの国の話ではない。成長から成熟への道を歩まなければならない時代にいる日本。それも江戸文化が見直されだしたこの時代の東京の話だ。いつまで成長、金儲けを追い求めるのかと情けなくなる。東京の今の建設ラッシュはまさに異常だ。千代田、中央、港などの東京の中心区であればどこへ行ってもビル工事の現場にぶつかる。異常な量的緩和のマネーがこんなところでうごめいているのだから一般の消費に回るはずもない。資産バブルで儲かっているのは関係する一部の企業や東京の土地持ち資産家だけだ。
 異次元がつく二つの政策、日銀の量的緩和と東京開発の先に何があるのだろう。決して明るいバラ色の未来とは思えない。
 東京に住んでいると感じなくなるが、九州などそれ以外の所から帰ると東京の異常さにいつもながら驚く。例えば夜、空港から都心に向かうとき品川に近づくあたりで見る景色はまるでSF映画の一場面のようだ。巨大な黒い蟻塚のような高層ビルが立ち並ぶ。規則正しく区分けされた部屋の光が黒い塊の中から漏れている。そこに住むものを人間と考えるにはあまりにもかけ離れた光景。今にも羽の生えた生き物が出てきそうといつも思う。仮に100年、数世代にわたり住んだとしたらどうだろう。人間的何かが失われているのではないか。それほどたった数十年前私たちの暮らし、これまでの常識的人間のすみかとしてはかけ離れている。
 考えればいつ直下型の巨大地震が起きても不思議ではない地域だ。それにもかかわらず自然に対し戦いを挑むように建設し続けるものとは、人を集め続けるものとはいったいなんだろう。「理想」や「夢」といったものではないのは間違いない。
 アメリカではFRBが利上げを決めた。国内景気の上向きを理由に挙げるが、本当はお金を擦り続けることの限界と代わりにそれをやってくれるところが見つかったからではないか。日本と欧州。この地域のマネーが今度はアメリカに向かう。ますます日本と欧州は量的緩和をやめられなくなった。
 異次元の政策は異次元だからやり続けるとおかしくなる。まるでブラックホールのように果てしなく人やカネ、モノを吸収し続ける東京。吸い続けるものが無くなったブラックホールはついに蒸発して消えてなくなるという。東京はどうなるだろう。そう考えると東京駅前の超高層ビルの完成は平成39年度という。途中でビル建設が止まることだってありうるかもしれない。その時、なぜあの時、政策転換ができなかったのかと嘆くかもしれない。そうならないように今、頑張るしかない。

2015-12-18 | Posted in 日記No Comments »