2015-11

どん詰まりの黒田日銀。

 黒田日銀総裁が30日の講演で「まず行動すべきは日銀」とした上で、賃上げを促進するよう労使双方に求めたことを日経がWeb記事で伝えている。以前、クルーグマンの話で日銀総裁が賃上げを求める「怪」を書いたが、いよいよおかしくなってきた。
 かつて総裁は財政金融委員会で共産党の大門議員が「賃金が上がらず物価だけ上がることはあってはならない」と強調すると、黒田総裁は「物価と賃金は同時に上がる」と訳の分からない応えをした。それと同じように今度も「物価と賃金は、理論的にも実証的にもおおむねパラレルに動く」と指摘したそうだ。確かにそうである。物価も賃金も上がっていない。まさにパラレルである。そして「卵が先か鶏が先かという問題であって、デフレという竦み(すくみ)の状況を打破するには、誰かが断固たる決意をもって物事を変えなければならない」だそうだ。何をこの人は言いたいのだろう。
 さらなる量的緩和の期待をこの10月に裏切った総裁。その実情は「もう打つ手無し」のはず。国債も日銀だけが買いあされない。切羽詰まった中で今度は脅しに出たというところだろう。日経も「市場混乱などのリスクが顕在化しそうになれば、日銀はためらうことなく行動を起こす。だから、経営者も労働組合もデフレ時代の発想から脱却して賃上げに動いてほしいという(総裁の)メッセージに労使はどう応えるのか」と御用新聞極まりない言い方で記事を締めくくる。
 噛み砕いて言うと、「とにかく賃金を上げてくれ。そうでないとアベノミクスも異次元の量的緩和も眉唾だったことが国民にバレてしまう。でもこれ以上日銀は動けない。でもそんなことは言えないからよろしく頼む」ということ。
 「まずは行動すべきは日銀」と勇ましい空約束しかできないほど黒田日銀はどん詰まり状態なのだ。

2015-11-30 | Posted in 日記No Comments » 

 

トルコの勇み足か。

 フランスでのテロが欧米列強の結束を強めることになり、結果ISISが自ら首を絞めることになるのではといった予測をブログに書いたのが11月22日のことだった。気になるのが、そのことを心良く思わないサウジアラビアやイスラエル、そしてトルコの動きだった。
 トルコは静観しないだろうとも書いた。残念ながらその通りになってしまった。それもロシア軍機の撃墜とは最悪の動きだ。トルコは領空侵犯を繰り返したので自国領土で撃墜したというが、当然ロシアの主張とは食い違う。仮にトルコの言う通りだとしても、ロシア機が領空にいたのはたった十数秒である。過激すぎる行為と言わざるを得ない。
 思えばエルドアン政権は今年に入り不安定化している。エルドアンは今は大統領だが2003年に権力に着いた時は首相だった。12年もの長期政権である。権力は腐敗するという言葉もある。長くなればそれなりに強権的になるのはつきもの。春の総選挙では与党であるAKP(公正発展党)が敗北。原因はクルド人の政党PKKが躍進したことによる。トルコではこのクルド人の独立問題を長年の火種として抱える。憲法改正して長期に大統領の座にいるつもりのエルドアン大統領にとって、この敗北は痛かった。そこでクルド人政策を転換しトルコ人のナショナリズムを煽りはじめる。そして11月再び総選挙を実施するとAKPが勝利する。不安定化しているとはこのような理由による。
 ややっこしいがクルド人の居住地域はトルコ、シリア、イラク、イランにまたがっている。シリアの内戦は政府軍と反政府軍そしてISISの三つ巴の戦いとなっており、トルコは反政府軍を支援してアサド政権打倒の立場。理由は内戦が収束しアサド政権が存続すればシリアに準国家的クルド人自治区ができる可能性があり、これをトルコは嫌っていると言われる。
 だから以前のブログでトルコが静観しないとした。何らかの動きをするに決まっているはずだった。言うまでもなくトルコはNATOの一員で加盟国は集団的自衛権で結ばれている。露土戦争になれば第3次世界大戦勃発も絵空事ではなくなる。そんな訳でロシアは戦争を仕掛けてこないなどと思ったことだろう。あわよくば反ISISでまとまる連合国に楔をうてるとも思ったが、今の所そんな塩梅では進んでいないようだ。
 撃墜はエルドアン大統領の勇み足になるのではないか。ロシアの経済制裁によってただでさえ不安定な大統領の基盤が揺らぐとさらに強権化に走り、今度はトルコが紛争化するかもしれない。静かなイスラエルも不気味である。中東で新たな火花が弾け出さないよう祈るが、返す返すも日本がやることは平和外交に尽きる。

2015-11-30 | Posted in 日記No Comments » 

 

出会いを楽しもう。

 今朝は和歌山市にいる。僕は自分で晴れ男ではないかと思ったりしている。今は全国を回る仕事が多いが、あまり雨にあったことがないのだ。たまにあってもほとんど傘をささずに済む。不思議だ。
 さてたまの出張は旅気分で良いが、ほぼ毎日だと正直に疲れもたまる。疲労回復する時間がない。もちろん歳のせいもあるだろうが、なかなか大変な毎日である。でもそれを支えているのが毎日の新しい出会いだ。
 人との出会い。久しぶりに会う人、初めて会う人などなど会うと新鮮な気分になるし、何より疲れた姿など見せられないから、不思議と元気になる。それがあるからやっていけるのだろうな。
 さて出会いにはもう一つある。景色との出会い。絶景とまではいかないまでも、さわやかな気分にしてくれるそんな景色に出会えるのもこの仕事を続けられるもう一つの理由だろう。
 一昨日の朝、山梨県の石和温泉の旅館の窓から見ることができた南アルプス山々の姿。冠雪した山と青空がきれいだった。
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 昨日は東京羽田から関空行きの飛行機に乗った。南に飛ぶ飛行機はいつものことなので景色は見飽きていたつもりだったが、江の島と富士山が並んで見えたし、間にあの烏帽子岩もかすかに見えた。この3つが並んで見えたので思わず写真を撮ったのだ。写真では流石に烏帽子岩を見えにくいが拡大してもらえば黒いしみのように映っている。
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 最後に今このブログを書いているデスクの目の前の窓から見える景色。和歌山城が目の前にでんといる。
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ではまた紹介します。

2015-11-30 | Posted in 日記No Comments » 

 

横浜寿町に見る日本の今。

 四面楚歌のアベノミクスであるが、株価がまだ2万円近くで維持している間は何とか支持を持ちこたえる。しかしその間に国民の資産をドブに捨て続けている訳だから我が国は日々深刻になっている。 
 昨日、横浜市にある寿町を訪ねた。そこは大阪のあいりん地区や東京の山谷と同じ日雇い労働者が集まる街。一泊2000円程度の簡易宿泊所が林立する。人口推定6300人ほど、その51%が65歳以上という大都会の中の超高齢化地区である。歩いてみて気づくのは住民のほとんどが男性ということ。住民の高齢化が進めば当然要介護者も増える。
 20年ほど前、そうなることを予測した人がこの地区にいち早く介護保険事業を立ち上げた。それが特定非営利法人「ことぶき介護」。現在30名を超える職員で事業にあたる。自治労の組合員だ。
 要介護4の三好さんが住む宿泊所を訪問した。3畳足らずの部屋にベッドを置くとほとんどスペースはない。三好さんはそこで生活する。寝たきりまではいかないが介助がなければ生活はできない。三好さんのような人がこれからもここでは増え続ける。案内してくれた梅田さんは、「生活保護住居費の特別基準の68000円がなくなり、一般基準の52000円に引き下げられたので今後住み続けられるかどうか」と話す。つまり一泊2000円だと30日で6万円。一般基準では足りないのだ。現在は経営者の判断で6か月の猶予期間を設けているが、その期間は年内で切れる。
 一日契約の簡易宿泊所が無ければここの多くの住人は居場所が無くなる。確かに月6万円は安くはないがここに住む人々の生活のよりどころなのである。有料だが小さなんお風呂も宿泊所には整備されている。おどろくことにその経営者のほとんどが在日の皆さんだという。感謝するものの日本人経営者がほとんどいないことに憤りも感じてしまう。
 今、300m四方の寿町内に7つほどの介護事業所がある。それだけ要介護者が多い。皆、かつかつの費用の中で運営している。
 安倍政権は新3本の矢の一つで介護離職ゼロにすると勇ましい。しかしその方法は何ら示していない。地方の施設では人が集まらないから離職者ゼロどころではないと悲鳴をあげていた。富裕者向けの高級施設でなければ介護保険の報酬だけでは介護士さえ集まらなくなりつつあるのが介護現場の現実である。
 誰でもが高い確率で世話になる介護。その現場が悲鳴をあげている。予算の裏付けも方法も示さずに介護離職ゼロなど無責任に極まる。介護職の社会的地位を上げ処遇を改善するしか方法はない。そこにお金を使うしか方法はない。誰でもわかっているがそれをしない。ドブに捨てつづけるお金をなぜ国民生活の向上に使わないのか。寿町の今が明日の東京などの大都会の姿である。いや10年後の東京はもっと悲惨かもしれない。都会の高齢者数を減らすために、高齢者移住を進めるなど国民を愚弄しすぎる政治や官僚行政にいつまでも付き合っていたら再び日本は地獄を見ることになる。

2015-11-28 | Posted in 日記3 Comments » 

 

クルーグマンの変節に青ざめるか、首相と日銀総裁。

 政権の新三本の矢は各界各層、多方面から評判が悪い。特に最近では海外メディアも露骨に批判しだしているようで、高野孟さんのネット配信「THE JOURNAL」では「海外から相次ぐアベノミクス『死刑』宣言」とWSJの社説など批判記事の比較を特集している。
 ノーベル賞受賞経済学者ポール・クルーグマンも最近になって、インフレ・ターゲット論は失敗したと言い出している。クルーグマンと言えば日本リフレ派が信奉する人。彼のインフレ・ターゲット論こそがアベノミクスの基本的考えであり、黒田日銀総裁は何度となく消費者物価上昇を目標とすることに言及した。しかしいまだ目標は達成していない。
 そのクルーグマンが自説の失敗に言及しだしたのである。これは正直大変なこと。加えて日本のアベノミクスがうまくいかない原因の一つになんと、人口減をあげているので開いた口がふさがらない。
 まあほんと学者っていい加減。責任をとらなくて良いからそうかもしれないが、その説を真に受けて政策を進めた首相や黒田総裁などは内心戦々恐々としているはず。だから最近は政府どころか日銀総裁までもが賃上げを要求しだしている。今度は悪いのは給料を上げない経営者にするということだろう。(つづく)

2015-11-27 | Posted in 日記No Comments »