2014-02

なぜ、怒りはアンネに向かう。

関東で「アンネの日記」関連の本が破損させられる被害が相次いでいます。

すでに40の図書館で310冊が被害にあっています。なぜ?。日本の報道機関は、この「なぜ」にあたる部分を報道しません。そうしているとやはり隣国の報道が「日本の右傾化が原因」と指摘しだしました。

ヨーロッパでは随分前から貧困の拡大とともに移民排斥を訴える若者を中心とした極右が増加していました。しかし日本では、昔からの右翼や保守層の中に右派はいても、まだ極右というところまではいっていませんでした。しかし、ここ数年で比較的若い層のネトウヨやヘイトスピーチが増加しています。

60年安保や全共闘世代も若者が中心でしたが、当時は参加していた若者は闘争が終わると水が引くように運動から身を引いて、普通のサラリーマンになり高度成長を牽引します。社会が彼らを飲み込むだけの余裕がありました。

ところが現代はどうでしょう。バブル崩壊後に社会人になった若者、つまりロストジェネレーションはいつか正規職員にと思いつつ、フリーターのまますでに40代になった世代です。それ以降、社会は格差をつくりつづけ、現代は若者の貧困が社会問題になりました。格差はいつのまにか未来ある若年層にとって深刻な問題となっています。

ヨーロッパの場合は怒りが移民に向かいますが、日本の場合、向こうのような移民国家ではありません。しかしあえて探し出し「在日」の皆さんを標的にヘイトスピーチが始まります。やがて中国や韓国といった国や国民に怒りが向けられるようになります。右翼的な政策をあえて訴える安倍さんに支持が集まります。都知事選で田母神さんに投票したのは多くが若者でした。標的は安倍さんや田母神さんと対峙する政党や支持者となります。

明らかに日本社会の基底が変わりだしています。

ヨーロッパでは保守でさえ極右と一線を明確に引いています。極右政党が政権を握らないように保守と左派が連立する場合も不思議ではありません。二度とナチスのようなファシズムの台頭を許さないという強い反省がそうさせます。日本の場合、残念ながらそれと違い、そこまでの反省と確固とした意思が確立せぬまま、高度成長と一緒に憲法の平和主義や疑似民主主義のようなふわりとしたものが広がってきたような気がします。

ドイツでは禁止されており、欧米ではほぼ使われない右手をあげたナチス式宣誓のやり方も日本では未だに平気で使われています。社会の中にファシズムを憎む思想が形成されています。むしろ過去の戦争を否定しない思想を生かし続けた結果が今の日本社会かもしれません。

「アンネの日記」へなぜ怒りが向かうのか。単なる犯人探しではなく、その怒りの理由をしっかりと社会が受け止め、議論しなければアンネの悲劇が繰り返すことにならないでしょうか。政治の責任は本当に大きいと思います。そこに身を置くものの1人としてあらためて、社会とは自由とは民主主義とは、そして平和とは、世界とは問い続けなければならないと思います。

2014-02-28 | Posted in 日記No Comments » 

 

日記234 プルトニウム返還

一昨日から総務委員会の視察で神戸、大阪、京都を回ってきました。日頃角付き合ってる与野党の議員諸氏とざっくばらんに話せる良い機会です。酒の席もあるのでなおさらです。それぞれに良い人ですが、党対党となるとこうはいかなのが、残念です。今回の自民党の総務委員の新メンバーは自治体経験者が多いのも特徴。1知事2首長です。中の一人に富山県氷見市長だった堂故さんもいます。初めてゆっくり話をしました。

さて、日本政府が米国から提供されていた300㌔のプルトニウムを米国に返還することを決めたようです。このプルトニウムは冷戦時代に研究用として提供されていたもので、非常に純度が高い兵器用プルトニウムです。核兵器50発分くらいになるといわれていました。

日本は高速炉の研究に必要と東海村に保管し、返還を渋っていましたが、オバマ政権の圧力で核安全保障サミットまでに返還手続きをすることにしました。

すぐにでも核兵器に転用できる純度の高いプルトニウムはそうそう手に入りません。表向きは研究用ですが、冷戦時代に米国が提供した本当の理由は、いつでも核兵器をつくることができる技術を持つ日本にプルトニウムが存在することが重要だったのでしょう。日本もプルトニウムを持つことでいつでも核兵器を持てるぞと中ソを威嚇することができます。

アメリカの核の傘に入ることを決めた日米の暗黙の了解だったのかもしれません。しかしそのプルトニウムをなぜ今頃返せとオバマ政権は言うのか。これも表向きはオバマ政権の核セキュリティーの強化のためとなっています。確かに福島第一原発の事故以降、日本ではプルトニウムの消費に目処が立たなくなったこともあります。しかし本音の一つは安倍政権に対する少々の不安。このままでは本当に日本は核核開発をしかねないとの疑念がオバマ大統領に芽生えたのではないでしょうか。

安倍政権の動きが世界の安全保障に微妙に影響を与えています。

2014-02-26 | Posted in 日記No Comments » 

 

日記233 おかしくなってきたNHK

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今日は参議院の総務委員会でNHKの籾井会長や、経営委員の長谷川さんや百田さんの発言に関しての集中審議が行われました。

質問にたった民主党の吉川議員は、百田さんの発言を理由にキャロライン・ケネディ大使が、NHKの取材を拒否していたことに触れました。駐日大使がNHKの取材を拒否するとは大変なことです。

百田さんの発言の内容は、これはもう唖然とするもの。田母神都知事候補の応援演説での発言ですが、普通の人が言ってもその方の人間性を問われかねないもので、これをNHKの経営に絶大な影響力を持つ経営委員が言うということは、普通、考えられません。(二人目の質問に立った小西議員は百多さんの田母神候補以外の3人の候補を指していった「のこり(やっかいな)3人くらいおります。どいつもこいつも人間のくずです。皆さん、くずを知事にしてはいけません」発言は侮辱罪にあたる立派な刑法違反と言ってました)

だから発言そのものが、放送法や経営委員会の服務準則、NHK倫理・行動憲章などに觝触すると指摘しています。それが駐日米大使の取材拒否までつながると、もうどうにもなりません。あきらかにNHKの番組の質にまで影響を与えるので、経営そのものにかかわるとても大きな問題にまで発展したということです。

この件に関して2月13日の記者会見で番組編集の全権限を持つ籾井会長は、「そのような事実の報告は受けていない」と駐日大使の取材拒否の事実を否定しました。吉川議員の質問はこれと全く同じ質問です。それに応えて会長。

「取材の内容についてはお応えできません」と記者会見とは違った回答です。なぜか。記者会見と同じ応えをすると、当然、事実確認をし結果を回答しなければなりません。そうなると取材拒否の事実が明らかとなり、百多さんの発言は当然問題となります。「(そんな事実は)無かった」と応え、後で事実だと判明すれば、国会での偽証罪となり、会長の首が飛びます。その両方を避ける発言だったということでしょう。

いずれにしてもこの問題はさらに発展していきます。私的発言は取り消した、といくら言い張っても、これだけ後から後から問題が出てくれば、NHK側や会長は仲間(長谷川さんや百田さん)の発言でさらに追い込まれ、いつか陰の任命責任者の安倍総理までつながっていきます。そこに行く前に責任をとらせられる可能性も大きいと思います。

ケネディ大使の取材拒否が事実ならば、アメリカがNOを突きつけたことになります。親米派の安倍総理がどこまで耐えるかが鍵です。

加えて、またまた籾井会長は質疑の中で、問題になっている発言を「ちょっとした失言」と言ってしまいました。「ちょっとした」というところにこの方の問題意識の無さが暴露されてしまいました。本当に安倍政権は「袋小路」に入り込んだようです。

2014-02-19 | Posted in 日記No Comments » 

 

日記232 GDP減速のほんと

今朝の朝刊で内閣府が昨日発表した2013年10〜12月期のGDPの速報値が、予想を下回ったことが報道されましたね。例えば朝日新聞の見出しは「GDP、意外な減速」でした。好調だったのは、増税前の駆け込み需要の住宅投資とアベノミクスによる公共投資です。

ただ住宅も思ったより伸びず、公共投資は短期的なもの。頼みはGDPの約6割を占める個人消費ですが、これがあまり伸びませんでした。同じ新聞では今年の春闘で大手自動車メーカーがベア要求に応える方針であることも伝えています。そして問題は中小に波及するかが鍵とも。

アベノミクスで景気が「良くなった」「良くなった」としきりに報道されていましたが、実際はそうでもなかったことが、ここにきてはっきりしてきたようです。

同じ内閣府の調査ですが、「一人当たり平均賃金」の流れを示したものを写真で紹介します。昨年11月の折れ線グラフを見てください。前年比でプラス0.6ポイントも上昇しました。この原因は縦棒の青の斜線部分と赤の部分がプラスに転じたからです。青はボーナス、赤は残業代です。業績好調の大企業を中心に秋のボーナスがグンと増え、合わせて残業が増えました。IMG_2377

一方でマイナスを示す下の方に伸びている白い棒グラフは、所定内給与です。これはこの1年間一貫してマイナス。4月〜6月で少し回復しましたが、7月からまたマイナス0.6や0.7を保っています。昨年11月に一人当たり賃金がプラスに転じたのは、月例賃金はマイナスだけどボーナスと残業がグンと増えたからなのです。

所定内給与の一貫したマイナスの原因は、非正規労働者の雇用増にあります。雇用者数は増加していますが、多くは非正規。賃金の低い非正規が増えたことによって平均賃金が押し下げられることになります。もう一つの要因は地方公務員の給与削減です。国家公務員の給与削減に合わせて地方公務員も下げるよう政府が自治体に要望しました。その効果が7月から現れています。国家公務員に比べて圧倒的に数が多い地方公務員の給与削減は、それだけ影響力が大きかったことを物語っているんですね。加えて地方では自治体の職員に合わせて給料を決めている中小や団体が多いことも影響しています。

さてさて業績好調でボーナスや残業が増えるのはどちらかと言えば大手であり、地域でいえば三大都市圏と言えるでしょうか。それに反して地方や中小はあまりアベノミクスの影響を受けていないことになります。昨年10月〜12月期の個人消費が伸びなかったのも頷けます。

アベノミクスが成功するには地方や中小や非正規雇用の世界に賃上げが広がり、多くの人の消費マインドを刺激することが絶対条件です。しかしそれがすぐに可能かと言えば疑問符が付きますね。非正規雇用を増やしつづけた政治、雇用した企業、地方から元気を奪った様々な政策のツケは、アベノミクスを失敗に誘導しています。

これで4月からの消費税UPは致命的かもしれません。

2014-02-18 | Posted in 日記No Comments » 

 

国会同意人事に反対。その理由。

今朝(2月14日)の本会議は、26人の国家公務員等の人事に関することでした。いわゆる国会同意人事というものです。昨年の同意人事では、今話題になっている百田尚紀さんや長谷川三千子さんなど、安倍晋三ファミリーと呼ばれる人々をNHK経営委員に任命することの是非が問われました。

民主党は反対しました。その理由は籾井会長発言で明らかになったとおりです。しかし民主党が反対したことも、なぜ反対したかも余り知られていませんね。その反省にたっての話です。

今回は26人中5人の任命に反対しました。しかし結果は数の力で押し切られましたが。

まず厚生労働省関係です。労働保険審査会委員の木村享さんと中央社会保険医療協議会公益委員の松原由美さんの二人の任命に反対しました。理由はお二人の現職との関係です。木村さんは東京海上日動火災保険専務執行委員、松原さんは明治安田生命福祉研究所主席研究委員をそれぞれ努めておられます。それぞれが任命される職、労働保険審査会は労災認定等の是非をきめるものであり、中央社会保険医療協議会は医療保険制度や診療報酬の改訂などについて審議する機関です。利害関係が対立し、そんな中で公平公正を求められる難しい立場の仕事です。

そう考えて木村さんと松原さんの仕事を見ていただくと、民間の損保会社と生命保険会社です。労災認定といった仕事と民間損保となるとちょっと利害関係がありそうな気がするし、公益委員となると民間生保勤務の方で国民の信頼が得られるか、となると?マークが付きかねない。国民が公平公正な審議について疑問をなるべく抱かない職業の方を選ぶべきと判断したのが、このお二人の人事に反対した理由です。

残りの3人は、原子力委員会の委員です。原子力委員会は原子力行政のあり方を審議するところです。再稼働等を決めるのは原子力規制委員会の仕事です。どちかというとこっちが目立っていますが、高速増殖炉「もんじゅ」のことや核燃料サイクルの今後のことなどを議論しますから、原子力委員会も重要です。委員の数は委員長をいれて5人。委員会はうち3人の出席で成立することになっています。今現在、2人の欠員が生じていてこの間補充してきていません。なぜなのかは理由は定かではありませんが、原子力に対する批判が大きい中で推進派の人を入れにくいからではと思ったりもします(これは完全に個人の推測です)が、異例の状況下で運営されているのは事実です。

ですから本来は5人の委員人事が筋。これを3人にしたのは年内に法を改正して委員数を5人から3人に減らす予定なので、先取りして3人にするという話です。ちょっとそれはいかがなものか。原子力委員会の仕事はそんなので良いのか。といった疑問が起きるのも無理からぬことではないでしょうか。しかも今回新しく委員になる方の3人のうち1人は非常勤です。

原子力委員会は、原子力エネルギーに関する意見が厳しいからこそ今後の原子力利用のあり方をゼロベースで見直す仕事をしなければならないはずです。「もんじゅ」の開発を今後どうするかなどはその良い例です。

よって原子力委員会人事の3人については、個人の問題というよりは政府の原子力行政に対する考え方に異議を表明する意味で反対としました。

 

2014-02-15 | Posted in 日記No Comments »