2015-05-20

成長戦略優先の歪み。

この4月から機能性表示食品制度が始まった。企業側の責任において、 科学的根拠のもとに健康等への機能性を商品に表示できるという制度で、企業側にとってはありがたい。これまで「トクホ」でお馴染みの特定保健用食品や栄養機能食品という制度もあったが、こちらは食品安全委員会の審査や臨床試験が必要だったりして、商品化するまでにそれなりに時間とコストがかかっていた。

昨日、消費者庁との会議が行われ、この制度が議論となった。これまでのトクホや栄養機能食品に加え似たような機能性表示などつくる必要があったのか。消費者の混乱を招くだけではないか、という思いが拭えない。しかも今回の機能性表示が企業にとっては一番簡単で、それなりの知見と合わせて申請するだけで「機能性表示食品」の表示が可能となる。何となくきな臭い。

一方で課題とされてきた原料原産地表示や食品添加物、遺伝子組み換えなどの表示に向けた議論は全く進んでいない。こちらの方が消費者団体にとって最も喫緊の課題と言えるもので、関心も高かった。それがなぜ降って湧いたように機能性表示などが優先されたのか。

皆さん察しのとおり、この裏には政権の成長戦略があった。安倍政権となり規制改革会議が八面六臂の活躍をしている。この機能性表示食品も一昨年6月に同会議で決定されたもの。それ受け消費者庁が関連会議をバタバタと開催し緊急で法案をつくったのだ。そのため原料原産地表示などの新たな食品表示の検討が先送りされた。

こんな具合で成長戦略優先で政策が進められ、国民の安全、安心(もちろん平和も)といった課題が先送りされる傾向にある。

今日の本会議で提案された防衛省設置法改正案では、防衛装備品の開発・取得・輸出を一元的に担う機関として防衛装備庁を新設する。武器の開発、輸出も立派な成長産業である。日本版産軍複合体が現実味を帯びてきた。

そんな中、今朝の紙面を小さく占めた記事がある。昨年度の一世帯当たりの消費支出が一ヶ月平均24万8,929円で、実質ベース前年度比5.0%減だったこと。総務省が発表した。3年ぶりのマイナスで下げ幅は比較可能な01年度以降で最大だ。リーマン・ショックで震撼した08年度でさえ2.6%減だった。原因は消費増税や円安による物価上昇で消費の落ち込みが続いたことと分析している。

その隣の記事に目を移すと、皮肉なことに東証終値2万円回復と伝えている。

全国紙の経済欄の片隅に日本が抱える矛盾が凝縮されている。本来政治が見定めなければならないのはいずれだろうか。安全保障政策の転換に血道を上げる政権は、思いを実現したいがために高い支持率が必要、だから進める極限の経済政策が歪を産み、日増しに大きくなる。「成長」は誰も否定しないが、それを優先することで普通の人の暮らしが置き去りにされ、道を誤ってしまう。

成長一辺倒で良いはずがない。

 

 

2015-05-20 | Posted in 日記No Comments » 

 

今日の平和の句

日溜りに猫と私と白い雲

平野 信子さん(77) 石川県内灘町

金子兜太 日向ぼっこ。空に白い雲と御天道様、私の膝に猫。この猫、白猫です。ささやかな安らぎの時間をいたわる人に平和を。

東京新聞より

 

2015-05-20 | Posted in 日記No Comments »