2015-02-03

積極的平和主義の危うさ

気づいたら1月7日からブログ更新していませんでした。朝必ず開いてみるという方もいらっしゃるのに申し訳ないです。
さて、代表選も終わり、26日から国会も動き出しました。そんな最中に起きた「イスラム国」の邦人2人の人質要求と蛮行です。
この行為は全くもって許しがたく、はらわたが煮えくり返る思いと深い悲しみの中に多くの人がいると思います。
彼らの思想や考えはとにかく、このような蛮行を繰り返す「イスラム国」はイスラムの世界からも否定され、必ず崩壊するのではないでしょうか。

代表選の話に戻ります。
長妻さんを応援していたことは前回のブログで書きました。もともと民主党結党の精神は「民主リベラル」。「保守的な二人の闘いではいかんだろう」というリベラル系議員の思いが結集し、様々な展開の中でリベラルの代表として長妻さんが立候補し、その論陣をはったわけです。実は長妻さんとは因縁めいた関係であり、年金問題では激論を交わした仲なんです。
結果はご承知の通り。長妻さんに票を投じた議員は37人。これに私が知り得る範囲でリベラルの思いを共有しつつ他候補に投じた議員を加えれば、40人を優に超えることになります。132人が現有議席ですから、その3割近くになるわけです。これは結構な勢力です。選挙戦でも長妻さんが出たことによって細野さん、岡田さんの主張がリベラル的に変わって行くのを感じたのは私だけではありませんでした。これらは必ず今後の党運営に活きるはずですし、そうしなければなりません。 岡田新代表が与党との闘いの先頭に立ち、軸足を中道に置くことを明確した岡田民主党の真価が問われる第189国会ですが・・・。
そこにイスラム国の人質事件が発生し、最悪の結果となりました。湯川さん、後藤さんの思いや家族の皆さんの心痛を察するに言葉もありません。本当に許されない蛮行です。

昨夏の邦人誘拐事件の発生から今日までの安倍総理も苦悩の連続だったと思います。殺害後の総理声明の「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく。日本がテロに屈すること決してない」の思いもわからないではありません。
しかし私は、ここは冷静に議論しなければならないところだと思います。そこで大きな疑問が湧くのが、安倍総理の中東外交と2億ドルの支援表明です。
お二人が誘拐されたのは政府は承知しており、現地対策本部も設置して対策も行っていました。これまでのイスラム国の対応では、彼らが何らかのアクションを起こすとの認識だったはずです。まさにそこに口実を与える総理の行動と支援と演説だったことは明白です。
事実、二人の身代金が2億ドルであり、犯行声明にもそのことがまんまと使われてしまいました。外交はあらゆるリスクを考えながら行わなければなりません。この時期に本当に行うべき必要性のある外交であったとは思えないのです。総理の外遊日程を決める際に、おそらくそんな懸念を表明する人もいたはずでしょう。いなければ少し怖い状況です。
また総理がイスラエルで演説したことも疑問です。今、イスラエルは国際的な非難を浴びているヨルダン川西岸へのユダヤ人入植を強行し、中東では孤立感を強めています。頼みのアメリカも現オバマ政権はそんなイスラエル離れを強めています。またイスラエル国内でもこの3月に総選挙が行われ、強行派のネタニヤフ首相の政権が継続するかどうかはわからない状況のようです。
そんな中でアラブの敵のようなイスラエルを訪問し、イスラム国と戦う国に支援するとの演説が今、日本政府がやるべきことであったとはどうしても思えないのです。

これらの思いは国会議員多くが共有しているものでしょうし、国民も同じだと思います。特に民主党はその思いを野党の立場で政府にただすべき立ち位置にいますが、少し遠慮がちな対応が気になるところです。
安倍総理の先の発言も勇ましさと高揚感と正義感にあふれ、反論しずらい雰囲気をつくっています。しかし一方で危険にあふれている発言でもあります。個人的には9.11後のテロとの戦争を宣言したブッシュ大統領のイメージと重なってしまいます。あれからのアメリカの行動が結果的にイスラム国をつくり、今回の無残な事件に繋がっています。

こんな時だからこそ冷静な対応が必要です。総理持論の「積極的平和主義」の危うさとこれまでの平和外交の重要性を認識しなければなりません。

2015-02-03 | Posted in 日記No Comments »