2015-02-13

チャップリンの独裁者

ますます血気盛んになってきた。昨日の施政方針演説を聞いての安倍首相に対する思いです。
「日本を取り戻す」「この道しかない」「安定した政治の下で、この道を、更に力強く、前進せよ」「戦後以来の大改革」「日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心を一つにして国力を盛んにするならば、世界で活躍する国なることも決して困難ではない」「目指すは世界のマーケット」「TPP交渉はいよいよ出口が見えてきた。米国と共に交渉をリードし、早期の妥結を目指す」「国際競争に打ち勝つことができなければ、企業は生き残ることはできない」「日本は変えられる」「日本国民よ、自信を持て」・・・。
吉田松陰、岩倉具視、岡倉天心、吉田茂の言葉を引用し、自ら高揚感を高めつつ一気に演説し終えた安倍首相でした。
一言では言えば「国」を強く意識した演説だったように思います。ただ政策も多くちりばめられ、個別に見れば肯定せざるを得ないような表現でまとめられていて批判するとすれば「総花的だ」とか「中味がない」といった表現しかできないかもしれません。
しかし何か違和感があります。野党議員だからでしょうか。そういえば気合を注入した演説でありながら、心なしか与党席からの拍手も少なかった。応援の声も少なかった。かといって水を打ったように静かに聞かせている風でもないのです。
なぜでしょう。思いつくのは「感動」でしょうか。与党議員を奮い立たせるような、野党議員をうならせるような説得力のある演説ではなかったのです。意気込んで言葉が踊るだけ、敢えて言えば「裸の王様」のような、そんな雰囲気です。
首相は私たちが想像する以上に強がっているのかもしれません。
しかし首相の心情はどうあれ昨年の総選挙をくぐり自信をみなぎらせているのは事実であり、各省庁も勢いづく安倍首相の下、これまで実現できなかった様々な施策を成し遂げようと血道をあげているようです。
だから危うく、手強い、あぶない宰相になりつつあります。

250px-Dictator_charlie5

70年以上も前にチャップリンが映画「独裁者」で描いた皇帝のイメージにかぶってしまいます。風船の地球を弄ぶチャップリン皇帝は、積極的平和主義を声高に叫び、「日本を取り戻す」「日本は変えられる」「日本国民よ自信を持て」と呼びかける我が国宰相の独りよがりの姿とだぶります。愚かしいと思っていても誰もそれを止められない。
しかし映画と違うのは、映画の最後はチャップリン演じる皇帝の名演説で終わります。

「私は皇帝などなりたくない」で始まるあの演説です。チャップリンは呼びかけます。

Chaplin_Great_Dictator_final
私の声が聞こえる人たちに言う。「絶望してはいけない」と。
「民主国家の名もとに、その力を使おうではないか。皆でひとつになろう。新しい世界のために、皆が雇用の機会を与えられる、君たちが未来を与えられる、老後に安定を与えてくれる、常識のある世界のために闘おう」と。

民主国家「日本」の主人公は国家や宰相ではなく国民なのです。

チャップリンの名演説が見れます    http://matome.naver.jp/odai/2134432853759771901

2015-02-13 | Posted in 日記No Comments »