2010-10-11

ゴンシャンで飲むストロングコーヒー

今週末は久しぶりに柳川に帰った。故郷の話題を二つ。今日はその一つ目。

柳川弁で「ゴンシャン」というと「お嬢さん」のこと。その柳川にゴンシャンという本当に洒脱な老舗のカフェがある。僕のお気に入りの所。休みの時は良く行っていた。マスターが入れたコーヒーは美味しい。美味しいの条件は豆や焙煎(ゴンシャンはもちろん自家焙煎)、水やいれ方は当たり前だが、僕は、店に入り注文し、コーヒーを飲み、店を出るまでの時間と空間もその味を引き立てる最も大事な要素だと思っている。ゴンシャンにはその全てが揃っている。日本一のカフェだと思う。もちろん僕がこれまで訪れた中でだが・・・。

木製の重い扉を開ければ、大通りに面しているとは思えない静かな落ち着いた空間が広がり、常に心地よいクラシック音楽が耳障りでなく会話を邪魔するでなく流れている。カウンターに座れば鮮やかなステンドグラス越しに見る今歩いてきた通りが、まるで遠いどこかの違う世界のように思える。

通常、マスターが少々大振りで重厚な木箱と水を客の前に出す。初めての人はこの木箱に驚くが、すぐメニューが入っているんだと気付く。注文すると、豆を引き、サイフォンでゆっくりとコーヒーを入れる。入れられたコーヒーは薄手の白い磁器のカップに入って運ばれてくる。

コーヒーを飲みながら静かに静かに時間が流れる。ゴンシャンとはそんな昔ながらの粋なカフェ。僕は昨日、そのゴンシャンのドアを久しぶりに開けた。もちろん当選後初めてである。ドアを開けるとカランカランと音がする。すぐにマスターの北島さんの「おめでとうございます」の声が聞こえた。カウンターのいつもの席に座り、いつものストロングコーヒーを頼む。それからはマスターと久しぶりの会話が弾んだのは言うまでもない。

日本の古き良きカフェ文化は瀕死の状態だ。シューと音を立て蒸気が吹き出る機械で紙コップや厚手のマグカップで飲むアメリカ資本の店が主流になってしまった。不味いとは言わないが決して美味しいとは思わないし、手作りの香りがしない。ハンバーガー店同様のマニュアル通りの商品はどこかデジタルな香りがする。

アメリカ資本のデジタルカフェが進出する都会では喫茶店を見つけるのに苦労する。ヨーロッパのような粋なカフェ文化を切望するのは僕だけだろか。そういえば柳川にはアメリカ資本はまだ進出していない。「スタバ」のない柳川でゴンシャンのような独自な一級なカフェが頑張っている。どこか地方分権の本質とだぶってくる。文化は地方都市にある。

どうぞ柳川にお出での節は「ゴンシャン」のドアを開けて見てください。きっとそこに・・・。

Photo 上から①ステンドグラスが美しい②僕の議員バッジを珍しそうに写真に収めるマスターの北島さん③メニューの入った木箱にはゴンシャンのデザインが彫ってある。

2010-10-11 | Posted in 日記1 Comment »