日記

代表選についての考え

民主党代表選が注目を集めてきました。

自治労という運動体の中で活動してきた僕は、これまで市民運動出身の菅直人さんと自民党出身の小沢一郎さんとでは、明らかに菅直人さんに対して共感を持っていました。

しかしこれまでに、(小沢一郎さんに対しての)「少し静かにしていただいた方が・・・」との公での発言や、消費税への言及、マニフェストの突然の変更などに接すると、今回の代表選は菅直人さんへのシンパシーを一度横に置き、先輩や同僚諸氏の話、告示後発表される両候補の政策や演説を聴いたうえで自らの意志で支持を決めることにしました。もちろん公式には最後までどちらを支持するかを明確にするつもりはありませんでした。

ところが、菅直人さんの政策を見てこの考えを変えざるを得なくなりました。そこに、「人事院勧告を超える削減を目指し」という目を疑う一文があったからです。公務員労働組合出身の僕からすればこれは大変なことでした。

国民の多くの皆さんは、公務員の人件費を削減することに共感をお持ちでしょう。それからすればこれは「そんなこと当たり前」と思われても不思議ではありません。

ややこしい話ですが、日本の一般の公務員は、一般の勤労者が権利として持っている労働基本権と言われる3つの権利(労働組合をつくって加入できる権利、経営者と労働条件などについて交渉して決定したことを法に基づく約束文書として交わす権利、経営者の対応を不服としてストをする権利)の一部しか与えられていません。つまり法律上は、普通の勤労者ではないことになっています。経営者と交渉することができないのです。だからその代わりに経営側にも公務員側にも属さない第3者の機関として人事院というものを設置して、そこが毎年出す(勧告する)給料等の条件に経営側も公務員側も従うというのが、労働基本権を持たされていない日本の公務員制度の基本でした。ここでいう経営側である政府の代表は当然内閣総理大臣、つまり菅直人さんということになります。ちなみに公務員側はこれまでずーっと労働基本権の回復を求めてきました。にもかかわらず、無視し続けてきたのは政府の側です。政府の考え方のもと現行制度が維持され続けてきました。

ところが菅直人さんの政策は、「公務員の労働基本権の問題は後で論議することにして、今年の人事院勧告は人事院が示した条件以上に削減を目指そう」ということです。これは、経営側の代表である内閣総理大臣が、公務員に労働基本権を完全に与えない代わりに自らがつくった人事院勧告制度そのものを自らが否定するということになります。

どんなに非合理的な制度でも制度である以上当事者はその制度を守るべき立場にあります。もし守れないのならばその制度を変更することが先でなければなりません。ここでいうなら、公務員の労働基本権を回復させ、正式な交渉というテーブルにつき経営側の代表として公務員側に人件費削減の提案をするのがルールです。

小沢一郎さんの政策は、「公務員に労働基本権を認める」とのみあります。現在の制度上、これがルールです。労働基本権という武器を持たない相手、素手の相手にいきなり権力と言う刃を突きつけ言い分を聞かせるようなやり方を認めるわけにはいかないのです。

長くなりました、以上のような状況下では、僕は今回の代表選で菅直人さんを支持することはできません。そして小沢一郎さんを支持することを明らかにすることにしました。その旨を僕を支援していただいた党員やサポーターの皆さんにも今日付けで文書でお知らせしました。考え方はいろいろあると思いますが、ご理解をお願いします。長くなってしまいました。最後まで読んでいただいた方に感謝します。

2010-09-06 | Posted in 日記7 Comments » 

コメント7件

 名古屋おもてなし武将隊ファン | 2010.09.06 20:46

江崎さん、自治労の1組合員として小沢支持を断固として支持します。
実は私自身も菅氏が総理になるまでは菅氏にシンパシーを持っていました。
ほんの数カ月前まで、おそらく自治労の多くの組合員や役員は「小沢か菅か」と聞かれれば、大半が菅と答えたはずです。
しかし、今では、私は小沢氏の鉄板支持層の一人になりました。

なぜか?
理由は大きく分けて2つの側面からです。

A菅氏側の理由

 1、菅氏が鳩山氏から政権を引き継いだ時、鳩山氏が果たそうとして果たせなかった普天間基地問題に対して、何らかの前向きな姿勢(沖縄県民にとっての)を示すと期待していました。市民運動出身、リベラルが看板ですから当然でしょう。それが、ものの見事にスルーです。「日本の安全保障や日米関係全体に影響する問題だから難しい」それは、わかるのですが、いやしくも日本国民の代表、守り手たるもの、現に沖縄県民が辺野古移設反対の声をあげている以上、結果はともかく、アメリカに出向いて直談判するのが最低の義務ではないでしょうか?菅氏は自己の政権維持と日本国民の利益を天秤にかけた時、自己の延命を優先するような器の小さな人間ではないかという疑問が湧いてきました。

 2、参議院選挙で突然、消費税増税を持ち出してその結果、郡部を中心に大敗してしまいましたが、私が許せない点は、単に「選挙時に増税を持ち出す馬鹿」という戦術的なものではなく、「国民にとっての税金の重みを軽く考えていないか」というものです。それは、党内議論を経ることなく「簡単に」言いだした経過に示されていると思うのです。課税を簡単に考えているということは、これすなわち、「国民を駒としてしか見ていない」ことを意味します。これでは自民党時代の首相とどこが異なるのでしょうか?

B小沢氏側の理由

1、小沢氏の一連の検察との攻防(西松建設、水谷建設をめぐる疑惑、政治資金規正法違反等)を興味を持って見守ってきたのですが、マスコミが大々的に書き立てた収賄疑惑は結果として何の根拠もなく、でもしかし、小沢氏は代表や幹事長を辞任せざるを得なくなり、政治的に大きなダメージを負ってしまったという経過に大いに義憤を感じました。検察が怪しい思っただけで、もっと言えば、検察が「こいつをつぶそう」と思って疑惑をマスコミに漏らすだけで、簡単に政治家としての生命を失う、こんな社会が正常な民主主義社会でしょうか?「あの小沢でさえ、簡単にやられる」のであれば、我々無名の市民はいかようにでも料理されてしまうわけですから。そうだとすれば、小沢氏を守る側に立ち、検察の横暴を防ぐのが正道ではないでしょうか。

2、小沢氏は菅氏とは逆に、少なくとも日本国民の声を聞き、利益を守ろうとする立場に立っています。だから、普天間もスルーしないし、民主党が2009衆院選に掲げたマニフェストを実行することを宣言し、あえて困難な道を歩んでいるわけです。実にりっぱで頼もしい政治家ではありませんか。
正直言って、以前の私は小沢氏が鄙びた田舎でビール箱の上に乗って国民に演説する姿をTVで見て「なんてくさいパフォーマンスをするんだ。本当は利権で真っ黒なくせに」と思いこんでいましが、マスコミの呪縛が取れた今では、これが彼の政治家として国民に対する姿勢、心意気の原点だということに気付かされました。

 佐藤健 | 2010.09.06 21:59

労働基本権を認めるがいいと思います。
しかし、首相が人事院の勧告を無視するにせよ、公務員がストライキを行使して交渉するにせよ国民の多くは公務員(特に所得の少ない地域の公務員)の給料を下げることを望んでいると思います。またGDPも停滞しているので税収も上がらないから交渉の余地もあまりないでしょう。
タダで働かす訳にも行かないので失業給付に相当するお金を払って公務員の解雇というものいいと思います。

 北海道 佐藤 | 2010.09.07 12:30

 現時点において、人事院勧告を超える削減を打ち出している現職には共感できません。
 一般の方々は、自分たちの給与が上がらない状況から公務員の給与を下げろと言っているのだと思います。
 公務員の給与や権利というのは、組合の諸先輩が職を賭して戦って得たものであります。労働運動の今後を考えると大きな争点と考えます。
 
 

 永田 啓造 | 2010.09.07 22:17

 今回の結論は、はじめに小沢支持ありきで、ための意見としか思えません。それが、まさに「労働貴族」である自治労の代表であるという明確な立場の表明は、国民の代表の声とは思えません。
 そもそも今回は代表選挙を実施することそのものが非常識と思います。自分たちが選んだ、就任して間もない代表(総理大臣)を下ろそうという行動は、普通の感覚では考えられません。ましてや、参議院選挙の敗北を総理の責任とする小沢氏らの考え方は開いた口がふさがりません。代表と幹事長の辞任があったからあの程度の負けですんだのではないですか。あのままの選挙だったら、江崎さん、あなたは落選していましたよ。

 >日本の一般の公務員は、一般の勤労者が権利として持っている労働基本権と言われる3つ>の権利(労働組合をつくって加入できる権利、経営者と労働条件などについて交渉して決定し>たことを法に基づく約束文書として交わす権利、経営者の対応を不服としてストをする権利)の一部しか与えられていません。つまり法律上は、普通の勤労者ではないことになっています。経>営者と交渉することができないのです。

 自治労は、組織をつくり、団体で交渉して合意していますよね。ないのはスト権だけです。持っていない権利ごく一部ではないのですか。

 何の権限も持たない「派遣切り」の元労働者が、故郷に帰り、親の年金を頼りに生活し、そのことで家族崩壊が進んでいます。あなたが言われる「普通の労働者」とはどなたたちのことですか。

 伊藤 | 2010.09.08 21:58

江崎さんの小沢氏ご支持、大変うれしく思いコメントさせていただきます。

わたしは今まで政治にほとんど興味がありませんでしたし、今でも詳しいことはよくわかりません。
ただ、今回の代表選挙に大変興味があり、テレビ討論を熱心に見たり、街頭演説を聞きに行ったり、
小沢氏と菅氏の政策や考え方、人と生り、いろんな部分を見比べて小沢氏を支持しました。

小沢氏の街頭演説を聞いて、具体的な経済政策、本当に国をよくしよう、国民の生活を守ろうという姿勢に、大変心を打たれたからです。
また逆に、一国の総理大臣というお立場でもあられる菅氏が、公共の場で、自身の政策や主張で戦うのではなく小沢氏を批判してばかりいるのを見て、「政治家として」の問題以前に、「人として」信用できないと思ったからです。
こんな人に一国の総理大臣を任したくない。

わたしが率直に感じていることを書かせていただきました。
長々大変失礼致しました。

 仲野 | 2010.09.11 11:09

えさきさんの小沢支持表明にはがっかりしました。
一自治労組合員として、えさきさんの応援を僕なり一生懸命やったつもりです。協力していただいただろう仲間にも申し訳ないと思います。
人事院勧告無視発言は確かに自治労組合員としては許しがたい発言であると思います。しかし、そもそも論、挙党体制で国難に向かって行かなければならないこの時期に2分するような選挙をする必要があるのか?
自分の権力を失いたくがないためにこういう状況を作ったかにも見える小沢の行動は不信感の上塗りです。
疑惑の部分においても、村木さんのように貶められたのであれば、きっとそれが証明できるはずです。やはり、黒い部分があることを払拭できない以上、一国の首相となる権利などないと考えます。
小沢氏が代表になれば(国会議員のレベルの低さを証明することになるでしょうが)、民主党の支持は出来ません。当然、組合活動でも訴えていくつもりです。支持された、えさきさんに2期目があるかはわかりませんが、今後の支持はできませんので悪しからず。

 うどん | 2010.09.11 12:04

えさきさんの「小沢候補支持」を支持します。
私自身、以前からどうにも菅さんの言動には不信感を感じていたので。
政治は信頼が第一です。

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