2010-09-06

代表選についての考え

民主党代表選が注目を集めてきました。

自治労という運動体の中で活動してきた僕は、これまで市民運動出身の菅直人さんと自民党出身の小沢一郎さんとでは、明らかに菅直人さんに対して共感を持っていました。

しかしこれまでに、(小沢一郎さんに対しての)「少し静かにしていただいた方が・・・」との公での発言や、消費税への言及、マニフェストの突然の変更などに接すると、今回の代表選は菅直人さんへのシンパシーを一度横に置き、先輩や同僚諸氏の話、告示後発表される両候補の政策や演説を聴いたうえで自らの意志で支持を決めることにしました。もちろん公式には最後までどちらを支持するかを明確にするつもりはありませんでした。

ところが、菅直人さんの政策を見てこの考えを変えざるを得なくなりました。そこに、「人事院勧告を超える削減を目指し」という目を疑う一文があったからです。公務員労働組合出身の僕からすればこれは大変なことでした。

国民の多くの皆さんは、公務員の人件費を削減することに共感をお持ちでしょう。それからすればこれは「そんなこと当たり前」と思われても不思議ではありません。

ややこしい話ですが、日本の一般の公務員は、一般の勤労者が権利として持っている労働基本権と言われる3つの権利(労働組合をつくって加入できる権利、経営者と労働条件などについて交渉して決定したことを法に基づく約束文書として交わす権利、経営者の対応を不服としてストをする権利)の一部しか与えられていません。つまり法律上は、普通の勤労者ではないことになっています。経営者と交渉することができないのです。だからその代わりに経営側にも公務員側にも属さない第3者の機関として人事院というものを設置して、そこが毎年出す(勧告する)給料等の条件に経営側も公務員側も従うというのが、労働基本権を持たされていない日本の公務員制度の基本でした。ここでいう経営側である政府の代表は当然内閣総理大臣、つまり菅直人さんということになります。ちなみに公務員側はこれまでずーっと労働基本権の回復を求めてきました。にもかかわらず、無視し続けてきたのは政府の側です。政府の考え方のもと現行制度が維持され続けてきました。

ところが菅直人さんの政策は、「公務員の労働基本権の問題は後で論議することにして、今年の人事院勧告は人事院が示した条件以上に削減を目指そう」ということです。これは、経営側の代表である内閣総理大臣が、公務員に労働基本権を完全に与えない代わりに自らがつくった人事院勧告制度そのものを自らが否定するということになります。

どんなに非合理的な制度でも制度である以上当事者はその制度を守るべき立場にあります。もし守れないのならばその制度を変更することが先でなければなりません。ここでいうなら、公務員の労働基本権を回復させ、正式な交渉というテーブルにつき経営側の代表として公務員側に人件費削減の提案をするのがルールです。

小沢一郎さんの政策は、「公務員に労働基本権を認める」とのみあります。現在の制度上、これがルールです。労働基本権という武器を持たない相手、素手の相手にいきなり権力と言う刃を突きつけ言い分を聞かせるようなやり方を認めるわけにはいかないのです。

長くなりました、以上のような状況下では、僕は今回の代表選で菅直人さんを支持することはできません。そして小沢一郎さんを支持することを明らかにすることにしました。その旨を僕を支援していただいた党員やサポーターの皆さんにも今日付けで文書でお知らせしました。考え方はいろいろあると思いますが、ご理解をお願いします。長くなってしまいました。最後まで読んでいただいた方に感謝します。

2010-09-06 | Posted in 日記7 Comments »