日記

風立ちぬ№6 「大統領の訪問」

 先だってワシントンD.C.に行ってきました。
 やはり安倍首相の行動や発言は、「日本は戦後体制を否定したいの?」と映っていました。集団的自衛権も、アメリカの国益のためには「行使可能」にこしたことはありませんが、それよりも東アジアの安定ですよ、といった具合です。「アメリカの普通の知識人は(安倍首相の行動や発言に)不快感を持つだろう」とまで言われたら、もうどうしようもありません。
 靖国参拝や「侵略の定義は無い」と開き直るのは戦前の日本の国策を肯定するようなもの。河野・村山談話の見直し論も同じです。サンフランシスコ講話条約を「嫌だ」と、戦後70年経っても、だだをこねる。そこで今の日本に対して使われる言葉が、「東アジアでの孤立」。近い隣国だけではなく、遠い隣国からもそう思われはじめているという実情は、国内には届かないし、日本のマスコミもそんな論点で記事をあまり書きません。
 戦後秩序を未だに苦々しく思っている頓珍漢勢力の行動や発言が、結果として日本の孤立を招いています。少しやばいと思った安倍首相は大統領訪日前に「河野談話は見直さない」と方向転換に躍起です。ところが22日、靖国神社の春の例大祭に首相の腹心である新藤総務大臣ほか多数が参拝しました。大統領訪日直前です。唖然としてしまいす。頓珍漢な人々が行う頓珍漢な行動が日本を混迷に導いています。
 130年前の黒舟派遣で日本を開国させ、70年前に敗戦に追い込み日本に民主主義を導入させたアメリカ。このままでは東アジアで孤立の道を歩むしかない今の日本。そんな日本の政治に一石を投じるかもしれないオバマアメリカ合衆国大統領が、明日、日本にやって来ます。さあどうなるか。      ・・・2014年4月22日

 オバマ大統領訪日前の2014年3月30日から4月4日まで、立憲フォーラムの仕事で米国のワシントンD.Cを訪問し、米国の議会関係者、政府関係者、オピニオンリーダー、メディアの方々と率直な意見交換を行った(詳細は→オフィシャルHPを参照してください)。彼の地ではサンフランシスコ講和条約以降の世界秩序を否定するかのような安倍首相の行動や発言が相当印象悪く捉えられていた。さて期待されたオバマ大統領の訪日だったが、余りたいした成果はなかった。この後、安倍首相とオバマ大統領との会談は2016年5月の伊勢志摩G7サミットでもう一回実現する。
 時は流れ、米国大統領はオバマからトランプに変わり、今はバイデン。そしてオバマ大統領の回顧録「約束の地」がこの2月に日本でも出版された。
 ジャーナリストの高野孟さんは、新聞広告に日本人の登場人物例として唯一「鳩山由紀夫」の名が出ていたので期待して読んだそうだが、「その部分はわずか23行だけで、しかもそのうち18行は天皇皇后に会って強い印象を受けたことに当てられていて、鳩山首相との会談については『経済危機、北朝鮮問題、沖縄の米海兵隊基地の移転案について協議した。話し上手ではないが感じのいい鳩山は、日本ではここ3年足らずのあいだで4人目の首相であり、私が就任してからは2人目。……その7カ月後には彼も首相の座を去った』とい程度の記述で、この前後の6代にわたりほぼ1年ごとに首相が交代した日本の有様にシラケ気味であることが窺える。というのも、この後の初めての中国訪問をはじめ、ロシア、インド、トルコ等々についてはかなり詳しく印象を語っていて、観察眼の鋭さと問題理解力の深さが感じられるのだが、日本初訪問に関してはそれがない。」と少々失望している。
 今回発売の回顧録は上下2巻だが「回顧録1」。安倍首相が登場するとすれば「回顧録2」を待たねばならない。
 「私の予想では、オバマは安倍にはあまり好意を持っていないはずで、それは16年11月にトランプが当選するや否や安倍が『50万円のゴルフクラブ』とかを土産に就任前のトランプに会いに行くという前例のない無礼を働き、当時ホワイトハウス広報官が『米国には大統領は1人しかいない』と不快感を示したからである。さあて、『回顧録2』で安倍はどう描かれているのだろうか」と高野さんは興味津々である。きっと大した記述はないと思っている。

2021-04-06 | Posted in 日記No Comments » 
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