日記

風立ちぬ№5 「戦後3番目」

 戦後3番目の早さだそうです。来年度予算案成立の早さです。今年は3月20日でした。
なぜそんなに早かったか。答えは衆議院の予算審議が早く進んだためです。参議院の民主党は成立を3月3日までずれ込ませるように、衆議院にエールを送っていました。予算案は衆議院で可決されてから30日たてば、参議院の審議がどうであろうと自然成立します。自然成立日を4月にずれ込ませれば、予算を担保にいろいろなことができる。民主党が与党のときもこの手で自民党から揺さぶられました。ねじれ国会のときは補正予算を組むこともザラにありました。
 ところが今の衆議院の予算委員会理事会は民主党はたった1人という超劣勢です。加えて与党にすり寄る維新の理事もありで、野党共闘も不発。与党のいいように仕切られ、2月28日に可決、即参議院に送付されました。これで勝負あり。野党がどう抵抗しようが、与党は粛々と審議を進め時間切れを待つだけでいいのですから、とにかく余裕です。
 前代未聞の3万件を超す意見が寄せられ、その7割以上が抗議である失言王の籾井NHK会長。普通だったらとっくに辞任ですが、首をとるまではいきそうにありません。そこまで追い込めないのです。NHK予算案に反対しても、予算案と同じで成立は確実。問題は、これまで全会一致が通常だったNHK予算案に野党が反対することの重みですが、安倍首相や籾井会長がそんなこと気にするはずもない。
 選挙という民主主義の過程を経た国会で民主主義が機能しなくなってしまう。議院内閣制下での一党独裁の恐ろしさを痛感するのは、まだまだこれからです。   ・・・2014年3月25日執筆

・・・ちょうど今2021年度予算の審議が参議院で行われています。衆議院から送付されたのは3月2日。年度内自然成立の状況で今年も送られてきました。菅総理大臣の長男が絡んだ東北新社の接待と違法認可疑惑、綻びだらけの新型コロナウイルス対策、森組織委員長辞任に絡むオリンピックのゴタゴタ、誤字脱字満載のまま提出されたデジタル法案などなどツッコミどころいっぱいの予算委員会でしたが、なぜか衆議院はさしたる混乱もしませんでした。このまま行けば参議院での予算案成立は3月26日あたりでしょうか。
 このところの予算審議は毎週木曜日発行の文春砲を題材に追求されるのが常となっています。閣僚も官僚も、イライラするような同じ答弁、明らかに嘘だろうと思われる「記憶にございません」答弁などで時間を使い、追求をかわすのに長けてきました。2014年当時に比べ答弁も質問も緊張感も劣化してきています。自民党も力が落ちていますが、それ以上に野党の劣化は深刻だと思います。確かに審議のネタが週刊誌情報ではどうしようもありません。
 明治政府は英国議会を手本にした議院内閣制を導入しました。そして戦後、アメリカにならって三権分立が憲法に明記され権力の分散が図られたと国民は教えられました。ところが現実は、強力な官僚制度と政権交代がない自民党一党支配政治によって三権分立は機能していません。英国型の議院内閣制がその機能を発揮するのは政権交代ができる政党政治が基本です。未熟な政党政治の日本で英国型議院内閣制が機能するはずもないのです。
 コロナ対策の失敗で東北大震災のときもそうだったように、有事においては日本の統治機構(政治、行政)が機能しないことがはっきりしました。これからどうなるのか。無責任のようですが本当に憂いています。

2021-03-22 | Posted in 日記No Comments » 
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