2021-04-26

風立ちぬ №9「本当の勇気とは」・・・なかにし礼の詩から

 69回目の8月15日、千鳥ヶ淵墓苑の追悼集会であいさつをしたとき、サンデー毎日(7月27日号)に掲載されたなかにし礼さんの「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」を引用した。
 集団的自衛権行使の必要性を語る時の安倍総理を初め容認賛成論者の口調。ヘイトスピーチに代表されるプチナショナリズム者のデモの叫びや巷に溢れる嫌中・嫌韓の本の言葉。
いずれも勇ましい。妙に勇ましい。しかし聞けば聞く程、読めば読む程心は渇く。君は本当にそれでいいと思っているのか?と問いたくなる。そんなに僕たちは強いのか?と。

「若き友たちよ!/君は戦場に行ってはならない/なぜなら君は戦争にむいていないからだ/世界史上初めて/69年間も平和がつづいた/理想の国に生まれたんだもの/平和しかしらないんだ/平和の申し子なんだ/平和こそ君の故郷であり/生活であり存在理由なんだ/平和ぼけ?なんとでも言わしておけ/戦争なんか真っ平ごめんだ/人殺しどころか喧嘩もしたくない/たとえ国家といえども/俺の人生にかまわないでくれ/俺は臆病なんだ/俺は弱虫なんだ/卑怯者?そうかもしれない/しかし俺は平和が好きなんだ/それのどこが悪い/弱くあることも/勇気のいることなんだぜ/そう言って胸をはれば/なにか清々しい風が吹くじゃないか/愛する平和の申し子たちよ!/怖れるものはなにもない/今こそ!/身を焦がす痛みに泣こう/泣きながら抵抗を始めよう/泣きながら抵抗しつづけるのだ/泣くことを一生やめてはならない/平和のために!」

 長い詩の最後の部分です。興味がある方はぜひ全文を読んでください。そして本当の勇気とは何かを見つけましょう。未来のために。・・・2014年8月19日記

 この年の7月1日、安倍政権は多くの反対を押し切って憲法違反といえる集団的自衛権行使容認の閣議決定を行った。国会での議論は尽きなかったが、国会を閉じ、その間隙を突いたような暴挙であった。戦後69回目の8月15日はいつもどおり暑かった。そしていつも以上に怒りが充満していたように感じていた。その日の戦没者追悼集会に立憲フォーラム代表で招かれ、あいさつをした。
 限られた短い時間、何を伝えようと考えた。すぐに頭に浮かんだのが、このなかにし礼さんの「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」の詩だった。反戦や平和を訴える私に浴びせられ続けてきた「平和ボケ」や「単独平和主義」といった罵声。どちらかといえば軟弱者扱いされ形見の狭い思いをしがちな私だが、それをどストライクで肯定し、抵抗とは勇気とは何だろうと考えさせてくれた。
 平和な時代に生まれ育った心やさしい若者たちに語りかける詩。軍事国家へと変貌しつつある日本の危険性を訴え、平和のかけがえのなさを歌い、弱き者が涙ながらに時代に抗うことを呼びかけた詩。何度読んでも勇気が湧く。
 そのなかにし礼さんも昨年12月23日に亡くなられた。82歳であった。私たちは、なかにし礼さんの思いをつなぐことができるだろうか。

ネット上で全文を探しました。こちらです。⇒「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」

2021-04-26 | Posted in 日記No Comments »