2013-09

新たな協調とガラパゴス化する政治

土壇場でシリア攻撃が回避された。それもロシアのプーチン大統領の仲介による。絶体絶命のオバマ大統領がプーチンの助け舟に乗った、そんな感じだが、本当のところはわからない。

もともとオバマは2003年のブッシュ大統領のイラク攻撃を批判し、大統領になった人物。イラク攻撃よりも遥かに深刻になりそうなシリア攻撃は、オバマの本意ではないはず。だが、いまだアメリカが世界のポリスマンであることを自任としてはばからない勢力がいる国の大統領である。それなりの姿勢はまだ大統領としての必要資質となっている。シリア介入に否定的だったオバマだが、化学兵器使用を「レッドライン」、つまり超えてはならない一線だと表明した。この発言がオバマを縛ることになる。化学兵器を使用したのだから、何らかの対応が迫られることになる。やらないと「嘘つき」、「弱腰」と非難され、政治力が弱まるのは必至だった。

世界の政治家は目立ちたがりだ。イギリスのキャメロン首相、フランスのオランド大統領が攻撃賛成を表明する。しかしキャメロンは攻撃決議が議会で否決され早々に離脱。フランスは単独では攻撃できないので、「かけ声」感は否めない。

結果的にイギリスの離脱で時間稼ぎできるチャンスを得たオバマは、提案する必要もない攻撃決議を議会にはかるというわざわざ民主的な手続きを行う。この間にプーチンとシリアのアサド大統領間で化学兵器を国際管理下に置くという妥協案が成立。これによって事実上アメリカのシリア攻撃回避が決まった。

化学兵器を国際管理下に置くという妥協案は、随分前から進められていたという。アメリカ大統領としての面子を保ちつつ、攻撃を回避する方法を、世界の指導者が用意周到に演じたかもしれないのだ。そう考えるとイギリス議会での決議案否決もシナリオ通りだったかもしれない。まさかと思うが、あの否決がなければオバマにプーチンの交渉の結果を待つ時間的余裕はなかったのだから。いやオバマはイギリスの結果如何にかかわらず議会にはかるつもりだったかもしれない。いずれにしてもロシアとの協議は水面下で行われていたに違いない。

シリアで生物化学兵器使用を使用したのが、政府側か反政府軍側かはうやむやのままとなるはずだ。黒白を付けずに政治決着となる。巷で言われているように使用したのが反政府軍だとすれば、この展開には大いなる落胆であろう。しかしもともと様々な勢力がそれぞれの思惑の中で動いているのだから、いずれ沈静化せざるを得ない。

科学兵器の調査把握は時間が必要だが、その途中でアサドの辞任も織り込み随かもしれない。世界は参軍複合体の戦争したがり勢力をだましつつ、戦争回避に動いた。

今、アメリカで国連総会が開かれている。イランのロハニ大統領もアメリカ入りしている。国連ビルの何処かでオバマとロハニの歴史的会談があるのではと報じられている。だが公式には発表されないだろうし、両国がそのことを認るはずがない。しかし必ず会うと思う。そしてイランの核兵器開発問題も収束に動く可能性がある。とするとイラン制裁も終わり、イランの原油が出回り始め、原油価格が下がる。そんなことになれば原発再稼働推進組には打撃である。原油の値段が高いから料金を上げなければならない。だから原発再稼働しなければならないという理屈が成り立たなくなる。

世界はパックスアメリカーナの時代から多極化へ向かいつつ、新たな協調の時代に入った。NATOの必要性が弱まり、上海協力機構の比重が強まりつつある。そんな中で我が国の政権与党と首相は、集団的自衛権とか憲法改正とかのいささか時代錯誤、頓珍漢な議論をしたくてたまらないらしい。我が党もその議論のテーブルに乗るかもしれない。政治音痴というより、政治のガラパゴス化が止まらない。

2013-09-25 | Posted in 日記No Comments » 

 

日記209 台風18号

16日の午前9時です。東京麹町の議員宿舎にいます。窓の外はまだそれほどの雨風ではありませんが、これから強くなるはずです。

明日から広島県内の単組を訪問することにしています。そのため午後の新幹線で広島へ行くことにしていました。しかし、台風18号の影響で新幹線が一部の区間で運休しているため、予定変更はやむなしです。

気象庁は先月30日に運用を開始した「特別警報」を、この台風で初めて発しています。これまでは「警報」でした。特別警報は、この警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっているときに出されます。気象庁は、この警報の基準を、18,000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災における大津波、我が国の観測史上最高の潮位を記録し、5,000人以上の死者・行方不明者を出した「伊勢湾台風」の高潮、紀伊半島に甚大な被害をもたらし、100人近い死者・行方不明者を出した「平成23年台風第12号」の豪雨などが該当するとしています。

数年前、津波警報と大津波警報の違いをまざまざと見せつけられました。それくらいの違いが警報と特別警報にはあると思います。その大雨特別警報を近畿の広い範囲に出したわけです。「今までに経験の無い量の大雨」「直ちに命を守る行動を」といったこれまでと違い、緊急を要する危機的な状況を示す報道が特徴的です。みなさん是非早めの非難をお願いします。桂川にかかる嵐山の橋が今にも流されんばかりの映像があります。あの静かな嵐山が信じられない光景になっています。

先週、訪問した兵庫県でも相当な雨の量です。心配です。上陸直前に威力を増す台風も記憶にありません。海水温の上昇が原因のようです。災害の規模も気候の変動で違うレベルになったようです。

今日、広島に行けるかどうかわかりません。こうしている時も各自治体や警察官、消防の皆さんが、緊急体制で頑張ってくれています。

2013-09-16 | Posted in 日記No Comments » 

 

「風立ちぬ」・・・オリンピック決定と監督の引退

2年前。一部の人々が2020年オリンピック東京誘致に向かって動こうとしていた。当時与党だったこともあって、民主党の国会議員、都議会議員が中心になって議論をする機会が多かった。会合に最初に参加したときは、震災が起きた後だった。当時の雰囲気は誘致成功は夢のまた夢の雰囲気だったが、私は前のめりの意見に少々違和感を覚え、水をさすような意見を言った。

「招致が決まる2013年秋は震災の復興は終っていないはず。招致運動は復旧復興と同時に進むことになる。被災地の思いを忘れた誘致運動は国民の賛成を得られない。くれぐれもその点の配慮を御願いしたい」

当時、会議を進める側の席にいたヤワラちゃんこと谷亮子さんは、私の意見に賛同し、「肝に銘じなければなりません」と引き取った。しかし危惧は当たった。

今、自民党政権になり、その頃の多くの仲間が民主党を離れ、国会からもいなくなってしまっている。知らなかったが、1964年の東京オリンピック誘致決定の時の総理は岸信介だったそうだ。約半世紀後の2度目のオリンピック誘致は孫の安倍晋三である。不思議な巡り合わせだと思いつつ、仮に民主党政権であったならば誘致は成功しただろうか、とふと思う。民主党政権は、小泉政権をピークとする市場原理主義政策の反動で誕生したようなものである。六本木ヒルズに代表されるような持つ者よりも格差是正を求める持たざる者に、東京に代表される物、カネ、人を集める大都市圏よりも過疎や経済的疲弊を訴える地方に住む人々に支持された結果が、2009年の政権交代だった。

ロサンゼルス開催以降、オリンピックは経済優先の時の流れに乗ってどんどん派手になっていく。スポーツの祭典であるはずが、余りにも商業主義に染まってしまったオリンピックの姿は批判されだす。しかし流れは止まらない。ギリシャは自らの経済体力に合わないオリンピック開催に走る。市場原理主義に翻弄された姿だった。銀行や投資家はギリシャに金を注ぎ込んだ。2004年、アテネオリンピック終了後状況は変わる。そしてリーマンショック。一気に流れは加速し、不良債権化するギリシャの債務。国の信用が落ち、国債が暴落。ギリシャ経済危機の原因である。

オリンピック開催のための会場建設やアクセスの整備などで新たに1兆3千億が必要と試算される。しかしおそらくもっと膨らむであろう。反対に3兆円の経済効果だと言われる(こっちは少なくなる可能性が大きいが)。一度目のオリンピックは高度経済成長にひた走る日本と日本国民のメルクマールになった。その日本が行き着いた現実には、過労死、サービス残業、格差社会、自殺大国、過疎、地方経済の疲弊、原発被害など、経済優先、成長優先、効率優先の負の遺産が今なお未解決のまま重く私たちにのしかかっている。

こう考えてくると、やはり民主党政権であったならば、オリンピック誘致は成功しなかったのではないかと思うのだ。不確実な福島の汚染水の封じ込めを安倍総理ほど断言して、誘致を進められただろうか。東京一極集中を継続するような2度目の首都オリンピックに民主党国会議員は自民党の皆さんほど賛成しただろうか。

加えて、オリンピックには国威発揚という大目的がある。安倍政権がこれを利用しないはずはない。開催される2020年まで安倍政権が続いていいれば、集団的自衛権の政府見解の変更、憲法改正などの大転換が終っている。

もっとうがって考えれば、議会が反対しても強行するであろうオバマ大統領のシリア攻撃の結果、泥沼化し地域戦争にまで発展した中東にアメリカの要請によって自衛隊が出動し、これまでのPKOやPKFのハードルを越え、自衛隊員が武器を携行して何らの任務についているかもしれない。高騰した原油価格を理由に原発の再稼働だけではなく、再び原発推進へ舵を切り、停まっている原発建設が進んでいるかもしれない。

今のもう一つの話題。映画監督の宮崎駿さんが引退を表明した。多分宮崎さんの最後の映画になるはずの新作「風立ちぬ」はまだ鑑賞していないが、これまでの作品はほぼ観ている。それからすると、宮崎さん自身、原発反対のデモに参加したように、作品には経済優先、成長優先の流れとは違った、いや真逆の価値観が通底していると思う。

新作「風立ちぬ」は戦闘機零戦の製作者堀越二郎を描いたもののようだが、一方で題名からして堀辰雄の小説「風立ちぬ」とも関連があると聞く。堀はフランスの詩人ポール・ヴァレリーの詩を「風立ちぬ。いざ生きめやも」と約し、「風立ちぬ」を作品の題とした。同じ様に宮崎さんも「風立ちぬ」を自身最後の映画にした。

「風立ちぬ。いざ生きめやも」

「風が起きた。さあ生きよう」という意味だが、原文には「生きることを試みなければならない」という意味があるそうだ。

個人的には「風が起きたよ。さあ立ち上がって進みましょう」といった雰囲気を感じる。

2020年のオリンピック誘致成功、シリア攻撃前夜、市場原理主義未だ衰えず、そして憲法改正間近、といったこの時期に自らの引退を発表する。オリンピック誘致成功にわき上がり、以前の様に国家総動員的にオリンピック成功に向かって進む私たちであれば、安倍政権が一方で進めようとする憲法改正にも流れていくであろうし、震災の被害、とりわけ福島を記憶の遠くへ押しやることもできてしまう。地方の大切さをまた忘れて、東京へ東京へと人やカネの波が押し寄せるかもしれない。まさに「いつか来た道」の世界となる。

そんな時に「風立ちぬ」が発表され、この時期に監督が引退表明をする。宮崎さんの引退そのものが、私たちに対する「風が吹いてきているぞ。さあ立ち上がろう」という強烈なメッセージ性を持つ。

今を生きる私たちの生き方は、オリンピック誘致成功でもう一段、難しい階段を登ったような気がしてならない。時代と世代が変わっていることに一縷の望みを抱きつつ、「風立ちぬ」だ。

2013-09-08 | Posted in 日記No Comments » 

 

民主党はどん底を超えた。もっと自信を持て!By 森田実

No.310のPRESS民主が、政治評論家、森田実氏の提言を載せた。よほどマニアックな人じゃなければ政党機関紙など読まない。私もそうだ。この立場になってもほとんど目を通したことがない。こんな活動をしたとか、こんな考えだとか、内容はほとんど党PRの押しつけ。足で稼いできた記事や骨太の企画物などがない。読む気がしない。

ところが、今回の一面は初めて読んだ。その表題が「民主党はどん底を超えた。もっと自信を持て!」。

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表題どおり内容も結構ストレートで少々過激だ。氏は「政党においてもっとも重視すべきは精神的要素。みんなが自分のことのみを考え足を引っぱっていたら、政治活動はなりたたない。いろんな人が民主党を去っていったが、さらに、依然として次の自分個人の選挙を考えて、新党結成を考えている者がいます」として、新党結成時期は、早くて14年12月、遅くて15年12月と指摘する。

だから執行部には1年4ヶ月の時間的余裕がある。この間に民主党を立ち直らせることができれば、新党結成への動きを防げるという。

立ち直らせるカギとして、二つ。第1は、野党に徹すること。極右強権政治へ暴走する安倍政権への協力をやめ、徹底的対決の路線を採ること。第2は、内閣法制局長官のクビのすげ替えという姑息な非常手段で進める、集団的自衛権行使容認への暴走を止めること。

集団的自衛権行使を容認するために安倍政権に協力しようとしている議員が、民主党にいる。このような利敵行為に走ろうとする議員に対して、執行部は毅然と対応しろと檄を飛ばす。離党を勧告し、従わない場合は除名処分を行うべきというのだ。

海江田執行部は軟弱と言われる。先の参議選でも、公示直前になって東京都選挙区候補者を唐突に1人に絞って両方落選させたり、みんなの党と選挙協力するために決まっていた愛媛選挙区の公認候補者を降ろしてみたりと、やることなすことが稚拙極まりない。

東京都の一本化にしてみても、一本化を決める前々日くらいの公認取り消しをする候補者の集会に海江田代表自ら応援に駆けつけ、あいさつをするくらいだから代表本人は一本化する気はなかったはず。それを強行に進言した者がいる。総選挙が終わった段階で厳しいのはわかっていた。一本化するならば、その時しかない。一緒に民主党で頑張ってきた者同士だ。選挙区から外す候補者にはそれなりの処遇が必要なのは素人だってわかる。それもなしに直前にいきなり引き摺り下ろされれば、最悪の結果になることはわかるはず。この対応が、さらに民主党の印象を悪くしてしまった。

そんな執行部だから、氏が指摘するような対応がとれるどうか心配だが、以前の執行部であれば恐らくこんな記事は掲載していないだろう。海江田代表も叩かれて叩かれて、少しずつだが、強くなりつつあるのかもしれない。

2013-09-05 | Posted in 日記No Comments » 

 

日記208 9月です。

このブログを設定しているWordPRESSが攻撃されたようです。WordPRESSを使っているブログの多くが文字化けしたり、開かなくなったりしたようです。このブログもやられてしまいました。ご心配をおかけしたことと思います。

「トンカジョンの議員日記」は、どこにも誰にも頼まずに私一人で一から始めたものですから、とても修復は無理とあきらめ、閉鎖も考えました。どこをどういじればいいのかてんで見当がつかないお手上げ状態でしたから。でもオフシャルHPの管理をお願いしている会社の方が、オフィシャルもやられていたので、一緒に修復してくれました。

しかし、以前の状態まで戻すにはまだ時間と手間がかかります。諦めるつもりです。本当につまらないいたずらをするやつがいるものです。迷惑千万ですね。

さて、そうこうしているうちに暦は9月になりました。先週末は福岡にいました。台風だったので大雨が続きました。雨が上がった月曜日も比較的涼しかったのですが、戻った東京は夏に戻ったような暑い日でした。

そんな日に限って宿舎のエアコンが、深夜突然止まってしまいました。どうも私の部屋の室外機に限って今年の夏は調子が悪いようで、7月に故障し一台は未だに使えません。他は一応直ったようでしたが、やっぱり完全には直っていなかったようですね。扇風機もないので仕方なく窓を開けて寝ることにしましたが、熱帯夜っぽい夜だったなので、少々寝不足です。

こんなことで体調を崩したら情けないです。皆さんも体調管理に注意してください。

 

 

2013-09-03 | Posted in 日記No Comments »