日記

新たな協調とガラパゴス化する政治

土壇場でシリア攻撃が回避された。それもロシアのプーチン大統領の仲介による。絶体絶命のオバマ大統領がプーチンの助け舟に乗った、そんな感じだが、本当のところはわからない。

もともとオバマは2003年のブッシュ大統領のイラク攻撃を批判し、大統領になった人物。イラク攻撃よりも遥かに深刻になりそうなシリア攻撃は、オバマの本意ではないはず。だが、いまだアメリカが世界のポリスマンであることを自任としてはばからない勢力がいる国の大統領である。それなりの姿勢はまだ大統領としての必要資質となっている。シリア介入に否定的だったオバマだが、化学兵器使用を「レッドライン」、つまり超えてはならない一線だと表明した。この発言がオバマを縛ることになる。化学兵器を使用したのだから、何らかの対応が迫られることになる。やらないと「嘘つき」、「弱腰」と非難され、政治力が弱まるのは必至だった。

世界の政治家は目立ちたがりだ。イギリスのキャメロン首相、フランスのオランド大統領が攻撃賛成を表明する。しかしキャメロンは攻撃決議が議会で否決され早々に離脱。フランスは単独では攻撃できないので、「かけ声」感は否めない。

結果的にイギリスの離脱で時間稼ぎできるチャンスを得たオバマは、提案する必要もない攻撃決議を議会にはかるというわざわざ民主的な手続きを行う。この間にプーチンとシリアのアサド大統領間で化学兵器を国際管理下に置くという妥協案が成立。これによって事実上アメリカのシリア攻撃回避が決まった。

化学兵器を国際管理下に置くという妥協案は、随分前から進められていたという。アメリカ大統領としての面子を保ちつつ、攻撃を回避する方法を、世界の指導者が用意周到に演じたかもしれないのだ。そう考えるとイギリス議会での決議案否決もシナリオ通りだったかもしれない。まさかと思うが、あの否決がなければオバマにプーチンの交渉の結果を待つ時間的余裕はなかったのだから。いやオバマはイギリスの結果如何にかかわらず議会にはかるつもりだったかもしれない。いずれにしてもロシアとの協議は水面下で行われていたに違いない。

シリアで生物化学兵器使用を使用したのが、政府側か反政府軍側かはうやむやのままとなるはずだ。黒白を付けずに政治決着となる。巷で言われているように使用したのが反政府軍だとすれば、この展開には大いなる落胆であろう。しかしもともと様々な勢力がそれぞれの思惑の中で動いているのだから、いずれ沈静化せざるを得ない。

科学兵器の調査把握は時間が必要だが、その途中でアサドの辞任も織り込み随かもしれない。世界は参軍複合体の戦争したがり勢力をだましつつ、戦争回避に動いた。

今、アメリカで国連総会が開かれている。イランのロハニ大統領もアメリカ入りしている。国連ビルの何処かでオバマとロハニの歴史的会談があるのではと報じられている。だが公式には発表されないだろうし、両国がそのことを認るはずがない。しかし必ず会うと思う。そしてイランの核兵器開発問題も収束に動く可能性がある。とするとイラン制裁も終わり、イランの原油が出回り始め、原油価格が下がる。そんなことになれば原発再稼働推進組には打撃である。原油の値段が高いから料金を上げなければならない。だから原発再稼働しなければならないという理屈が成り立たなくなる。

世界はパックスアメリカーナの時代から多極化へ向かいつつ、新たな協調の時代に入った。NATOの必要性が弱まり、上海協力機構の比重が強まりつつある。そんな中で我が国の政権与党と首相は、集団的自衛権とか憲法改正とかのいささか時代錯誤、頓珍漢な議論をしたくてたまらないらしい。我が党もその議論のテーブルに乗るかもしれない。政治音痴というより、政治のガラパゴス化が止まらない。

2013-09-25 | Posted in 日記No Comments » 
Comment





Comment