日記

風立ちぬ No12 冷めやすき人々

 2014年7月1日に安倍内閣は集団的自衛権行使容認の閣議決定を行っている。それから1年後の7月16日に集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法案が衆議院で強行採決された。今日紹介する「風立ちぬ」は強行採決から6日後の2015年7月23日に書いたものだ。
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 7月16日、安全保障関連法案が衆議院で強行採決された。国会周辺では日に日に抗議の声が高まっていた。そんな中での強行採決だった。昨日、福岡県選出の自民党の議員と話をした。彼は、「反対運動は長くは続かない。これまでもいつもそうだった」と話す。おそらく政権もそんな思いだろう。
 そんな折、東京新聞社に対して抗議の声が相次いだという。抗議の内容は東京新聞の社説に対してであったそうだ。その社説は安保関連法案と与党の姿勢を批判をするものであった。抗議は保守層からのものではない。なぜ多くの抗議が寄せられたのか。
 社説は冒頭に「それでも法案は強行採決されるだろう」と述べていた。抗議はその一文に対してだったそうだ。この抗議の話をした同新聞社の論説委員は、「(抗議が寄せられるほど)新聞に対する反応は確かに良くなってきた」と言う。つまり読んでもらっているということ。しかし一方で「テレビはそうではない」と続けた。安保関連のニュース番組では視聴率は低迷状態だという。「反対の意識は高まってきたが、もうワンブレイク必要だ」とも言った。
 だとすれば「どうせ長くは続かない」とする自民党議員の分析はあたっているのだろうか。
 議事堂の前のもう当たり前になった抗議行動は、まず「戦争をさせない1000人委員会」から始まり、シールズに引き継がれる。シュプレヒコールの調子もガラッと変わるし、集まる人々も老若男女入り乱れる。そして声も「廃案」から「安倍退陣」に変わってきもしている。その光景を見ていると、これらの人は決して「冷めやすき人々」とは思えないのだ。なめた相手をみかえすためにも「熱き人々」であり続けなければならない。

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 衆議院の強行採決から法案は参議院に送られた。国会は延長され、季節は夏から秋に。議事堂前の抗議行動は日を追うごとに激しさ増していた。しかし2015年9月19日午前2時過ぎ、ついに安全保障関連法案は参議院で強行採決され成立した。国会周辺に抗議に集まった人々は10万人以上と言われる。
 あれから約6年。首相は安倍さんから菅さんに変わった。民主党も民進党に変わり、今は立憲民主党と国民民主党に別れた。国政選挙も第48回総選挙(2017年10月22日)と第25回参議院選挙(2019年7月1日)の2回行われた。何か変わったか。あの国会を取り巻いたエネルギーはどこに向かったか。
 国会は何も変わらず、ただ無力感のみが広がっている。政権に物言えぬ与党議員、何を言っても数の力で跳ね返されるのを経験するしかない野党議員。与野党関係なくこんな話を良くする。「これは戦前と一緒じゃないだろうか。おそらくこうやって戦争に突っ込んでいったんだろう」と。
 菅首相は言っている。「国民は忘れっぽい」と。
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2021-06-14 | Posted in 日記No Comments » 
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