2021-04

風立ちぬ №9「本当の勇気とは」・・・なかにし礼の詩から

 69回目の8月15日、千鳥ヶ淵墓苑の追悼集会であいさつをしたとき、サンデー毎日(7月27日号)に掲載されたなかにし礼さんの「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」を引用した。
 集団的自衛権行使の必要性を語る時の安倍総理を初め容認賛成論者の口調。ヘイトスピーチに代表されるプチナショナリズム者のデモの叫びや巷に溢れる嫌中・嫌韓の本の言葉。
いずれも勇ましい。妙に勇ましい。しかし聞けば聞く程、読めば読む程心は渇く。君は本当にそれでいいと思っているのか?と問いたくなる。そんなに僕たちは強いのか?と。

「若き友たちよ!/君は戦場に行ってはならない/なぜなら君は戦争にむいていないからだ/世界史上初めて/69年間も平和がつづいた/理想の国に生まれたんだもの/平和しかしらないんだ/平和の申し子なんだ/平和こそ君の故郷であり/生活であり存在理由なんだ/平和ぼけ?なんとでも言わしておけ/戦争なんか真っ平ごめんだ/人殺しどころか喧嘩もしたくない/たとえ国家といえども/俺の人生にかまわないでくれ/俺は臆病なんだ/俺は弱虫なんだ/卑怯者?そうかもしれない/しかし俺は平和が好きなんだ/それのどこが悪い/弱くあることも/勇気のいることなんだぜ/そう言って胸をはれば/なにか清々しい風が吹くじゃないか/愛する平和の申し子たちよ!/怖れるものはなにもない/今こそ!/身を焦がす痛みに泣こう/泣きながら抵抗を始めよう/泣きながら抵抗しつづけるのだ/泣くことを一生やめてはならない/平和のために!」

 長い詩の最後の部分です。興味がある方はぜひ全文を読んでください。そして本当の勇気とは何かを見つけましょう。未来のために。・・・2014年8月19日記

 この年の7月1日、安倍政権は多くの反対を押し切って憲法違反といえる集団的自衛権行使容認の閣議決定を行った。国会での議論は尽きなかったが、国会を閉じ、その間隙を突いたような暴挙であった。戦後69回目の8月15日はいつもどおり暑かった。そしていつも以上に怒りが充満していたように感じていた。その日の戦没者追悼集会に立憲フォーラム代表で招かれ、あいさつをした。
 限られた短い時間、何を伝えようと考えた。すぐに頭に浮かんだのが、このなかにし礼さんの「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」の詩だった。反戦や平和を訴える私に浴びせられ続けてきた「平和ボケ」や「単独平和主義」といった罵声。どちらかといえば軟弱者扱いされ形見の狭い思いをしがちな私だが、それをどストライクで肯定し、抵抗とは勇気とは何だろうと考えさせてくれた。
 平和な時代に生まれ育った心やさしい若者たちに語りかける詩。軍事国家へと変貌しつつある日本の危険性を訴え、平和のかけがえのなさを歌い、弱き者が涙ながらに時代に抗うことを呼びかけた詩。何度読んでも勇気が湧く。
 そのなかにし礼さんも昨年12月23日に亡くなられた。82歳であった。私たちは、なかにし礼さんの思いをつなぐことができるだろうか。

ネット上で全文を探しました。こちらです。⇒「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」

2021-04-26 | Posted in 日記No Comments » 

 

風立ちぬ №7「わがまま坊っちゃんに率いられる不幸」2014/5/26

 オバマ大統領がやってきました。そして瞬く間に韓国に行ってしまいました。安倍、オバマの共同記者会見の全てがYouTubeにUPされています。通訳無しなのが残念ですが。
 見られた方は感じられたと思います。安倍総理が耳障りなほど「バラク」「バラク」と大統領をファーストネームで呼んでいたことです。彼に取っては、大統領との信頼関係をそんなことで表現したかったのでしょう。しかし、失礼なほど「バラク」を使う安倍総理が滑稽かつ情けなく思えてしまったのは私だけではないと思います。それに応える大統領の方が「シンゾー」とは言わず、「プライムミニスターアベ」や「ミスターアベ」と返していたから、なおさらです。
 大統領訪問が安倍政治に一石投じてくれることを期待していましたが、残念ながらそうはなりませんでした。というか大統領は記者会見の中で相当踏み込んで話をしていますが、我が宰相の方がてんで意に介していないのです。例えば、躍起になっている集団的自衛権については、安倍総理が「歓迎、支持すると大統領が言ってくれた」と話すのみで、大統領の口からは一言も聞かれませんでした。むしろCNNの記者から「中国への武力行使は?」は問われて、「レッドラインはない」と武力行使を否定しました。加えて日本では「尖閣の安保条約5条適用を大統領が言ったことは、画期的」と興奮しますが、「尖閣の領有権については関知しない」と大統領自らが突き放しています。大統領訪日ではっきりしたのは、「尖閣問題で中国を刺激するのはやめてくれ、何かあっても俺は知らないからな」と大統領が安倍総理を諭していたこと。しかし、総理は意に介さず、極めつけは記者会見の最後に「靖国」のことで持論を展開したことです。何とも情けない我が国の宰相の姿があらわになってしまいました。 ・・・2014年5月26日

2021-04-13 | Posted in 日記No Comments » 

 

風立ちぬ№6 「大統領の訪問」

 先だってワシントンD.C.に行ってきました。
 やはり安倍首相の行動や発言は、「日本は戦後体制を否定したいの?」と映っていました。集団的自衛権も、アメリカの国益のためには「行使可能」にこしたことはありませんが、それよりも東アジアの安定ですよ、といった具合です。「アメリカの普通の知識人は(安倍首相の行動や発言に)不快感を持つだろう」とまで言われたら、もうどうしようもありません。
 靖国参拝や「侵略の定義は無い」と開き直るのは戦前の日本の国策を肯定するようなもの。河野・村山談話の見直し論も同じです。サンフランシスコ講話条約を「嫌だ」と、戦後70年経っても、だだをこねる。そこで今の日本に対して使われる言葉が、「東アジアでの孤立」。近い隣国だけではなく、遠い隣国からもそう思われはじめているという実情は、国内には届かないし、日本のマスコミもそんな論点で記事をあまり書きません。
 戦後秩序を未だに苦々しく思っている頓珍漢勢力の行動や発言が、結果として日本の孤立を招いています。少しやばいと思った安倍首相は大統領訪日前に「河野談話は見直さない」と方向転換に躍起です。ところが22日、靖国神社の春の例大祭に首相の腹心である新藤総務大臣ほか多数が参拝しました。大統領訪日直前です。唖然としてしまいす。頓珍漢な人々が行う頓珍漢な行動が日本を混迷に導いています。
 130年前の黒舟派遣で日本を開国させ、70年前に敗戦に追い込み日本に民主主義を導入させたアメリカ。このままでは東アジアで孤立の道を歩むしかない今の日本。そんな日本の政治に一石を投じるかもしれないオバマアメリカ合衆国大統領が、明日、日本にやって来ます。さあどうなるか。      ・・・2014年4月22日

 オバマ大統領訪日前の2014年3月30日から4月4日まで、立憲フォーラムの仕事で米国のワシントンD.Cを訪問し、米国の議会関係者、政府関係者、オピニオンリーダー、メディアの方々と率直な意見交換を行った(詳細は→オフィシャルHPを参照してください)。彼の地ではサンフランシスコ講和条約以降の世界秩序を否定するかのような安倍首相の行動や発言が相当印象悪く捉えられていた。さて期待されたオバマ大統領の訪日だったが、余りたいした成果はなかった。この後、安倍首相とオバマ大統領との会談は2016年5月の伊勢志摩G7サミットでもう一回実現する。
 時は流れ、米国大統領はオバマからトランプに変わり、今はバイデン。そしてオバマ大統領の回顧録「約束の地」がこの2月に日本でも出版された。
 ジャーナリストの高野孟さんは、新聞広告に日本人の登場人物例として唯一「鳩山由紀夫」の名が出ていたので期待して読んだそうだが、「その部分はわずか23行だけで、しかもそのうち18行は天皇皇后に会って強い印象を受けたことに当てられていて、鳩山首相との会談については『経済危機、北朝鮮問題、沖縄の米海兵隊基地の移転案について協議した。話し上手ではないが感じのいい鳩山は、日本ではここ3年足らずのあいだで4人目の首相であり、私が就任してからは2人目。……その7カ月後には彼も首相の座を去った』とい程度の記述で、この前後の6代にわたりほぼ1年ごとに首相が交代した日本の有様にシラケ気味であることが窺える。というのも、この後の初めての中国訪問をはじめ、ロシア、インド、トルコ等々についてはかなり詳しく印象を語っていて、観察眼の鋭さと問題理解力の深さが感じられるのだが、日本初訪問に関してはそれがない。」と少々失望している。
 今回発売の回顧録は上下2巻だが「回顧録1」。安倍首相が登場するとすれば「回顧録2」を待たねばならない。
 「私の予想では、オバマは安倍にはあまり好意を持っていないはずで、それは16年11月にトランプが当選するや否や安倍が『50万円のゴルフクラブ』とかを土産に就任前のトランプに会いに行くという前例のない無礼を働き、当時ホワイトハウス広報官が『米国には大統領は1人しかいない』と不快感を示したからである。さあて、『回顧録2』で安倍はどう描かれているのだろうか」と高野さんは興味津々である。きっと大した記述はないと思っている。

2021-04-06 | Posted in 日記No Comments »