2020-03-30

地方税・地方交付税法に反対討論。

久しぶりに、ブログを更新します。
先週、金曜日の27日。参議院本会議でR2年度予算案が与党賛成多数で可決、成立しました。政府はすぐに新型コロナウイルス対策のための補正予算編成に入り、4月中には成立させる方針と聞きます。立憲会派は現下の状況から見て、それでは遅すぎる。対策をすぐに打つためには2年度予算を組み替えるべきと主張しましたが、与党は聞き入れませんでした。
新型コロナの影響はすでに2月から出始め、3月では経済活動への影響が深刻化しています。雇用助成金や資金融資程度では済まない状況となっていました。補正予算では1ヶ月以上対応が遅れてしまいます。残念です。
一方、予算関連法案である地方税・地方交付税法案も審議され、この採決の際に登壇し「反対討論」を行いました。内容は以下のとおりです。10分の持ち時間を37秒ほどoverしたようで、与党席から「時間です」のヤジが飛びました。ヤジはいつものことで慣れてはいます。事前に読んだ際は時間内に収まったのですが・・・。

地方税法・地方交付税法 反対討論原文

 立憲民主党の江崎孝です。会派を代表して、議題となりました両法律案に反対の立場から討論を行います。
 まず、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に、心からお悔やみを申し上げますとともに、感染により、肺炎等を発症された方々に、お見舞いと一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 2年前の3月7日。財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんが、自ら命を絶たれました。心からご冥福をお祈りするとともに、自身の意に反して不正に手を染めなければならなかった無念さは、いかばかりであったか。察するに余りあります。
 しかし赤木さんは、最後に意地と正義を貫かれました。不正を強いた面々と、財務省、財務局、そして政治を告発する遺書と手記を残された。その思いを引き継ぎ、告発に踏み切った赤木さんの奥さんの勇気ある行動がなければ、遺書も手記も、私たちは目にすることはできなかった。「ありがとうございます」。心からそう申し上げます。

 さて、財務省の皆さんも、他の公務員の皆さんも、この反対討論をお聞きかもしれません。赤木さんの告発を知ったあなた方は、これからも、ただ黙って動かないのですか。このまま、この不正を指を加えて見過ごすつもりですか。唯々諾々と権力に、ひれ伏し続けるつもりですか。不正を強いた側が、のうのうと出世していく不条理を、見て見ぬふりをし続けるのですか。日々官邸のために答弁し続ける姿は、情けなさを通り越し、酷ごいとしか言いようがありません。
 皆さんが心の底に持ち続けているはずの、正義と勇気を国民は待ち続けているはずです。立ち上がっていただきたい。赤木さんは、そのことを誰より望んでいるはずです。

 「政治家は歴史法廷の被告である」。故中曽根元総理の言葉です。
 後世の歴史の法廷で安倍総理は、政治からの独立性が求められる検察官の人事に、法律の解釈をねじ曲げてまで恣意的に介入した。税金を用いて開催される総理大臣の公的な行事である「桜を見る会」や、関連行事を自らの支援者や友人のために、公職選挙法に抵触する形で長年利用してきた。そして人の命を奪うほどの疑獄事件、公文書改ざんの原因を夫婦でつくったにもかかわらず、自らは一切責任をとらなかった。と記されるでしょう。
 不名誉極まれりであります。

 「統計が乱れると国が乱れる」。これは、おととしの総務委員会における当時の総務省統計局長の答弁です。そうであるとすれば、公文書が乱れる、法律の解釈が乱れる、人事が乱れる、安倍内閣における過去に例のない数々の乱れは、国家、統治機構にどれほどの歪みをもたらしたのか。是非、この議場におられる与党の議員諸君は、一人一人御自身の胸に手を当てて考えていただきたい。

 本法律案にも、そのような「乱れ」が色濃く出ています。
 その一つが余りに甘く、忖度しているとしか思えない財務省の税収見通しです。そのため今年度の税収は大きく下振れし、去る1月に成立した令和元年度補正予算と補正交付税法により、地方交付税法定率分の約6,500億円の減額と一時的な補塡が行われました。この補塡分は、令和3年度から10年かけて地方交付税の減額という形で地方が負担することになります。

 この非常措置は平成28年度についで安倍政権下で二度目となります。
 過去、同一政権で同じ過ちが二度繰り返されたのは、平成13年度、14年度の小泉政権です。しかしこの時は同時多発テロとそれ以後の中東情勢の悪化による、世界的景気の落ち込みが原因であり、ある意味予測は不可能だったと言えます。それ以後、平成19年度、20年度、21年度と連続しますが、この原因はサブプライムローン、そしてリーマンショックです。つまりこの時も予測は難しかったのです。
 そして安倍政権になって何が始まったか。アベノミクスによる常軌を逸した成長戦略です。きっと成長するはずであり、内閣府のGDP成長率も伸びなければならないはずだ、となる。
 アベノミクスが始まった、平成25年度から令和2年度までの8年間、民間調査機関6社の実質GDP成長率予測値と政府見通しを比較してみると、最低最高の2社を除いた平均値と政府見通し、なんと年平均0.5%も政府が高く見積もっています。来年度に至っては実に0.9%も高い。それでも税収は厳しく見積もるのが常識でしょう。収入は予算額より決算額が上回り、支出は逆になる。
 ところが、法人税は、平成27年度から3年続けて、予算額を決算額が大きく下回る異常を招いている。平成28年度は2兆円近くの税収不足を招き、地方に交付税減額措置を強いたのです。
 アベノミクスを売りにした官邸に、命じられてか、忖度してか。
 いずれにしても官邸を向いて仕事する省庁の姿勢が、招いた結果と言って過言ではありません。
 来年度の地方交付税総額は、2年連続で増加するとともに、地方にとって使途が限定されない一般財源総額も、「骨太の方針」で示された「実質同水準」が確保されたとしています。地方税について過去最高の40.9兆円、地方交付税について約4,000億円増の16.6兆円を見込んでいる。

 しかしながら、今回の地方財政計画も、令和元年度と同様、前提となる経済成長見通しも税収見積もりも極めて甘い。昨年の消費税率の引上げ後の10ー12月期GDPの減少に加え、今年1ー3月も景気は上向かないことがほぼ予測できたにもかかわらず、法人税は、甘すぎた昨年度の税収見込み額より、さらに過大に見積もるという異常事態となっています。
 これでは令和2年度の税収見込みも、誰が考えても達成不可能です。
 2年連続で地方交付税原資の減額を余儀なくされ、後年度にその帳尻合わせを、地方が負う異常事態となるのは目に見えています。同一政権で3度目。その何れの年も、過去のように予測不可能な世界的事件が、発生したわけではない、通常事態での失策。まさに異常です。
 アベノミクスを原因とする国家的詐欺とも言えましょう。
 1月以降の「コロナショック」による、経済活動の想定外の縮小を踏まえれば、来年度の税収減は巨額になります。財政運営に支障をきたす自治体も出てくる可能性もある。そうなると国のミスを、地方に転嫁するような無責任な地方交付税制度の運用に批判が集中するはずです。
 国の税収見積りの誤りについては、その全額を国の責任で補塡すべきである、と高市総務大臣に申し上げます。

 個人版のふるさと納税制度については、今回の改正事項には含まれていませんが、昨年の改正の結果として、国と地方公共団体が、裁判で争う事態となったことは極めて遺憾です。裁判における具体的な係争の内容については、コメントしませんが、そもそも、各地で返礼品競争に拍車がかかることになったのは、平成27年度からの、ふるさと納税の大幅な拡充が契機です。
 これは、当時、ふるさと納税の問題点を指摘した、総務省の担当局長の反対を押し切って実施されたものです。高市総務大臣、あなたもよくご存じのはずです。
 税の専門家の立場から、まっとうな意見を述べた官僚が、恣意的な人事で役所を去ったことを。これも官邸主導ではないでしょうか。
 結局、国と地方が裁判沙汰となるような異常事態を招いたのは、
元をたどれば、地方税の趣旨を歪めるような制度改正を強行した政府に、最大の責任があるということを指摘しておきます。
 
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 先般決定された「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」による事業については、有症患者が入院できる病床整備や、自治体の相談窓口設置等への補助など、地方負担があるものに対して、8割を基本とした特別交付税措置が講じられることとされています。
 
 この特別交付税措置については、4月からの新年度においても切れ目なく講じていく必要があります。このため、令和2年度の特別交付税の速やかな交付とともに、同年度特別交付税の総額についても、大幅な増額を含めた検討が必要となるでしょう。
 政府においては地方自治体との十分な意思疎通、連携により、相談、検査、治療の体制強化により、感染拡大の抑制に全力を挙げるよう強く訴えます。

 赤木さんの手記の公開により、公文書改ざん問題において、新たな事実が判明しました。国民の誰もが再調査が必要だと思っている。
 安倍総理、そして麻生財務大臣の二人は一切再調査に応じようとしません。
 なぜでしょう。少し考えてみればわかります。二人は調査する側ではない。調査される側にいる。その二人が再調査を望むはずがないのです。
 厚遇すぎる国有地払い下げと、その事実を隠蔽する目的で仕組まれた、一人の人間の命を奪った公文書の改ざん事件の当事者なのです。
 そんな二人が提出の責任者でもある法案に、賛成できるはずがないではないですか。これまで反対の理由をいろいろ述べてきましたが、反対理由はたったそれだけで良かったのかもしれません。
 赤木さんと告発した奥さんの思いを受け止め、必ず再調査させ、
真実を国民の前に明らかする。その強い思いを最後に訴え私の反対討論といたします。

2020-03-30 | Posted in 日記No Comments »