日記

「日本の原発は消滅へ」田中前規制委員長が驚きの発言!

 国民は、関電幹部の驚愕の金品授受事件で原子力マネーの凄まじさを知る。贈り主の高浜町森山元助役が亡くなったのが今年の3月。彼は自宅に金品の提供先や金額が書かれたメモを残していた。そのメモを税務調査で訪れた金沢国税局員が発見し、一連の問題が明らかになるきっかけになったという。なぜ森山氏はそんなメモを残しておいたのだろう。メモの情報は所謂「棺桶まで持っていく」代物のはず。死後当然遺産相続等で税当局が入る可能性があることは、森山氏ほどの経験者であれば百も承知のはず。この二つの「はず」に僕は引っかかっている。考えうる理由は三つ。一つは税務調査が入ることなど想定外だった。二つはメモのことは完全に忘れていた。最後は、意図的に残した。もし最後だたとしたらどうだろう。そう考えると背筋が寒くなる。
 事が知れたら電力業界は大揺れに揺れる。フクイチの事故発生後、業界代表の座を引き継いだその関電を根本から揺さぶる大事件になることは必至の情報が、マスコミではなく国税調査で発覚するという芝居じみた「絵」を森山氏は描いたのだとしたら。大きすぎる贈答の金品。怖くて貰った側は使いたくても使えない。実際大部分は使わずしまってあった訳だが、贈った側がいなくなるまでは、と思っていたとすれば、まるで「そううまくは行かせない」とでも言ってそうではないか。
 原子力規制委員会の前委員長の田中俊一氏が、雑誌「選択」11月号巻頭インタビューで刺激的なことを言っている。
 田中氏は関電事件のことを聞かれて、「原子力業界が姿勢を徹底的に正さなければ、日本の原子力に先はない。この国の原発はフェードアウトする道を歩んでいる」と厳しい。
 田中氏は、1967年3月に東北大学工学部原子核工学科を卒業し、同年4月に特殊法人日本原子力研究所(のちの日本原子力研究開発機構)に入所した生粋の原子力研究者である。その彼が「日本の原子力政策は嘘だらけでここまでやってきた」と唾棄するように言う。最大の嘘が高速増殖炉「もんじゅ」であり、最大の問題が「いまだに核燃料サイクルに拘泥していること」だという。
 数千年のエネルギー資源を確保できるという嘘を言い続けてきたから、核燃料サイクル路線を放棄できないでいるのが実態であり、実用化できる可能性はないと断言する。「世界でそんなことをやろうとしている国は日本だけだ。(そんなものに)コストと時間をかけている国はない」と核燃料サイクルには手厳しい。しかし、これからの原発業界は、「まず再稼働した原発を安全に運転することに専念することが基本」と原発の必要性を否定はしない。必要だと思うからこそ、関電事件の業界や核燃料サイクルに固執する国に腹立たしい思いを募らせているのだろう。
 インタビューの最後を、「(何も変わらないので)残念ながら日本の原発は一回なくなるんじゃかと見ている」と締めくくった。原子力規制委員会前委員長の言葉は重い。
 嘘で塗り固めて安全神話をつくり、原発マネーをばら撒いて反対を抑え込み原発建設を進めてきた国と業界。実態はそうだと知っていながら多くの人が黙ってきた。しかしその流れは確実に変わった。フクイチ事故は安全神話を吹き飛ばし、そして今度の関電事件は霧に包まれていた原発マネーの実態を国民にさらけ出させた。
 森山元助役は本当に原発に賛成だったのか?そんな新たな疑問が湧き出る。地域の発展のため敢えて原発マネーに手を染めた。本当なら賛成はしたくない。たった一人で最後のどんでん返しの絵を描いた。残すメモが、弱った原子力業界に最後のトドメを指すはず。
 そんな妄想を描いてしまった。僕の悪い癖だ。

2019-11-05 | Posted in 日記No Comments » 
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