2017-05-19

9条3項の新設のみで自衛隊合憲化は不可能。

 安倍改憲宣言のビーンボールぶりを暴く。
 「安倍2020年施行改憲の問題点」と題した伊藤真弁護士の講演(5月19日 立憲フォーラム院内集会)の概略報告。
 まず、現9条の規範構造
 1項で国際紛争つまり「侵略戦争を放棄」、そして2項で戦力を保持せず交戦権を認めないことで「自衛戦争も放棄」→「全面放棄説」が通説となる。つまり2項こそが「特に」重要。
 これまでの政府の自衛隊合憲の説明は、
 →海外で武力行使はできない。
 →集団的自衛権は行使できない。・・・つまり自衛目的での海外での武力行使を否定。
 しかし、独立国家なので「自衛権」は保持しているから、日本が攻撃されたときに国民を守るための必要最小限の実力行使(個別的自衛権)は認められる。
 結果、武力行使をする自衛隊が違憲かもしれないとの指摘を受けることで、常に、9条の例外としての存在として緊張関係があった。
 →常に自衛のためか
 →常に必要最小限か と問われる続けるところに違憲論の意味があった。

 ところが、2015年の戦争法以降の自衛隊は
 →海外で戦える組織となった(法律上)
 →普通の国なら軍隊としての活動(法律上)・・・このような自衛隊を憲法がゆるしているのか。

 このような自衛隊は違憲ではないか?(そう違憲だ!とみんなが思う)だから
 →自衛隊を疑いなく海外で戦える組織にする。
 →自衛隊という名称のまま軍隊として活動できるようにする。・・・これが安倍改憲宣言だ。

そのために9条に3項を加える。どのように。
例1
3項「前項の規定は、自衛隊の設置を妨げない」
例2
3項「前項の規定は、自衛のため必要最小限度の実力組織としての自衛隊の設置を妨げない」

しかし、これでも2項を残すとすれば、
 →自衛隊が戦力か否かの議論は残る。・・・安倍改憲理由(自衛隊の合憲化)の目的を達成しない。
 →戦力だが例外だ!とするなら2項の空文化となり、徹底した恒久平和主義の否定・・・安倍改憲説明(前分と9条1項2項を残し、平和主義を守る)は嘘になる。

ということで2項を残し3項新設での自衛隊合憲化は不可能!

だまされまい。甘い言葉と安倍改憲宣言。
それよりなにより、戦争法で立憲主義を否定し、今日の共謀罪法の衆議院法務委員会での強行採決で法治国家であることを否定した安倍政権に憲法を論じる資格はな〜い!のだ。
 

2017-05-19 | Posted in 日記1 Comment »