日記

自然成立を前に採決が強行されそうなTPPと関連法案。

 新自由主義にもとづいた自由貿易を僕は「新自由貿易」と呼ぶ。みんな使い出さないかな、と思っていたら同僚の徳永参議が「反対討論で使っていい?」と聞いてきた。「どうぞ。どうぞ」である。
 さて強行採決を前にTPP質疑での政府答弁のうそを暴くとします。
 まず農業。「輸入も増えるが輸出も増え、攻める農業への転換が可能」は本当か?
 日本の平成27年度の農林水産物の輸出国の円グラフ。アジアへの輸出が73.5%を占める。その内訳は1位が香港、2位台湾、3位中国、4位韓国、5位タイ。これだけで全体の約6割、アジア分の8割以上を占める。しかしこの国はいずれもTPPには参加していない。6位にベトナム、7位にシンガポールとやっとTPP参加国が顔を出す。輸出のお得意先が入らないTPPでは農林水産物の輸出増などたかがしれていることになる。img_2599
 一方輸入はどうか。農産物全体ではTPP参加の米国、オーストラリア、カナダの農産物大国が38.4%を占める。品目別に見ると小麦はこの3国でほぼ100%。牛肉はオーストリア、米国、ニュージーランドのTPP三カ国でほぼ100%。豚肉は米国34.1%、カナダ18%で二カ国で半分を占める。とうもろこしは84.3が米国。大豆も米国が62.9%、カナダが15.6%。このように輸出と違って、輸入国のほとんどはTPP参加国なのだ。img_2600
 これに加え遺伝子組換えの米の輸出も虎視眈々と狙っている。
 この現実から言えること。TPPによって輸入はさらに増える。特に肉や乳製品は激増する。国内業者はそうとう淘汰されるが、それに反して輸出が伸びることは殆どない。

 「大企業だけでなく中小企業も関税撤廃により輸出や海外進出が可能となり、新たな雇用が生まれる」は本当か?
 言うまでもなく、国内雇用者の9割は中小零細企業で雇用されている。その業者数は約380万者。ではこの380万のうちどれだけが今現在、輸出をしているか。実は正確な数字は把握されていないが、2011年でおおよそ6,336者。0.2%にもならない。中には当然、新たに輸出をと考える中小企業主がいるだろうが、それでもわずかであろう。つまり殆どの中小零細企業は輸出なんて考えもしないし、できないのが実態だ。

 農業生産者も中小企業もそのほとんどというかほぼ100%が国内需要で成り立っているのが現実。「攻めの農業、輸出増で雇用増」といった夢言葉でTPPを正当化するのは、大問題なのだ。

 もう一つ。政府の試算では「TPPでGDPが2.6%増加する」は本当か?
 積み上げの計算方法が疑問視されるが、あえて正しいと仮定してみよう。輸出で0.6プラスだが、輸入も0.61増える。これはマイナスになるから輸出は相殺される(というかマイナス0.01じゃん)。ほかは政府消費(公共事業)が0.43%、民間投資が0.57%、民間消費が1.59%。これを全部足して2.59%となる。これ全部が国内需要。どこか無理ある数字であることは一目瞭然です。異次元の金融緩和、膨大な公共事業やっても上向かない国内需要がなぜTPPで上向くのでしょうか。大いに疑問です。

 このように非常に胡散臭いTPPのプラス効果。まともな議論というか回答もしないまま、明日にも強行採決されるTPPと関連法案です。しかも発効することは100%ありえない条約を。

2016-12-08 | Posted in 日記No Comments » 
Comment





Comment