日記

中小にまで官製賃上げの強制。

 9月になって日経新聞が、「東証一部上場企業の4社に1社の筆頭株主が国になった」という記事を掲載した。年金基金と日銀資金で株を買い漁った結果である。まさにトランプ現象以前の株価は官製相場だった。そこまでしなければアベノミクスの失敗が露呈し、内閣支持率も落ちる。しかしいつまでも官製相場は維持できるものではない。
 株価が保たれている内になんとかしなかればならないのが国内需要喚起。そのためにはまず来春闘での大幅賃上げが絶対条件である。今年も、昨年も大企業の賃上げはそれなりに行われた。官製春闘と揶揄されたが、一向に消費は上向かなかった。その理由を政府を中小企業の賃上げが進まなかったからだと言いたいらしい。
 政府・与党の2017年度の税制改正の大枠が報道された。企業の賃上げを促す減税制度を拡充し、前年度と比べて給与を2%以上増やした中小企業に、給与総額の増加分の22%を法人税額から控除できる仕組みを導入するそうだ。減税までして中小企業に賃上げを要求する。
 そんな付け焼刃的官製賃上げで消費が上向くだろうか。そんな訳無いだろう。そもそも中小企業の7割は法人税を払っていない。だから官製賃上げの枠外である。では3割の中小企業が大企業のように内部留保を溜め込む余裕のある経営をしているだろうか。
 昨日寿司屋の大将が嘆いていた。築地の河岸に来る業者がほとんどいない、そうだ。それほど景気は冷え込んでいる。大企業や一部のお金持ち、サラリーマンがどんなに潤っても消費者としての絶対数はたかがしれている。その結果が河岸の人気のなさなのだ。東京でさえこうだから地方はもっと大変である。
 いいかげんに成長神話から目を覚まし、成熟社会へ方向転換しないと、できもしないアベノミクスにミスリードされ本当に日本経済がパンクする。そうなったら社会保障の充実や教育の無料化など格差貧困対策が本当にできなくなる。

2016-12-01 | Posted in 日記No Comments » 
Comment





Comment