2016-11

総理に伝わらなかった質問の意味。

 グローバリゼーションが終焉の方向に流れるだろうと思う理由の一つに、アメリカ国民がトランプ氏を次期大統領に選んだ事にある。
 昨日のTPP特別委員会で総理への質問に立った。与野党の時間割の影響で午前と午後にまたがった変則な時間設定になったしまった。それも午前の自民党の質問が始まってから、彼らが自分たちの質問を10分早く切り上げると言って来たもんだから僕の午前の質問時間が10分前倒しになってしまった。午前19分、午後26分、計45分。まあこれも仕方ない。臨機応変に対応するしかない。
 TPPは経済連携協定でありながらアメリカの東アジアの安全保障政策である。もともとブルネイ、シンガポール、チリ、ニュージーランドの4小国が始めた。それぞれの国が強い分野で輸出を相互に促進するというお互い納得の協定論議で始まった。そこにオバマ政権が目を付け、これを環太平洋の自由貿易協定に格上げし、台頭する中国に対する貿易包囲網を築く政策に活用した。合わせて米国内の多国籍企業、特にモンサントなどのメガ食料企業が米、麦(遺伝仕組み換え含む)、豚肉・牛肉(豪もニュージーランドも)も輸出増を目指し積極活用に参入したのが現実だ。TPP12カ国の中で突出した巨大市場を持つのは米国と日本でしかない。食料企業や国がターゲットにしているのは誰が見ても日本なのだ。
 バイ(1対1)の自由貿易協定ではアメリカの言いなりにならなければならないので、もっと米国から突っ込まれると判断した官僚は、タイミング良く民主党政権に変わった時点で、御しやすい菅総理を動かし、まんまと参加表明に成功する(多分自民党政権であればもっと厳しかったはず)。自民党は総選挙はTPP断固反対で闘った。自民党の多数の本音はこっち。これは今も同じだが、安倍独裁のため完全に封印されている。
 安倍総理はおそらくTPPの経済効果など余り興味はないはず。あるのは中国との力関係。もっと単刀直入にいえば、普通の右翼の中国敵視感のそれだと思う。それが思いの70%くらいを占めた総理が官僚、特に経産、外務の説得の中でTPP参加に舵を切った、というのが僕の予想だ。
 そのTPP推進の主人公である米国がほぼ確実にTPP離脱となる。つまりは経済政策をベースにした中国外交を転換するわけだから、TPPの意味は単なる多国籍企業の日本からのさらなる利益収奪となってしまう。TPPといった自由貿易協定は自由の仮面を被った不公平貿易協定。力のある多国籍企業を多く持つ国と企業がさらに儲けるように仕組まれたものだ。あのスティグリッツ教授(ノーベル経済学者。最近グローバリゼーションや金融緩和策に否定的意見を出している)はTPPは自由貿易協定ではなく、一部の利益団体による「管理」貿易体制だと指摘している。わかりやすい言い方なので昨日の質問に使わせてもらった。
 
 とここまで書いて今日もTPP特別委員会がある。そろそろ行かなければ。

2016-11-15 | Posted in 日記2 Comments » 

 

グローバリゼーションの終焉。

 結果が出てからだから何とでもいえるが、実は私は「トランプが勝つだろう」と思っていた。少しはブログに書いていたけど、これほど大差だとは。しかしイギリスのEU離脱と同様に外国マスコミの選挙分析はまたも大はずれだった。日本での選挙予想は当たり過ぎの感がある。日本国民の行動や回答がまともすぎるのか、海外マスコミの分析力が弱いのか。それともブレクジットの時も今回も意図的にマスコミが分析を外したのかはわからない。ただ今回も不可解なことはたくさんあった。米国マスコミのすべてといっていいほどがクリントン支持だったこと。そして極めつけは選挙戦再終盤でのFBIのクリントンメール問題の再捜査開始、そして直前での「訴追なし」の結果発表。FBIの動きはどうみてもクリントンに対する選挙妨害にしか見えない。投票日まで捜査を続ければクリントン支持者から「妨害」の批判が強まったであろう。直前の捜査終結でその批判をかわしたが、クリントン陣営にとっては直前の捜査再開が痛手だったことには変わりない。

 私がトランプが勝つと思っていた理由の一つに、以前のブログで紹介したジャーナリストの田中さんの分析があった。その分析は置いておいて、投票の直前も田中さんはトランプが勝つと言っていた。それに加え世界は露中米の「新ヤルタ体制」に移行すると予想していた。ヤルタ体制とは、第2次世界大戦後の米国主導での新世界秩序体制であったが、結局は冷戦開始でうまくいかなかった。とここまで書いて時間がなくなったので、ひとまず了とします。続きは次の機会にします。

2016-11-10 | Posted in 日記No Comments »