2016-11-18

自由貿易の間違い。

 総理は、「我が国は、これまで自由貿易で発展し、今日の日本になった」と言い、だから自由貿易をさらに進めるためTPPが必要だと力説し、保護主義に陥ってはいけないと言う。トランプ次期大統領の誕生で世界が保護主義へ傾斜するのではないかと危惧するマスコミの論調も目立つ。
 こんなでたらめに乗せられてはいけない。
 そもそも自由貿易とは「自由」が付いているから、正義のような感がある。しかし始まりは産業革命で先に発展した英国が、支配国や世界を相手どって自国利益をさらに上げるために言い出したものだ。その時も国内産業保護のために数々の保護政策をしいていた。
 前世紀の大戦は保護主義が原因とされるが、それは逆で自由貿易の行き過ぎ(最初のグローバリゼーション)の反動で世界がブロック経済化を強め、結果起きた軋轢が世界大戦となった。原因は行き過ぎた自由貿易、つまりはグローバリゼーションだった。
 そして戦後、その反省に立ち、アメリカ主導でブロック化することを避けるため今のIMF等の国際機関が設立されることになる。その一つがGATTである。しかし途上国も先進国も同じ権利のもとで参加する国際機関は意見がまとまらず、議論は進まない。気候変動会議が良い例だ。持つ国と持たざる国、大国と小国の意見がぶつかり合い合意に時間がかかる。ガットはウルグアイ・ラウンドを最後にWTO(世界貿易機関)という正式な世界機関へ格上げ(1995年)されたが、実情は変わらない。時は冷戦後。資本主義の勝利が謳歌され、第2次グローバリゼーションが始まっている。遅々として進まぬWTOに業を煮やしたアメリカや多国籍企業は地域間の自由貿易協定締結へと舵を切る。1992年、NAFTA(北米自由貿易協定)が署名される。FTAの歴史は意外と古い。最初のFTAがEUの前進のECCと言われるし、ASEANNもFTAである。しかしNAFTAと大きく違うのは国対国ではなく、企業が全面に出てきたこと。アメリカを中心としたグローバリゼーションの荒波が本格化する。
 そこで総理への質問となる。
 日本は自由貿易で経済発展してきたのだろうか。日本の経済成長率が大きかった時代はいつか。1956年〜73年度は平均9.1%、74年〜90年度は平均4.2%、それが91年〜15年度になると0.9%に落ちる。これは世界も同じで、保護規制が今よりも格段に多かった1960年代〜70年代が、90年代以降よりもずっと速いペースで成長していた。例えば一人当たりの所得の成長率は、1960年〜80年が3.2%、80年〜99年は2.2%に下がった。途上国はもっとひどく3%から1.5%に半減する。中国とインドとの成長率を加味しても、今はもっと下がっている。つまりは、自由貿易という美辞麗句の仮面を被った新自由主義、グローバリズムは貧困と格差を世界に蔓延しているのである。

とここで議員総会の時間となった。続きはまた次の機会にm(_ _)m

2016-11-18 | Posted in 日記No Comments »