日記

TPP特別委員会での質問。

前回からつづきです。

 オバマ大統領は、TPPを中国包囲網の安全保障政策経財版として積極推進することを決め、それに豪州、日本が追随した。そのTPPから米国が抜けるということは、これ結構大変なことだ。経財的にも本来の安全保障政策の面でもほとんど機能しなくなる。というか機能させないことを次期大統領が選択したことになる。当然、米中関係も劇的に変化するだろう。そんな大転換が行われることがほぼ決まった日の翌日に、日本は脳天気に強行採決したわけである。

 そんな訳で以下の質門となる。
Q「トランプ氏のTPPからの離脱の意思表明は、中国との関係を見直すということ。敵対から友好への舵切りかもしれません。そうなると環太平洋の国々との安全保障関係も変わります。このTPPの強行採決は日本だけがその流れに逆らいたいという意思表示のようにも思いますが。総理のお考えをお聞きします」

 もう一つ。ロシアとの関係だ。トランプ次期大統領は選挙期間中、プーチン大統領に好意的な発言を繰り返している。ロシアは無関心を決め込んでいるが、TPPが米国中心の環太平洋経財版安全保障政策であるとすれば、ロシアもその成り行きは注視している。シリアやウクライナ問題でオバマ大統領は、本音は違っていてもロシアの足をひっぱる真似をし続けた(例えば、オバマ大統領は2014年夏、シリア空爆の直前まで追い込まれたが、ロシアの助け舟で空爆をしなくてすんだことなど、プーチン大統領にだいぶ助けられている)。しかしこれからそれがなくなり、米露関係は新たな展開をみせるだろう。TPPからの米国の離脱はロシアにとっても歓迎すべきことなのだ。そこで次の質門になる。
Q「もう一つ、今総理は12月のプーチンロシア大統領との会談をひかえていらっしゃいます。重要な会談となるでしょう。領土問題も重要な議論になると私も期待しています。TPPは米国を中心とした環太平洋の経済連携協定。米国の安全保障政策の枠組みのなかでできています。トランプ氏は選挙期間中からプーチン大統領に好意的な話をしていました。そのトランプ氏が離脱を表明したTPP。米露関係も見直される可能性もある。ロシアにとっては決して悪くないこと。しかしそれなのに安倍総理はその枠組み維持を強固に主張し、大統領選の翌日に衆議院で採決を強行した。日ロ会談を控えた我が国としては、非常に間が悪かったと思います。私はこのTPPの強行採決がプーチン大統領の心象に少なからず影響を与えたのではないかと危惧しますが、いかがお考えか」

 むろんこの質問にはまともな回答はなかった。質問の意味がわからなかったか、結構痛いところなのではぐらかしたかのいずれかだろう。強行採決は、12月の日ロ首脳会談が安倍総理が思い期待する話にはならない方に動く影響を与えた。なんとも間の悪い、なんの益にもならない、意味のない強行採決であった。

 さて、いずれにしても官邸や外務省は17日に行われる安倍、トランプ会談で頭が超痛いだろう。彼らが一番恐れるのが、日本の頭越しに米ロ、米中関係が動いていくことであり、見直されることだ。日本こそが東アジアにおけるアメリカの一番の理解者であり、同盟国である。そのことが戦後の日本外交の基本であった。その背景には冷戦構造があり、冷戦がなくなったあとは、意図的な中国、ロシア敵視体制をつくり上げ、巨大な軍事国家を維持してきたし、その枠組に日本、豪州、フィリピン、韓国を組み込んできた。それがトランプ氏の登場で大きく転換する可能性がでてきた。
 戦後最大の危機的不安状態に政府はあると思う。
 トランプ次期大統領との会談後、日本政府の姿勢が劇的に変わることもありうる。つまりTPP推進から一気に引くということ。もしそうなれば、会期延長はせず、継続審議とし次期国会は参議院で審議を再開させるという手でくるかもしれない。もしくは継続審議とせず、審議未了廃案で、TPPは葬られることも。

 安倍政権はトランプ誕生で一気に求心力をなくすかもしれない。まさにTPPでトランプのババを引いてしまった。

2016-11-16 | Posted in 日記No Comments » 
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