2016-07-13

選挙結果の若干の分析と展望② 「東高西低の原因」。

 各選挙区でその闘い方による結果の違いが明確にでた。
 一昨日、1人区で敗北した同僚と話をしたが、もっと明確に反原発と改憲反対を主張すべきだったと反省していた。電力や電機などの組合に遠慮して明確に主張しなかった民進党候補が敗北していると思う。その点、無所属の候補者は主張がはっきりして争点が明確になる分、有権者も判断しやすいのだ。無所属候補の多くが勝利したのも頷けるのである。
 正直言って原発問題はもうカタがついている。福島の現実を見れば国民は原発の新設も認めないし、再稼働についてもさらに批判が強まるだろう。要は原発推進のエネルギー政策にはもう戻れないのだ。そのことを政府も電力などの関連会社も勇気をもって自覚すべき時期にきている。FITが動きだし、発送電分離も始まる。再生可能エネルギー転換を電力や電機などの会社と政府が一緒になって強力に推進すれば、原発依存のエネルギー政策からの脱却はそう遠くなく可能になる。それまでのベストミックスとして現存原発の必要最小限の稼働は国民も納得する。
 国策で始めた原発推進。引く時も国策で引くしかない。立地自治体もそれで納得する。本音で原発を望んでいる人はほとんどいない。実際、原発の様々な費用やこれからの投資費を考えれば電力会社の本音もそこにあると思う。

 話がそれてしまった。今回も東高西低の結果が如実に出てしまった。保守地盤が強固だという説もあるが、それでは同じように保守が強い東北で野党統一候補、民進党候補は勝っていることを説明できない。
 僕は野党側にも問題があると思っている。それも社民党と労組(特に自治労)に関してだ。北海道と愛知の複数区では民進党が2人を擁立し勝たせた。両方ともほぼ労組は民進党に転換しきっている。そうでない東北はもともと保守が強かった。そこに自民党を割ってでた小沢一郎という政治家の影響によって保守が自民党と民進党に分裂している。だから勢力的に弱い社民党だが、民進党と共闘すること、そしてそこに共産党が加わることで五分の闘いをすることができた。

 西の方がどうか。西では小沢さんのような自民党を割って出る保守の政治家がいなかったため、保守=自民党の強固な一枚岩が残っている。一方の社会党は民主党と社民党に分裂し、いまだ解消していない。社民党の支持母体の中心は自治労と教組。(しかし教組はしたたかで地域政党としての社民党支持、中央政党は民進党と見事に割り切っている。)そんな訳で強固な自民党に対し、分裂した(民進党と社民党の)野党勢力がその時だけの共闘で闘いを挑んでも、もともと自社時代から力の差があった訳だから勝つのは難しい。強烈な風が吹かなければ保守の岩盤を突き崩すことはできないことになる。
 考えてみれば今の保守政治の源は明治の藩閥政治にある。したがって薩長土肥、つまり鹿児島、山口、佐賀、高知の保守地盤は他県よりさらに強い。特に鹿児島、山口は強い(だから今度の鹿児島県知事選挙の勝利は相当なことなのです)。保守が強い分、反目である左派も頑さを強めることになってしまい、必然、勢力は減退する。地方議員を出す地域政党として存続する道を選ぶしかないことになった。

 ドラスチックに合流した北海道や愛知。保守分裂の影響が残る東。一方で強固な一枚岩の保守地盤が残された鹿児島、山口を中心とした西。西で無所属候補がいなかったのは東のように「民進+保守+共産+社民」の構図が描けなかったことにある。唯一勝った大分は西では最強の社民地盤を持つ。「民進+社民」の構図でまだ五分くらいの闘いができる西では唯一の地域といって良い(沖縄はもっと別の構図である)。しかしここも徐々に勢力は後退しつつあるのではないか。

 話が長くなってしまった。言いたいことは民進党と社民党が名実ともに一枚岩にならなければ西ではこの状況が続くということだ。社民党を中央、地方で支える大母体は自治労だけになったと言って良い。その自治労も比例区では分裂選挙を続け、非常に危険な選挙戦を行わなければならなくなっている。私は勝たせてもらったが、残念ながら事実上のもう一人の組織内の大分出身の吉田社民党党首が議席を失った。

 自治労の政治的分裂が西日本の自民党優位に関係していると思う。それが今回の安倍政権大勝につながっている。そうだとしたら今回の選挙結果を真摯に受け止め、前に進む判断をする時期にきているのではないか。時間はそうある訳ではない。(つづく)

2016-07-13 | Posted in 日記No Comments »