2016-04-20

伊勢志摩サミットの危険。

 14~15日にワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、「通貨安誘導の回避」と「一段の構造改革」で一致したと伝えられた(新聞報道)。同会議で麻生財務大臣は最近の円高傾向に対し、「円相場の偏った動き」と表現し懸念を示した。しかしルー米財務長官は逆に「相場は秩序的」と反論した。為替介入も辞さないとの暗黙の意思表明だった麻生大臣にとっては出鼻をくじかれた思いであったろう。
 アメリカはアベノミクスの円安誘導政策をこの間黙認してきた。その姿勢が変わったのか。日経のコラムでは黙認の理由を「(米側の)08年のドル安誘導への負い目があるからだ」と解説しているが、それでは言葉足らずである。量的緩和からの出口を探っていた米側からすれば、自らに代わってお金を市中にばら撒く役を演じてくれるならば少々の円安は大目にみていたということだろう。しかしそれでも日米欧の景気は上向かず、アメリカも利上げは事実上不可能な状況とあっては円安をそういつまでも黙ってもいられなくなったのだ。アベノミクスは頼みのアメリカからも「No」を突きつけられた形である。
 さらにアメリカは日本にプレッシャーをかけてきた。「米政権がG20の場でわざわざ冷淡さを見せつけたのは、日本の構造改革の遅れへのいらだちがある(米議会関係者)」(日経)とし、「日本は外需でなく内需に目を向ける必要がある」とルー財務長官は述べ、円安頼みの政策運営から「野心的な構造改革」に政策転換するよう安倍政権に強く促した。内需拡大は以前から私も言ってきたことで賛成であるが、「野心的な構造改革」が気に食わない。その中身は「『脱時間給』法案と、カジノを含む統合型リゾート(IR)法案」の早期成立だからだ。脱時間給法案でさらに給料を安く働かせ、日本でのカジノ開発で米レジャー産業の投資機会を増やすとの思いだ。
 いいかげんにしろと言いたくなる。いずれにしても来月開かれる伊勢志摩サミットの場は、そんな要請を日本が飲まされる場になるかもしれない。またもアメリカに尾を振る役を演じるか。アメリカに振り回される続ける日本を脱しなければ、パナマ文書などに縁のないローカルの面々の生活はさらに過酷になる。

2016-04-20 | Posted in 日記No Comments »