とんかじょんの「ふむふむ」

サウジの苦悩。

 昨日、第190国会が開会しました。開会前に天皇陛下を出迎えなければなりません。「なりません」というのは各委員会の委員長以上は出迎えなければならないからです。今国会で沖縄北方特別委員会委員長となった私は、初めてモーニングコートを着て国会中央階段に並びました。国会訪問をされた方はご存知でしょうが、国会中央階段は天皇陛下しか利用しません。しかしここ数年、足腰が衰えられた陛下はその長い階段を避け、途中から参議院のエレベーターを使われているようです。
 さて昨夜、サウジアラビアがイランとの国交断絶したニュースが伝わりました。サウジは47人の国内過激派等を処刑しました。このうちシーア派は4人。この中にシーア派の宗教指導者が入っていたという理由で、イランの急進派(おそらく)の一部がテヘランのサウジ大使館を襲撃。国交断絶はこのことに対する報復措置とも思えますが、何となくお粗末な外交行動です。
 サウジは今、内憂外患で揺れており、それにうまく対応できるだけの内政外交になっていない。これがこの一連の流れの原因のように思えます。サウジは一部の王族が国内統制する王国です。加えて豊富なオイルマネーがその王族を潤わせています。しかし国民の不満が噴出せず、国内が安定しているのは一部のオイルマネーを使って公共サービスは無料、無税の国政が続けられているからです。外交も原油政策中心の政治でアメリカに頼っていれば良かった。軍隊も持っていますが、実戦には不向きなほど実力がないと言われています。
 そんなサウジです。イラン制裁解除など思いもよらなかった方向に動くオバマ政権に驚き、アメリカとの外交関係が思わしくなくなり、ロシアとの友好関係に舵を切るようになったのが数年前。そのころからアメリカでシェールガス・オイルの増産が起こります。加えて過剰供給もあり原油安が問題となります。中東オイル生産国の中心であるサウジはこの時の原油価格決定で失敗します。つまり減産をしなかった。結果原油は今の安いまま。これまで出回らなかった制裁解除明けイラン原油が出回れば原油はさらに安くなり、サウジの財政は悪化するのは必定。
 無税、無料の内政が継続できなくなれば国民の不満は噴出、内政不安に陥る。それを未然に防ぐ意味での47人の処刑に踏み切るという極端な強行手段に踏み込んでしまった。アメとムチの政策そのもののようです。
 ところが殆どが自国多数のスンニ派の過激派だったが、わずか4人のシーア派の中に宗教指導者いた。そこにイランの急進派が噛み付いた、というより噛み付かせてしまったといった方がいいかもしれません。そこにサウジの意図があったとは思えないからです。なぜなら友好関係を築きたいと思っているロシアはシリアではイランと一緒にアサド政権側について、ISISの空爆を進めている。そんなイランと国交断絶は相当な覚悟が要る。そんな覚悟がアメリカの後ろ盾を無くしたサウジにあるかです。サウジは苦悩の中にあるようです。まるでもう一度アメリカに救いを求めるようなそんな迷走ぶりです。
 私が不安なのは今、黙りを決め込んでいるイスラエルの動きです。イラン制裁解除を嬉しく思っていないもう一つの中東大国はイスラエル。今、イスラエルが黙っているのはISISの過激ぶりが目立ち過ぎ、自国がパレスチナなで行っている過激な行動が目立たなくなっているから。イスラエルが迷えるサウジの苦悩にどう反応するか。何もなければサウジの苦悩はおそらくロシアとアメリカが和らげるはずです。

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