日記

NHK③

前回、籾井という異失物が経営の中枢に入り込んだことにより、NHKの組織そのものが弛緩しだしたことを書いた。正に「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則がすっぽりと当てはまった感がある。

そのことを裏付ける事件がまた起きた。

「クロ現やらせ事件」の重大性とその調査報告書のあまりの杜撰さに、さすがの総務省も切れたのか。法にもとづき監督官庁として「厳重注意」の指導文書を出すことにした。

しかし、この受取をNHK側が拒否。すったもんだの挙句、その日の夜にファックスで受け取ったという。

僕に言わして貰えば、指導文書などというものは行政の放送に対する介入そのもので、許せないと思うが、我が国の法の立て付けは行政優位なので仕方ない。それを受取拒否したという訳だから政治介入に抵抗した、と感じ入っていた。

その顛末を総務委員会で同僚議員が質問したが、受取拒否事件の真相はどうも僕の思いとは違っていたようだ。

まずことの経過を総務省の役人とNHKの理事が応えるが、奥歯に物がはさまったような言い振りで埒が明かない。業を煮やした高市総務大臣が発言しようとする役人を制し、「私がお応えします」と詳細に解りやすく回答した。それによると。

(その後の委員会での質疑でさらに詳細になったものもあるので、時間などを加筆)

NHK側に文書を渡そうとした時、たまたま先の担当理事が総務省に居たので、文書を大臣自らが説明して渡すので総務大臣室に寄って欲しいと伝えた。しかし当の理事はそれを無視し帰ってしまう。これが18時30分頃。担当理事は指導文書が出る旨をさっそく関係者に報告したという。この頃、籾井会長は外出中でNHKには居なかった。

※ここで最初の疑問がわく。なぜこの理事は大臣室に寄らずに帰ったのか。このとき報告した関係者の中に会長が含まれているか否か。

大臣は、仕方なくNHKの秘書室に電話し担当者に文書を持たせて向かわせるので対応して欲しい旨を伝え、担当者を向かわせた。秘書室長が確認のため18時50分ころ、タクシーで移動中のその担当者に電話して文書を持ってNHKに向かっていることを確認した。

19時過ぎ、担当者がNHKに到着するが、対応してもらえず、中にも入れず、車中で待機することになる。結局3時間ほど待つが、NHK側からは何の連絡もなく中にも入れてもらえないため、文書を渡さないまま担当者は総務省に帰庁する。業を煮やし呆れもした総務省はファックスで送りつけたのが10時頃だった。

NHK側は関係者と文書の中身について(この時点で文書は受け取っていないので内容は知らないはず)打ち合わせに時間がかかり、対応ができなかったと弁明。

※内容も知らずに何を検討していたのか。単に受け取るべきか否かを検討していたのか。不可解です。

会長が、総務省が指導文書を発出したことを知ったのは電話による連絡で午後8時頃。その後、会長が帰社する9時30分を待って、関係者で打ち合わせし、受け取ることを決めた。その時初めて、担当者が文書を持ってNHKまで来ていることを会長が知ったという。時既に遅しで、担当者は帰庁していたということのよう。

※会長が知ったのが午後8時。それまでなぜ連絡しなかったのか。それとも連絡がとれなかったのかは、不明。午後8時の段階で担当者が来て、待っていることをなぜ告げなかったのか?それとも告げたことを明らかにできない何かがあるのか。

※秘書室はこの件に関しての全ての連絡を担当理事に任せており、自らは知らないと発言。それってあり?

いろいろ疑問いっぱいだが、委員会答弁を聞いて感じるのは、明らかに組織で何かを隠しているということ。それが何かというと、籾井会長であるのは間違いないだろう。

僕なりに推論をしてみると。

会長の承諾なしに文書を受け取れば大変という思いが担当理事にあったので、気が動転していたこともあり大臣室によらずに帰ったが、会長とは連絡がつかない。つかないので総務省派遣の職員とも会うとやばい。やっと会長と連絡がついたのが午後8時。それまでどこにいたのかわからなかったか、知っていても会いに行くことができなかったか、どこにいて何をしていたかわかってしまうと問題となるのでふせているか、のいずれかであろう。

結局、会長が帰社するまでほったらかしになってしまった、とこんなとこではないか。

会長に聞かないと、彼が怖くて何もできないという体質が籾井会長の下で出来上がってしまった。会長不祥事に発展することを組織で防ぐために口裏を合わせ嘘を言っているとしか思えないNHK側の対応なのだ。

蛇足だが、最近では与党でさえ会長に対する堪忍袋の尾が切れかかっている。特に総務大臣のこの一件に関しての怒りは一目瞭然なのだ。しかしバックに官邸がいるから、「NHK会長は総務大臣よりお忙しいとお見受けいたします」と嫌味をいうの精一杯の仕返しだった。

 

 

 

2015-06-05 | Posted in 日記No Comments » 
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