2014-11

希望は絶望の中に。

内閣府が昨日、7〜9月のGDP速報値が前期比(2014年4〜9月)年率▲1.6%だと発表しました。驚きを持って今朝の新聞で報道されていますが、これは大方予想されていました。だから首相は消費税増税先送りという人気とりの政策を打ち上げ、これをもって解散しようとしています。総選挙の争点を無理やり消費税増税の是非にもっていこうというわけです。「解散」は自らの失政を糊塗するための愚劣な手法と言わざるを得ません。

さてこの前期比年率▲1.6%とはそんなに大変なことでしょうか?

前期(4〜6月)の前期比(1〜3月)年率が▲7.1%なので、悪かった前期と比べてさらに悪化したことになりますので、これは確かにショックです。ただ1〜3月は増税前の駆け込み需要で前期比(2013年10〜12月)年率△6.0%と大幅に伸びていますので、それより4〜6月は悪くなるのは当然といえば当然です。ただ良く比較される前回の消費税引き上げの1997年は、景気が悪化し、橋本首相退陣のきっかけとなりましたが、その時より今回の4〜6月のGDPのマイナス率が大きかったのに加え、前回は7〜9月でプラスに転じたので、今回も持ち直すだろうと楽観視されていました。しかし結果は1997年時よりもさらに深刻なことがはっきりしたことになります。ですから首相は橋本首相よりショックのはずですが、能天気に解散などと強がっているので話になりません。

よく4月の消費税増税が景気の足を引っ張ったと言われますが、そうでしょうか?

アベノミクスに浮かれていた2013年ですが、GDP前期比年率で1〜3月が△5.4、4〜6月△3.4、7〜9月△1.8とプラス幅が確実に減少し、年末の10〜12月に至ってはとうとう▲0.5のマイナスに転じました。1〜3月は駆け込み需要で消費が伸びるのは当然です。この例外の四半期を除けば、この1年8ヶ月のあいだGDPのそんなに良くなかったことになります。加えてこの期間は実質雇用者報酬も毎四半期マイナスで、特に増税が始まった4〜6月は大きく▲1.7(前期比)と落ち込みました。

つまりアベノミクスの効果はGDPを押し上げるまでに至らず、むしろGDPは足踏みしつつ漸減に転じたとろに消費税の増税が追い打ちをかけたといえるでしょう。その最大の理由は雇用者報酬(一部は上がったのですが、大手中心それもボーナス中心です。)が上がらなかったことです。

面白い数字があります。以前ブログにも書きましたが、内閣府が発表する現金給与総額(一人当たり賃金月額)です。所定内給与は2012年6月から2014年4月までずーっとマイナスです(前年同月比)が、残業代なのど所定外給与やボーナスなどの特別給与は2013年の1月以降は概ねプラスで推移し、そのため所定内給与はマイナスにもかかわらず現金給与総額がプラスとなるという結果となっています。特にボーナスの影響は大きいのですが、今春闘の結果をみてもボーナスが支給できる会社は比較的大手と言えます。所定内給与のマイナス幅が大きく、マイナスが長期間続いているということは、雇用者の多くを占める中小零細やサービス業で賃金上げ進んでいないこと、賃金が安い非正規雇用が増加していることなどが考えられます。

一般の人の賃金が上がらないとなれば、わが国GDPを支える約6割の国内消費が上がらない。企業も設備投資を控える。日銀がじゃぶじゃぶお金を流して利息を下げて銀行に投資を促しても、貸したい銀行も貸出先がみつからない。したがって日銀が垂れ流す円も社会で回ることはない。消費は上がらず、GDPは伸びない。

加えてアベノミクスによる円安(これもアベノミクスによるものかどうか、本当のところはわかりません。経済学者の伊藤光晴さんは円安は財務省の為替介入ではないかと指摘しています・・・「世界2013年8月号」と近著「アベノミクス批判」)原因の消費者物価上昇です(様々な原因で原油価格が安くなっているのでまだいいのですが、仮に原油価格が上がれば事態はもっと深刻になります)。ますます消費は控えられ、加えて消費増税なので第2、第3四半期がGDPがこうなるのも冷静に見れば予想できたはずです。

1997年増税時と今は状況はさらに深刻になっています。①非正規雇用が飛躍的に増加し社会の中心的雇用形態になってしまった。②グローバリゼーションの影響で日本的経営が崩れ、株主中心主義に変化した結果、雇用者報酬が上がらず、むしろ減少傾向にあること。③公共事業型の地方の経済政策が国地方の財政悪化によって持続できなくなり、地方の経済状況が悪化し雇用問題を中心にして自然要因による少子化以上のスピードで人口減少が進んでいること。④国内消費の中心である生産年齢人口が減り続け、当時と比較して約700万人ほど減少し、総人口の減少も始まったこと。⑤約540兆円だった国と地方の借金総額が倍以上膨らんでいること・・・などなどで、どれ一つ取っても深刻な社会問題です。

アベノミクスの三本の矢ではこれらの問題の抜本的解決が難しいのは一目瞭然ではないでしょうか。わが国はどこかで政策転換をはからなければなりませんでしたが、55年体制とそれが作ってきたガバナンスがそれを許しませんでした。最後のチャンスの民主党政権も未熟さとそれまでのガバナンス側の巻き返しで実現できませんでした。

黒田日銀総裁のバズーカ砲的量的緩和も、アベノミクスというより何とか景気を良くして、将来に備える(持続可能な社会保障と財政再建)ための消費税増税を実現するためだったと言えますが、これも首相は見事に裏切り、①景気は良くならず、従って税収も増えないし、来年は法人税減税を約束しているためさらに税収は落ち込む。②(税と社会保障の一体改革を反故にし)持続可能な社会保障への道筋を閉ざして国民の将来不安を増幅させた。③財政悪化はさらに進むとともに、黒田総裁の出口の見えない量的緩和(増税を失敗したので意味のない悪政になりつつあります)により自国通貨である円の価値が落ちることにより、日本国の信頼が揺らぎ始めた・・・などなど、国民を道連れにして闇に突っ込んでいこうとしています。闇には何があるのでしょうか。

安倍政権は暴走政権ですが、首相最悪の暴走解散を、今、誰も止められない。最後に止めることができるのは、首相最悪の暴走を最後の暴走にできるのは、有権者、国民となります。ここで止め切らなければ首相とともに深い闇の中へ突っ込んでいきます。絶望の中に希望があると言います。

最後の政策転換のチャンスが12月14日の総選挙となるでしょう。

2014-11-19 | Posted in 日記No Comments » 

 

やることなすこと矛盾だらけです。

黒田日銀総裁が追加緩和を強行したのが先月末です。政策委員会のメンバーは9人。1名は黒田総裁本人、副総裁2名は総裁派でしょう。残る委員6名中の4名が反対したのですから前代未聞、追加緩和はまさに黒田総裁の強行策だったと言えます。
月に発行する国債全部を日銀が買うほどの金融緩和ですからすごいことです。
同日GPIFがポートフォリオの変更を発表しました。長期国債の量を減らし、株購入の拡大です。タイミング的にはその分を日銀が買い支えるような感じです。そこまでして株価を維持したいのは、消費税増税のための環境整備であり、黒田総裁がその決断を安倍首相に迫っているとしか思えません。

それを無視して巷間言われているように、増税先送りの決断をして解散に打って出るのでしょうか?
財務省は「アベノミクスと増税云々の決断は政府と日銀の責任」とすでに開き直っているとも聞きます。
思えば安倍政権の政策は矛盾だらけでした。瑞穂の国の資本主義といって市場原理を批判しているように見えて、国家戦略特区などは市場原理の最たるものですし、女性の仕事進出といいながら、圧倒的多数の女性の非正規労働をさらに増やすことになる派遣法の改正。昨年の通常国会では農業所得倍増を声高に国会で叫んでいましたが、戸別所得補償制度の廃止によって米の専業農家ほど経営が悪化しています。
直近の半ば強引な日中首脳会談もどこまで考えての行動だったのか?と疑わざるを得ません。日中関係が重要であれば、靖国参拝はしない方が得策と常識では考えるはずです。尖閣についても日本は領土問題は無いという立場です。これは安倍首相の政治信条でしょう。しかし首脳会談の前段での合意事項では中国の主張をあっさり認めた形になりました。そこまでして首脳会談をやりたかったのが、解散前の得点稼ぎのためだとしたらとんでもないことです。しかし努力はあまり報われず、評価はあまり高くないようです。

まだまだ矛盾はたくさんあります。地方創生や女性の社会進出に関する法案は、どうみても一夜漬け的な中身ですが、今国会の目玉法案とし集団的自衛権の閣議決定強行の議論を吹き飛ばしましたが、これも解散で成立が危ぶまれています。

要するにやることなすこと矛盾だらけ、将来ビジョンがあるとは思えない。だから訳のわからない解散を本当に行うかもしれません。でも月曜日帰国して、解散風を一蹴することだってやりかねないのが安倍首相です。

 

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2014-11-14 | Posted in 日記No Comments » 

 

風を読んでみたが。

先週より昨日。昨日より今日が強くなっています。

何がかといえば、永田町に時おり吹く「解散」という名の風です。衆議員の皆さんのそわそわ感が肌で感じるようになりました。

それに比例して参議院の方でもなんか変な、いつもと違う空気を感じるようになるのですから、本当に雰囲気というものはつくられるものだとつくづく感心します。

マスコミが書き出した風の風上を見ると、そこには官邸があります。唯一決定権を持つご本人は日本にいないのですから、風元は違う人々でしょうか。わかりません。

風が吹く理由はいろいろありますが、順序立てて考えてみると風が吹く理由もわからないではありません。

アベノミクスがうまくいかず、東京でも評判が悪いのだから地方ではもっとでしょう。先日行われた旭川市長選挙では自民候補が大敗を喫しています。地方にとってはTPPも農業政策も評判が悪い。南の沖縄では来週の16日に投開票の知事選で現職の仲井真知事の敗北がほぼ確定的です。そうなるともっと雰囲気は悪くなります。

さらに翌日の17日にはGDPの速報値が出されますが、予想では相当悪い。おそらく消費税増税に踏み切れないのではないかとも言われています。一方で日銀の黒田総裁は民間委員の反対を押し切ってさらなる追加緩和を強行。出口の見えない金融緩和の泥沼に入り込んでしまいました。あれほどもてはやしていたマスコミも批判しだし、アベノミクスの夢が急速にしぼんでいます。

起死回生の一打を見込んだ拉致協議も北に思うようにやられた感も出始めているので、決定打になりそうにはありません。

このまま国会を閉じて消費税増税を決定するか見送るか!財務省は絶対に増税に踏み切らせたい。しかし増税決定後の安倍内閣の支持率は下がる。解散が遅くなればなるほど分が悪くなるし、今なら野党、特に民主党の候補者未決定の選挙区は多く、選挙協力も進んでいないが遅くなればなるほど野党の選挙態勢も整う。

ならばどうする?増税決定前に解散に打って出る。傷の浅い負け方をさせて、その後の第3次安倍内閣で増税決定を行う。300に迫る衆議院の議席だから選挙をすれば減らすのは確実だが50議席減らしても250近い。これでもすごい数。

そう考えるとAPEC中に半ば強引に日中首脳会談を仕掛けたのも解散に向けての点数稼ぎともとれるし、思わぬことだが日韓首脳会談も実現した。その成功を引っさげて帰国した安倍総理が来週、解散を決断する。などと風を読めないこともない。

でも解散する大義名分はほとんどないので本当にやるのでしょうかね。

ただ解散風でざわつきだした国会です。閣僚の辞任や不祥事に対する野党の追求の勢いも急速にしぼみだしたのは事実です。これはこれで成功しています。ひょっとしたらこれが官邸の目的ではないのか?とも読めるのです。だから解散はないとも。

いずれにしても結論は風を読んでみても、結局はアベノミシルです。

 

2014-11-11 | Posted in 日記1 Comment » 

 

日記249 78歳になった国会議事堂

現在の国会議事堂が竣工したのが1936年11月7日。今日が議事堂くん78回目の誕生日ということになります。そんな記念すべき日になんですが、国会は衆参でもめています。

本当なら10時から開かれるはずだった参議院本会議でしたが、議事運営委員会(議運)がもめて長引いており、とりあえず議員総会が解散となり会館の部屋にもどってきたところです。衆議院の方では野党抜きで厚生労働委員会が強行されています。派遣法改正案の論議です。

昨日、地方創生の関連2法案が野党が反対する中で衆議院本会議で可決。参議院に送られてきました。今日の本会議は、この法案の趣旨説明とそれに対する質問です。地方分権の考えが全くなく、「ただただ国が言う通りに頑張った自治体にはお金をあげる」的なこれこそ自民党的補助金バラマキのための法案。これではますます地方分権は遠のくばかりで、各自治体は意味のない計画づくりにまたぞろ駆り出されるだけです。そこで一括交付金復活の修正案を野党共同で提出し、これが否決されたので関連2法案の方は反対しました。

会期末が迫り、来週から総理が外遊することもあって国会終盤の審議日程がタイト。そこで与党は参議院でも特別委員会を設置して法案審議を行いたい意向です。なぜか?本来ならば総務委員会などの常任委員会で審議するのが誰が考えても妥当です。しかし常任委員会は火曜日、木曜日の定例日開催が決まっているため審議に時間がかかるということになります。その点特別委員会は空いてる時間にいつでも開催できる利点があり、会期中に法案を成立させたい与党からすれば特別委員会で議論したいというわけです。

ところがところがすでに参議院には3つの特別委員会が設置されており、これ以上増やさないというのが参議院での合意事項。新しく設置するには今あるどれかを廃止しなかればならないのですが、そこは多数与党、そんな様々な問題を無視して無理やり特別委員会を一つ増やし、審議する方向です。

・・・・約2時間経過

結局、与党が委員長職権で特別委員会設置を押し切りました。12時20分から本会議が開催されました。多数決は民主主義の基本のようですが、数が多けりゃなんでもまかり通るのが国会です。やっぱりそれなりの数がなければ力になりませんね。これで訳のわからない地方創生関連法案は成立します。

議事堂の誕生日なのですが、中で行われていたのは多数に強行でした。ねじれ国会が民主的なのかもしれません。

 

2014-11-07 | Posted in 日記No Comments »