昨日の産経新聞の記事に驚く。見出しに「交付税6千億円減額 地方公務員給与の削減促進 政府、方針固める」とあり、以下の要旨の記事が続く。
政府が国家公務員の給与削減に併せ、地方公務員にも同程度の削減を促すため地方交付税を減額する方針を固めたことが11日、分かった。平成24年度以降、総額約17.4兆円の交付税から最大で年間約6千億円を減額する。・・・野田佳彦首相は、公務員給与削減を消費税増税に向けた「身を切る改革」の目玉としたい意向だが、国家公務員の給与削減で生み出される財源は年間3千億円程度。・・・約56万人の国家公務員だけではなく、約234万人に上る地方公務員の給与引き下げも行うことで国民の理解を得たい考えだ。
だそうだ。そして「今国会での予算調整が難しい場合、今秋の臨時国会に補正予算案を提出し、年度末までの数カ月分を減額する案も浮上している。」と今年秋の臨時国会の話にまで記事の内容は飛ぶ。そして当然、「自治労や日教組の支援を受ける民主党内には地方への波及に反対する意見も根強く、調整は難航しそうだ。」と自治労や日教組の反対も忘れず、抵抗勢力は誰かを説明する。結びには「自治体側からの強い反発も予想されるだけに」と自治体の反発を加え、最後は「先行きは不透明だ。」として記事内容そのものの信憑性の低さを自ら宣言して閉じる。
一体全体この記事の冒頭の主語である「政府」とは誰を指すのか?総理か閣僚の誰かだろうか?
労働基本権が不完全な状態の我が国公務員に対して、不完全の代償として法定されているのが人事院という機関の設置とそこが行う勧告制度である。この制度下において国家公務員の賃金水準は、地方交付税のうちの地方自治体の人件費相当部分の積算の根拠となっていた。しかし今回の国家公務員のマイナス7.8%の決定は違うレベルのもの。所謂政府と職員団体の協議によって決まったもの。この協議は公務員制度改革実現後の新たな労使関係成立によって効力を持つであろう労使協議の先取り的物。いわば非公式な政労協議と言える。それも国家公務員制度改革の法案とセットでの成立を条件に職員団体側が承認したものだ。そんな国の労使による決定が地方の裁量権を奪うことは許されない。地方のことは地方が決めるべきもの。地方分権の流れをこんなことで押し戻してはならない。それが道理であり制度でもある。これは削減という不利なことだからいっているのではない。仮に有利な決定であっても、地方が上意下達で国に従わされることはあってはならないのだ。
復興財源が必要であるならば、地方6団体が集まり協議し、それぞれができることを決めれば良い。国がそうしたから地方もならえでは、何時まで経っても国の傲慢な態度も改まらないし、地方の自主自律の精神も高まらない。
先の質問に戻るが、上記のような制度だからこそ記事のような内容の方針を固める「政府」はいるはずがない。もしそんな考えを持つ閣僚や官僚がいたならば、その人物は全くもって国と地方の現行法上の権利と義務の関係を知らないことになる。
案の定、総務省も財務省も記事の内容に驚いていているという情報である。一体誰がこんな謎に満ちた記事を書いたのか、書かせたのか。さすがに産経新聞だと思うが、新聞記事に「怪」が多い最近である。


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