2017-06-01

「原発ゼロ」社会の実現に向けて(論考)

 民進党では原発ゼロ法案策定を目指した党内議論を加速しています。その論議の方向性をリードしたいという思いで、小論を書いて見ました。それなりに課題整理はできたのではと思う。しかし、まだまだ足りない分はある。そこはこれから随時ブラッシュアップしようと思っています。
 ここでは論考の「はじめに」の部分だけ紹介します。

はじめに

 私たちは、我が国において原子力発電によるエネルギーに全く依存しない社会を2030年に実現する(以下「原発ゼロ」)という政策目標を掲げ、議論を重ねてきた。その考え方の前提に、①40年廃炉の徹底②再稼働、新増設(建設中、計画中含め)を認めない③核燃料サイクル事業の中止…を掲げた。各課題の実現性に対する疑問、「原発ゼロ」社会の実現に対しての様々な批判、反論があることも承知している。それら疑問・批判に答えるとともに国民の理解を基本に我が国の英知、技術を結集すれば「原発ゼロ」が可能であり、むしろその社会こそが私たちが実現すべき持続可能な未来ある社会であることを、あらためて確認したい。
 強調したいのは、電力エネルギーをめぐる状況、環境は日々新しいと言ってよいほどの変化が生まれていることだ。前提を固定してしまわないこと、が重要である。例えばアメリカの研究機関「エネルギー経済・財務分析研究所」(IEEFT)は3月21日付けで報告書を出したが、日本の省エネルギーの傾向は2030年まで続き、2030年の電力需要は8,680億kWhにまで減ると予測した。日本政府が2015年に決めた「長期エネルギー需要見通し」は、2030年の電力需要を9,808億kWhとしているから、11.5%も少ない見通しとなっている。同報告書は2030年に再生エネルギーは太陽光発電と海洋国家とし適地に恵まれている洋上風力の活用で総発電量の35%を占め、原子力発電は財政負担などで8%に留まるとし、こうした変化によって、いま計画が相次いでいる石炭火力発電の多くは建設されない、と指摘している。
 もう一つの重要な観点は、私たちは単に3・11の後始末をするといった後ろ向きの発想から「原発ゼロ」を目指しているのではないということだ。
 「大型集中発電装置は、恐竜(ディノサウルス)のように早晩死滅するので、新しいエネルギー革命に乗り換えるべきだ」との考えを明らかにしたのは世界トップの投資銀行であるUBSであった。これを裏付けるような大胆な目標を掲げたのは中国である。中国の国家発展改革委員会(NDRC)に属するエネルギー研究所と能源基金会(EFC)が今後中国は太陽光や風力などの再生可能エネルギーの強力な導入をはかり、2050年にはエネルギーの60%、電力の85%を賄うという野心的な計画を発表したのは2015年4月だった。なお、NDRCは中国の最も重要な政府機関であり、この計画にはアメリカのエネルギー省が3年にわたって綿密な協力をしてきてもいる。
 いまや再生可能エネルギーは補助的なものではないことを心すべきだ。ケニアでは国内の電力需要の半分近くは地熱発電で賄っている。バングラデッシュではあのノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が太陽光パネルで農村を電化する大規模な運動を展開し、二年前のデータでも1分間に2軒の勢いで太陽光パネルがバングラで設置されている。アジア、南米だけでなく中東の産油国でも再生可能エネルギーの導入は始まっており、原発大国フランスでも今後5年間で1,000kmの道路を太陽光発電道路にする。
 私たちは、これまでの原発推進施策と「原発、この道しかない」という安倍政権のマインドコントロールから逃れ、広く世界の現実に向き合って、根本的に発想を変え、再生可能エネルギー導入の新しい競争に参入する、能動的な選択をすべきだ。それがヒロシマ・ナガサキ・フクシマを経験した私たちの積極的な世界への関与の仕方であり、核の犠牲者を三度生んだことへの責任に対する私たちの回答である。

2017-06-01 | Posted in 日記No Comments »