2017-02-17

日本は「同盟国」ではなく「人質を取られた国」。オリバー・ストーン

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 国際情報サイト「フォーサイト」が、『日本は「同盟国」ではなく「人質を取られた国」』という衝撃的なオリバー・ストーン監督のインタビュー記事を配信している。
 監督は最近、米国家安全保障局(NSA)元職員だったエドワード・スノーデンを題材にした映画『スノーデン』を作成、現在日本でも公開されている。

 2013年6月、英紙『ガーディアン』が報じたスクープが世界を震撼させた。NSAが世界中で電話を盗聴し、メールやSNSなどの通信を傍受。同盟国も例外なく対象となり、ドイツのメルケル首相、日本では官房長官秘書官や財務省、経産省、日本銀行、そして大手企業らの幹部の電話が盗聴されていた。その事実を同紙に告発したのが、NSAの職員だったエドワード・スノーデン。

 映画は、彼が告発に至った動機や葛藤、公表を阻止しようと焦る米英政府の凄まじい圧力の様子などを描いている。監督は映画作成の前にスノーデンとモスクワで9回面談しているという。その面談の最中に映画を作らなければと思い至ったと言う。
 冒頭の衝撃的なタイトルは、「日本を含めアメリカの同盟国と言われる国々は、僕は現実には同盟国ではなく「アメリカに人質を取られた国」だと思っている」というインタビューでの監督発言の一部分。なぜ監督がそう思うのか。

・・・「すでに始まっているサイバー戦争」
 スノーデンはNSA在職中の2009年、在日米軍の横田基地で勤務していた。映画では、日本の通信網を支配し、送電網やダム、交通機関などインフラ施設をコントロールする『スリーパー・プログラム』を仕掛けていたという本人の告白場面がある。日本列島の南から順に街全体の灯が消えていき、すべて真っ暗になる映像に、『日本が同盟国でなくなる日が来たら、“消灯”』というスノーデンの台詞……。これはどこまで真実なのか。

 僕(監督)は、彼が語ったことはすべて真実だと考えている。NSAは当初、すべてを監視したいと日本政府に申し入れたが、日本政府は拒絶したという。しかしそれでもかまわず盗聴・監視し、民間の様々なネットワークにプログラムを仕込んでいた、と彼は語っていた。ただ、原子力発電施設に関しては彼の口からは何も聞いていないが、僕自身は、恐らく別のやり方で何かをしているのだと思っている。
 また彼は、メキシコ、ブラジル、ベルギー、オーストリア、ドイツ、そしてイギリスも含んでいたと思うが、同じようなプログラムをすでに仕掛けているとも言っていた。これはもはやサイバー戦争だ。
 現実にそうしたサイバー戦争は始まっており、そのすべてをアメリカがリードしている。その事実に僕らはもっと目を向けるべきで、スノーデンはそこに気づかせてくれた。
日本ももし同盟関係から離れることになると、スノーデンが語ったような「脅し」を受ける事態になるのだという、極めてセンシティブな状況、問題であるということを日本の皆さんにもよく考えてほしい。・・・

 怖い話である。
 そして監督は次のように言う。
・・・日本は第2次世界大戦以後、とにもかくにもアメリカに従順で、アメリカのメディアのことを信用しがちである。これはアジア全体にも言えることだが、ヨーロッパはそうではない。そういう意味で、僕は日本にはまだ主権がないのだという印象を持っている。
 実は今回の映画は、単にスノーデンの物語ではなく、世界の現状はこうなっているのだということを切り取って皆さんにお見せしている作品だと思っている。だから、日本にももっとアメリカに対して疑問を感じてほしい。もっと言えば、安倍晋三首相にもそうあってほしいのだが、残念ながら彼もまだそうなっていないように感じる。・・・

 安倍総理が異常に固執する日米同盟。情けないくらいに擦り寄る姿に国内外から様々な反応がある。しかし総理がさかんに使う「(日本には)この道しか無い」という一節。これも監督のインタビューを読んだ後では、アメリカからの「脅し」を知っているからこその総理の言葉に思えてしまう。

 アメリカはトランプ大統領の政権に移った。新大統領はアメリカを変えられるか?
 監督は、こう結ぶ。
・・・僕はトランプ大統領自身には悪意は感じない。むしろヒラリー・クリントンのほうがイデオロギーを持っているから注意が必要だが、トランプはあくまでもビジネスマンだと思っている。たとえばヒラリーはロシアや中国に対してイデオロギー的にもの凄い憎悪を感じていて、それが逆に危険なのではないかと思っていた。その点では、トランプはビジネスマンとして単純なディールの感覚で臨んでいくのだろうと思うし、僕もそうあってほしいと思っている。いずれにしろ、この政権はまだスタートしたばかりなのでどう変わっていくか分からないが、それだけによく見極めていきたいと思っている。・・・

 僕(監督ではなく私)はこのブログで何回もマスコミのなせる技を書いてきた。マスコミはある種の偶像を作り続ける。それはアメリカも日本も同じだ。そんなマスコミと新大統領は死闘を演じている。どっちが勝つか。その結末は4年後のトランプ再選の是非までに必ず決着が着く。それ以前に、恐れられているアメリカを震源とする再びの金融危機が起こるかもしれない。
 政権に太刀打ちできない野党はじっと見守るしかないのか。やれることをやるしかない。それぞれの持ち場で。

2017-02-17 | Posted in 日記No Comments »