日記

「鵜呑み」は「思う壺」ということ。

 このコラムを読んでいただいている皆さんは、どちらかというと「?」を付けながらマスコミ情報に接しておられる方が多いと思うのですね。
 そこで、日頃私めが読んでいる大マスコミとは別のブログからの情報を提供して、「鵜呑みは思う壺」という話を。
まず最初は、自ら投資家であり金融評論家の山口正洋さん。山口さんは数々の修羅場を経験したまさにプロの投資家。安倍政権の金融政策にはどとらかと言えば(どちらかと言えばですよ)否定的な方。
 「自国通貨が下落して喜んで、株価が上がるなんて酔狂な市場は東京だけ」と指摘。その酔狂な理由は輸出株が上がる、という事だが、山口さんは、輸出株は「全銘柄の8%しかない訳で(海外売り上げ比率が50%以上の企業)全く何を考えているのやら・・・」と。
 「円安になれば上がる、円高になれば下がる、という相反するリアクションをする投資家が多いのに呆れるが、それが現実なのだから短期売買の人々はそれについていくしかないので、結果更にその動きが増幅されるということになる。単純と言えば単純なんだか、納得できない市場にお金を投じるほど人は金持ちではない」。
 日本の官製相場に嫌気がさし日本市場から逃げ出す外国人投資家は、きっとこんな気持でしょう。

 次に主に国際情勢の分析をされているジャーナリスト、田中宇さんの話。
 マスコミ慣れた人からすれば間逆な話になってしまいます。
 もともと田中さんは、米国の国防総省を中心とする軍産複合体がシリアやイラクの内戦の裏にいると指摘されています。そこで最近始まったイラク政府のモスル奪還の攻撃について。
 ISが14年にモスルに侵攻した時、イラク政府軍やイラン人の軍事顧問団は、ISと全く戦わずに遁走しました。そんなイラク政府が今回、モスルをISから奪還する戦いを始めたのは不思議なのです。その理由を田中さんは「イラクに影響力を持つ米政府(軍部)がモスル奪還をやりたがっているからだ」と言います。ではなぜ米軍部がそう思うのか。
 それは「米国は、モスルを奪還してISをイラクからシリアに追い出し、これから露・シリア軍との戦いになりそうなシリア東部にISを結集させて負けないように強め、ISがシリア軍に勝ってアサド政権を転覆するところまでやらせたい」のではないかといういくつかのメディアの指摘をみつけ、腑に落ちたそうです。
 米政府は以前から何度も「間もなくモスル奪還戦に入る」と宣言し、ISに対し「シリアに逃げ込むなら今のうちだ」という信号を送り続けています。ロシア政府筋によると、米国とサウジアラビアは、イラクにいる9千人のIS兵士が無事にシリアに移動できるよう、安全回廊を用意してやったそうです。
 そして米大統領選に立候補しているドナルド・トランプさんが討論会で、「オバマ政権がモスル攻撃の予定を事前に発表しているのは、ISに準備期間を与えてしまう利敵行為だ。なぜこんな馬鹿げたことをするのか。私が大統領になったらこんなことはしない」と発言しました。確かに至極当然な意見です。しかし、これに対し、「クリントンでなく討論会の司会(テレビのキャスター)が、「何らかのきちんとした理由があるはずよ(素人のくせに勝手に批判するな)」と、トランプに食って掛かったのが、マスゴミの偏向ぶりを象徴していた」とします。米国のオールマスコミはクリントン支持という構図も裏になりかありそうです。

 最後は、ジャーナリストの高野孟さんの「つくり上げられる中国脅威論」について。
 日経新聞は「習近平の支配」というシリーズを掲載しています。その中で、「8月上旬、200隻を超える中国漁船が尖閣諸島地域に押し寄せ、その中に海上民兵がいて、一部が中国公船と日本領海に侵入した」という記事を書き、中国脅威の雰囲気を醸成させているようです。
 そこで高野さんは、「海上民兵とは何か」として日経の中国脅威誘導記事を批判しています。
 「海上民兵という単語が独り歩きし、あたかも彼らが、中東情勢の文脈で出てくるような、宗教団体や政治団体等の「民兵」と同様に非政府組織の武装グループとみている人がいる。或いは一般の将兵を超える特別な戦闘力を持った特殊部隊、例えば、映画「ランボー」に出てくるコマンドゥのような怪しい戦闘集団の兵士が「漁民を装って」潜入し、秘密の作戦により敵をかく乱するといったストーリーを思い描いている人もいるようだ」(北京の駐在武官を務めたことのある自衛艦隊司令の山本勝也さんの「海上自衛隊幹部学校の戦略研究会コラム14年12月8日付No.056「海上民兵と中国の漁民」」から引用)。
 続けて山本さんの話。
 「しかし実際の海上民兵はそのようなものではない。端的に言えば、海上民兵は漁民や港湾労働者等海事関係者そのものであり、彼らの大半は中国の沿岸部で生活している普通のおじさんやお兄さんたちである。「海上民兵が漁民を装う」というのは大きな誤解であり、漁船に乗った「海上民兵は漁民そのもの」である」。つまり海上民兵とは普段は他に職業を有し、必要に応じて軍人として活動する、いわゆる「パートタイム将兵」なのです。ですから漁船の中に「海上民兵」がいたとしても全く不思議ではありません。
 では「いた」とする海上民兵はそのとき「民兵」だったの「漁民」だったのか。そこは、「民兵が民兵として、つまり軍隊として行動する場合、国際法に則り、定められた軍服(階級章などに「民兵(MingBing)」を示す「MB」が付加されているほか人民解放軍現役部隊に類似)等所要の標章を着用して活動する。戦闘員である民兵が「自己と文民たる住民とを区別する義務を負う」ことは中国を含む国際社会の約束である。 仮に、人民解放軍現役部隊の将兵や民兵が、戦闘員としての身分を明らかにせず、「一般の(民兵として活動していない、非戦闘員である)漁民」に紛れ込んだり、一般の漁民を盾にして活動することがあるとすれば、中国は国際社会から強い批判を浴びることになるだろう……。」と山本さんが指摘いる通り、本来の生業である「漁民」として船にいた。高野さんは、そういう意味で「漁民の中には海上民兵の有資格者が多く混じっていて不思議はない」と指摘しています。
 漁船と一緒に日本領海に入った中国公船については・・・
 「「日中漁業協定」に基づく「暫定措置水域」の取り決めに従って、禁漁期が明けて「金儲けしか考えない数百隻の中国漁船の中には尖閣の(日本側が主張する)領海内に乱入する者が出かねないので、それを防ぐために出動」(中国側説明)したのであり、確かに漁船の一部と中国公船が尖閣領海内に入ったには違いないが、それはそこに入った漁船を領海外の暫定措置水域に押し戻すために公船が行動しただけのことであり、別に両者が相携えて入ってきたわけではない」というのが真実のようです。さらに高野さんは、「しかも、尖閣は中国のものであるという中国本来の主張からすれば、日本が主張する尖閣領海に中国漁船が入っても放置して好きにさせておくこともできるのだが、一応、日本の領海主張を尊重して余計なトラブルが起きることを防いだのである」と言っています。

 以上、どうでしょう。日頃のマスコミ報道からすればまるで反対の話ですね。まさに「鵜呑み」は誰かの「思う壺」にハマってしまうことになります。気をつけましょう。

2016-10-24 | Posted in 日記No Comments » 
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