日記

「闘う政治家」になりたい政治家。

わたしは政治家を見るとき、こんな見方をしている。それは「闘う政治家」と「闘わない政治家」である。「闘う政治家」とは、ここ一番、国のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家のことである。・・・初当選して以来、わたしは、常に「闘う政治家」でありたいと願っている。それは闇雲に闘うことではない。「スピーク・フォー・ジャパン」という国民の声に耳を澄ますことなのである。(安倍晋三著「美しい国へ」はじめに—「「闘う政治家」「闘わない政治家」」より)

昨日の決算委員会で同僚の小西議員が質問に立ち、集団的自衛権行使容認についての政府見解をただした。総理から解釈変更を命じられ、自身も容認派の小松内閣法制局長官が長々と答弁を行う。当然ヤジがとぶ。それまでいたって冷静に対応していた安倍総理の態度が一変。ヤジに反応した。

「外野は黙ってなさい」。なんと自席に座っている総理が、傍聴議員に対してヤジで応戦したのだ。

「端的に応えて」。小西議員が長い答弁を繰り返す法制局長官に促す。

「丁寧、丁寧に応えなさい」と今度は長官に諭す総理。丁寧にとは、長く応えなさいという意味であるのは誰にでもわかる。総理のほぼ正面に座っているわたしには、その声がはっきり聞こえてしまう。

「答弁者に何を変なこと言ってんですか。総理がそんなこと言っちゃだめだ」とわたしが声を上げた。すると。

「アシストしてんです。アシスト!」と総理が答える。

小西議員の持ち時間を示すデジタル掲示板が3分くらいのところで、総理が答弁に立った。途中から脈絡のない答弁を執拗に繰り返す安倍総理。ちら、ちらっと掲示板を見る仕草で、時間稼ぎしていることがわかる。怒号の中、持ち時間表示が0になったのを確認して、総理が答弁を終えた。

気持ちが収まらない小西議員。持ち時間を超えて話す。すると「時間だ。時間だ。時間を守らせて、委員長」と手を大きく振る安倍総理。とても総理大臣とは思えない態度に情けなさを感じつつ、劣化する政治の現実に愕然とした。

小松法制局長官の長い答弁は、これまでの内閣法制局の「集団的自衛権行使は憲法違反」という解釈を、安倍内閣で変えると言わんばかりの内容であった。時に笑みさえ浮かべる、総理と閣僚の面々の態度は傲岸不遜としか言いようがない。この内閣に何を言ってもしかたがない。自らの考えこそが正しいと思っている。そして、本気なのだ。特定秘密保護法案も集団的自衛権行使容認も憲法改正も本気でやる気なのだ。それまで一縷の望みを持っていた。世論の反対に勢いがでてきた中で、特定秘密保護法案は審議未了廃案に追い込めるかもしれないという思いは、この瞬間消し飛んだ。

このブログを書いている今、その思いはもう現実になっている。つい先ほど衆議院の特別委員会で採決が強行され、間もなく衆議院本会議が開かれ、ここでも強行採決されるであろう。これほど問題があり、マスコミも学者も弁護士も、ありとあらゆる人々が反対し、昨日福島で行われた公聴会でもほとんどが反対意見であったにもかかわらず、強行採決で押し切った与党に正義はない。

あるのは「闘う政治家」でありたいと願う政治家の、自分の考えこそ国のためなのだという傲慢さだけである。「闘う政治家」になりたいと自らを鼓舞する政治家には、国を担う度胸も度量もなかった。そう思って冒頭の安倍晋三の文を読み返す。育ちのいい男から漂う薄っぺらな正義感がぷんぷんに臭う。

この内閣は一刻も早く退陣させなければなない。さもないと日本が日本では亡くなる。決して「美しい国へ」導かせてはならない。

それができるか。

2013-11-26 | Posted in 日記2 Comments » 

コメント2件

 レア真海 | 2014.02.14 13:53

委員会での中の様子を、わかりやすく書いてくださり、ありがとうございます。ちょっと遅くなりましたが、この記事を、拙ブログで紹介させていただきたいと思います。
実はさきほど、事もあろうに、一国の首相が、憲法の基本原理ともいえる立憲主義を否定したという記事を読み、それをまとめているところです。
そのようなことを言い出す人間は、いったいどのような人となりであるのか……本当におっしゃるように、一刻も早く退陣させなければなりません。心の底からそう思います。

 etakashi | 2014.02.14 14:30

レア真海さん ありがとうございます。どうぞお願いします。お互いがんばりましょう(^.^)

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