日記

政党政治は崩壊寸前。首相問責の真相。

想定の範囲だが、今朝の新聞は昨日の首相問責と法案不成立を野党、特に民主党の責任にする論評が目に付く。率直に言って、自民に「まんまとしてやられた」感が強い。しかしこれで安倍政権を肯定してしまっては、参議選の結果しだいでは、おそらく次の3年あまりの間にまっとうな政党政治は崩壊する危険性を感じざるを得ない。
ことの発端は政権交代前の当時の野田総理と安倍総裁の公開討論から始まる。当時の野田総理は解散の約束として、税と社会保障の一体改革、区割り法案だけではない抜本的な選挙制度改革をこの通常国会で実施することを提案。これを安倍総裁は飲んだ。そこで解散となったわけだが、選挙で大勝利し政権についた自民党は、このことを忘れたかのように、選挙制度、社会保障について本気で議論する姿勢は全く見せなかった。これはどんなに第3者的にみても自民が悪い。
通常であれば、与党は法案を成立させるべき立場。しかしねじれに苦慮して辞めざるを得なかった安倍総理は、「勝利確実な参議選を経て、ねじれ解消状態の秋以降に与党主導ですべて決着させる」と思っているだろう。「絶対多数状態ですべて思い通りに決めてしまいたい」のだ。私が政党政治の崩壊間近というのはそう感じるからだ。
話を戻そう。与党が本気で議論しないまま、国会は終盤を迎える。衆院での予算成立を会期内自然成立可能な日までギリギリまで遅らせ、参院に送る。参院では当然、時間が取れない。国対間では約束したテレビ入りの集中審議もズルズル引き伸ばしにかかる。そしてとうとう委員長の職権で開催を決めることになった。なぜ与党はここまで予算委員会を執拗に拒否したのか。実は噂だが、総理の健康状態が影響しているとの話がある。もともと潰瘍性大腸炎という難病を抱える総理の健康状態は深刻だという。様々な薬の影響もあり、精神的に極度の緊張に耐えられない。だから予算委員会で詰められたときに激昂して何をいうかわからない。野党が強い参院には出したくない、出たくない、との噂だが。仮にそんな健康状態なら安倍総理は激務によく耐え、頑張っていると思う。
民主党の石井委員長の職権発動で週明けの24日に委員会開催を決め、政府側に通知する。こうなるともう断りきれない。出席しなければ憲法違反となる。まさか健康上の理由とは言えない。そこで出た戦術が驚く。ややこしい話だが、続ける。
21日にもう一つの重要法案である0増5減の衆院区割り法案が、参院での審議期限切れを迎えた。この日がちょうど衆院成立後60日となり、参院が採決しなくても再び衆院で再可決成立させることができる。
与党はその日の審議日程を決める議運で区割り法案を採決させない方向で引き延ばす。野党側は採決しろとして折り合いがつかない。とうとう野党は採決しないでいいから、本会議を開き、他の法案だけ成立させることを提案。つまりここで民主党は区割り法案に対する参院の意思決定は不可能と判断したことになる。しかし与党は、まだ協議を続けようとする。話は平行線。自民党の委員長は多数決での決定を選択。結果、野党の主張どおり、区割り法案以外を審議し終了後は本会議は「散会」となり、その日はもう開かれない。
そして本会議。粛々と進み、議長は散会を宣言する。ところが与党がこれに反発。「区割り法案採決に向けて、まだ努力の余地あり。散会ではなく休憩にして午後も協議を続けるべきところを散会にした議長の責任は大きい」として議長の不信任決議案を提出するという思わぬ戦術に打ってでたのだ。
面白いことに、この時点で24日の予算委員会開会は決まっているので、当然質問者は政府に事前通告するが、政府はこれを拒否する。つまりすでに安倍総理をふくむ閣僚は予算委員会欠席を決めていたことになる。
24日当日。政府は不信任案状態を「参院不正常」とし、「不正常な参院の予算委委員会には出席できない」と委員長職権を拒否する。これは明確な憲法違反ではないか。参考までにその憲法は、これ。
※憲法第六十三条
内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

「どうせ改正する憲法だ。違反しても構わない」とでも考えているのではないかとうがって考えてみたくもなる。平田議長は自民党の議運委員長が裁定したことを実行したにすぎない。それをもって不信任案を提出し、それをもって議会不正常だから総理が参院予算委員長からの出席要請を拒否するとは、空いた口がふさがらない。
憲法違反し政府が最高機関である立法府を無視したことになる。
当然野党は反発。そんな総理は問責に値すると問責決議案を提出しようとする。ここで与党ずれした民主党は、「責任ある野党として最後まで法案を成立させる責務がある。そうでなければ何でも反対の野党と批判され参院選にマイナス」との執行部判断で、問責の趣旨には賛同するも発議者にはならないという中途半端な対応をとってしまう。理由は、民主党が賛成に回ると問責決議案は可決する。可決すれば慣例で国会はすべてストップする。この日決めるべき重要法案である電気事業法案や生活保護法案などは審議未了で廃案となるからだ。
当然この姿勢に民主党議員の少なからずが反発するが、民主党が抜けた形で決議案が提出される。この時、民主党執行部に「おそらく自民党は問責決議案審議に応じない。」との読みがあったのではないだろうか。
つまりこの時点で、議長不信任決議案と首相問責決議案の二つの決議案が参院に提出されている。この扱いをどうするかで議運が紛糾し、10時の開会時刻を過ぎても決まらない。議長不信任案を否決して、問責は審議せず、残りの法案を午後に採決するという道筋が描かれると誰も思っていた。
ところが急転直下。与党は問責決議案審議を了解する。こうなったら民主党の立場はない。審議したら反対とはならない。賛成するしかない。結局、自民党の「やるんならやってみろよ」の開き直り戦術に乗らざるを得なくなってしまった。
11時15分に始まった本会議。議長不信任決議案を否決。首相問責決議案を可決して事実上今年の通常国会は閉会した。
部屋に戻れば、「都合により◯◯委員会は中止となりました」の館内放送が虚しく響くだけだった。

とここまで長々と書いてきたが、以上が問責決議までの私が把握する真相である。すべてがシナリオ通りにことが運んだとは思えないが、局面局面の判断が流れを決めて行く。もちろん自民党には自民党の言い分があろう。しかし、結果だけをみれば自民党に民主党が相撲を取らされたようなもの。勢いに乗る時はすべてが味方をする。今の自民党はどんなに横暴しても許されるという世界に入ってしまった。政党政治の崩壊は参議選の結果次第では早まるだろう。

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2013-06-27 | Posted in 日記No Comments » 
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