2021-06-14

風立ちぬ No12 冷めやすき人々

 2014年7月1日に安倍内閣は集団的自衛権行使容認の閣議決定を行っている。それから1年後の7月16日に集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法案が衆議院で強行採決された。今日紹介する「風立ちぬ」は強行採決から6日後の2015年7月23日に書いたものだ。
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 7月16日、安全保障関連法案が衆議院で強行採決された。国会周辺では日に日に抗議の声が高まっていた。そんな中での強行採決だった。昨日、福岡県選出の自民党の議員と話をした。彼は、「反対運動は長くは続かない。これまでもいつもそうだった」と話す。おそらく政権もそんな思いだろう。
 そんな折、東京新聞社に対して抗議の声が相次いだという。抗議の内容は東京新聞の社説に対してであったそうだ。その社説は安保関連法案と与党の姿勢を批判をするものであった。抗議は保守層からのものではない。なぜ多くの抗議が寄せられたのか。
 社説は冒頭に「それでも法案は強行採決されるだろう」と述べていた。抗議はその一文に対してだったそうだ。この抗議の話をした同新聞社の論説委員は、「(抗議が寄せられるほど)新聞に対する反応は確かに良くなってきた」と言う。つまり読んでもらっているということ。しかし一方で「テレビはそうではない」と続けた。安保関連のニュース番組では視聴率は低迷状態だという。「反対の意識は高まってきたが、もうワンブレイク必要だ」とも言った。
 だとすれば「どうせ長くは続かない」とする自民党議員の分析はあたっているのだろうか。
 議事堂の前のもう当たり前になった抗議行動は、まず「戦争をさせない1000人委員会」から始まり、シールズに引き継がれる。シュプレヒコールの調子もガラッと変わるし、集まる人々も老若男女入り乱れる。そして声も「廃案」から「安倍退陣」に変わってきもしている。その光景を見ていると、これらの人は決して「冷めやすき人々」とは思えないのだ。なめた相手をみかえすためにも「熱き人々」であり続けなければならない。

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 衆議院の強行採決から法案は参議院に送られた。国会は延長され、季節は夏から秋に。議事堂前の抗議行動は日を追うごとに激しさ増していた。しかし2015年9月19日午前2時過ぎ、ついに安全保障関連法案は参議院で強行採決され成立した。国会周辺に抗議に集まった人々は10万人以上と言われる。
 あれから約6年。首相は安倍さんから菅さんに変わった。民主党も民進党に変わり、今は立憲民主党と国民民主党に別れた。国政選挙も第48回総選挙(2017年10月22日)と第25回参議院選挙(2019年7月1日)の2回行われた。何か変わったか。あの国会を取り巻いたエネルギーはどこに向かったか。
 国会は何も変わらず、ただ無力感のみが広がっている。政権に物言えぬ与党議員、何を言っても数の力で跳ね返されるのを経験するしかない野党議員。与野党関係なくこんな話を良くする。「これは戦前と一緒じゃないだろうか。おそらくこうやって戦争に突っ込んでいったんだろう」と。
 菅首相は言っている。「国民は忘れっぽい」と。
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2021-06-07

風立ちぬ No11 国会のお蕎麦屋さん

 国会議員は衆参合わせて717人。公設の議員秘書は3人だが、1人は地元にいるとして、私設秘書もいるので少なく見積もっても議員1人に秘書は2人とカウントする。すると1,434人。これに国会職員、衛視(両院を警備する特別公務員)に民間委託のガードマン、各党職員にマスコミ関係者などなど、ざっとみつもっても1,000人は超えるだろう。そうすると3,000人を超える人々が国会や議員会館周辺で日常的に活動していることになる。これに日々の陳情者などを加えると結構多くの人が集まっていることになる。さしずめ国会村といってもいい。
 これだけの数の人の消費需要、例えば胃袋を賄うだけの供給体制は周辺には完備されていない。飲食店やスーパーなどのお店は全くないと言ってよい。無いことはないが赤坂まで出なければならない。このため国会や会館内にはそれなりのお店がそれなりにある。国会に国会食堂がある。ここは「中華そば」から「うな重」、「寿司」まで揃う。お寿司はカウンターで握ってもくれる。会館にも食堂があり、ここもメニューは豊富。この2つでそれなりの人の胃袋を賄っている。ただしお味は普通。料金は高くもないが決して安くもない。つまり微妙な設定なのである。これ以上まずかったら、これ以上高かったらだめでしょうのラインを微妙に保っている。
 個人的におすすめは、たまに来る舌の超えた友人が褒めた国会食堂の中華そば。500円ほどだが昔風の醤油ラーメンで、食してみる価値はあると思う。
 秘書や衛視さんに人気があるのは国会参議院側にある2つの蕎麦屋さんだ。人気なので衆議院から食べに来る人もいるようだが、議員仲間には意外とその存在を知らない人も多い。1つは国会の地下にあり、もう1つは俗称「陸橋下」の通路にある。陸橋下とは横からその通路を見るとなぜだか知らないが屋上が橋の欄干のようなデザインなので、そう呼ばれているらしい。
 ここの蕎麦屋の名物は盛り蕎麦。何と言っても一本一本が長い。1メートル以上はある。1.5メートルという人もいる。余りに長く切れないので、つゆに浸すのに立ち上がらなければ浸せない。信じてもらえないかもしれないが、決してオーバーな表現ではないのだ。だから量も多い。ここの大盛り蕎麦を頼もうなら完食するのが大変である。一度食べたが、もう蕎麦を見るのも嫌になった。
 そば好きで興味のある方は案内します。

・・・2015年6月記
 追記 最近気づいたのだが、そばの長さが短くなったような気がする。残念なのだが、やはり食べにくかったのだと思う。

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2021-05-31

風立ちぬ No10 本当は怖い政治の話 

 2012年末に政権を奪取した安倍首相(当時)は翌13年にアベノミクス「成長戦略」として「女性活躍社会」に言及した。その背景があってであろうが、2014年9月3日に発足させた第二次安倍改造内閣で小渕優子経産大臣、高市早苗総務大臣、松島みどり法務大臣、山谷えり子国家公安委員長兼拉致担当、有村治子女性活躍担当の5人の女性閣僚を誕生させ話題をさらう。ところがその翌月の10月20日、午前中に小渕優子経産大臣、午後に松島みどり法務大臣が相次いで辞任するというハプニングが起きたのだ。わずか一ヶ月余りのスピード辞任、その裏には恐ろしい政治の舞台裏があるのではと当時「ふかよみ」してみた。

 一挙5人の女性閣僚の誕生は9月の安倍内閣人事の目玉であっただけに、政権にとって痛手になったことは間違いない。しかし、この辞任劇をよくよく考えてみると本当は怖い政治の現実が見えてくる。
 5人の女性閣僚の中で辞任した2人は夫婦別姓賛成。残った3人はいずれも夫婦別姓に反対する筋金入りの右寄りの保守であり、安倍首相の思想と重なる。
 さてその一人松島みどり法務大臣(当時)を、民主党(当時)は地元選挙区で団扇を配布した行為は公職選挙法違反にあたるとして刑事告発した。告発にあたって民主党議員が地元で聞き取り調査をしたが、「これは完全にアウトだな」とすでに配布のときから声が出ていたという。
 配ったものが「団扇」であれば配布禁止の有価物となり有罪となる。よって松島さんは、「団扇のようなもの」と永久に否定し続けなければならない。予算委員会の場でそんなバカげた議論が繰り広げられた。「つまらない議論するな」と言った声もあったが、決してつまらない話ではない。
 松島さんは、法を司る権限と責任を持つ法務大臣。12月に施行されるあの特定秘密保護法の所管大臣でもある。死刑執行の判断もくださなければならない。明らかに法律違反の行為あるだけに、団扇を「団扇のようなもの」と言い続けなければならない人物にこの国の要職を任せていいはずがない。
 松島さんは最後まで辞任を否定していたが、同じ日に2人辞めた方が世論の注目も短くて済むし、小渕さんの辞任の方が注目度も高い。松島さんは総理と同じ町村派だが、午前中に小渕さんが辞任したことで官邸がすぐに印籠を渡し、団扇議論の幕を引いたのではないだろうか。ただ松島さんは安倍首相が嫌いな朝日新聞の出身でもある。
 一方の小渕優子さん。松島法務大臣の団扇疑惑発覚の後に政治資金問題が表に出、それがあれよあれよととんでもない額の疑惑に発展し耐えきれず先に辞任した。これまで安倍内閣の閣僚不祥事はあまり表に出てくることはなかった。というより官邸がもみ消してきたのだと思う。それほどマスコミに対し力を持っていたはずだが、それがなぜ今度の組閣で噴出したのか。特に一番まともな女性閣僚だと思われていた小渕さんが真っ先に辞めることになるとは。
 話は転回する。小渕さんの父、故小渕恵三は旧田中派の流れの経世会の本流。一方の安倍首相は敵対する清和会である。経世会強き時代、清和会は党内でも厳しい立場に追いやられ、権勢逆転したのは小泉内閣の誕生からである。小渕さんは小泉首相の時の郵政民営化法審議は投票を棄権しており、直後の解散総選挙では民営化賛成の誓約書の署名に最後まで抵抗した。夫婦別姓賛成であり、私は当時の国会答弁を聞いていて原子力の再稼動にも積極的賛成ではなかったのではないかと思っている。何から何まで安倍首相とは相容れないのである。そして小渕さんの人気は高く、初の女性首相ではとの声も上がっていた。
 もともと小渕さんは今度の閣僚入りを固辞していたと言われる。それを無理やり説得して入閣させたのは、他ならぬ安倍首相だった。
 閣僚選考に際しては身辺調査が行われるのは常識のこと。言い開きのできないほど杜撰な政治資金の管理を官邸は把握しきれていなかったのだろうか。「知っていた」と考えるのが普通だと思う。そう考えると怖い舞台裏が見えてくる。
・・・国民に人気のある女性政治家の筆頭は小渕優子衆議院議員。女性活躍社会を目玉に上げる安倍首相は小渕人気にあやかりたいので固辞する小渕を説得し、思惑通り大臣を承諾させた。それも経産大臣に。原発推進にあまり賛成ではないような小渕がどう指導するか見ものではないか。加えて小渕優子には父小渕恵三から続く杜撰な政治資金管理の問題もある。小渕人気を使ってのサプライズ人事で支持率を上げ、資金管理の問題に火が付けば閣僚辞任でよい。郵政民営化に反対し、夫婦別姓にも賛成する経世会の人気者を潰しておくことが肝要。・・・あくまでも独り言であるのだが。でも小渕さんは未だ表舞台には出てきません。

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2021-04-26

風立ちぬ №9「本当の勇気とは」・・・なかにし礼の詩から

 69回目の8月15日、千鳥ヶ淵墓苑の追悼集会であいさつをしたとき、サンデー毎日(7月27日号)に掲載されたなかにし礼さんの「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」を引用した。
 集団的自衛権行使の必要性を語る時の安倍総理を初め容認賛成論者の口調。ヘイトスピーチに代表されるプチナショナリズム者のデモの叫びや巷に溢れる嫌中・嫌韓の本の言葉。
いずれも勇ましい。妙に勇ましい。しかし聞けば聞く程、読めば読む程心は渇く。君は本当にそれでいいと思っているのか?と問いたくなる。そんなに僕たちは強いのか?と。

「若き友たちよ!/君は戦場に行ってはならない/なぜなら君は戦争にむいていないからだ/世界史上初めて/69年間も平和がつづいた/理想の国に生まれたんだもの/平和しかしらないんだ/平和の申し子なんだ/平和こそ君の故郷であり/生活であり存在理由なんだ/平和ぼけ?なんとでも言わしておけ/戦争なんか真っ平ごめんだ/人殺しどころか喧嘩もしたくない/たとえ国家といえども/俺の人生にかまわないでくれ/俺は臆病なんだ/俺は弱虫なんだ/卑怯者?そうかもしれない/しかし俺は平和が好きなんだ/それのどこが悪い/弱くあることも/勇気のいることなんだぜ/そう言って胸をはれば/なにか清々しい風が吹くじゃないか/愛する平和の申し子たちよ!/怖れるものはなにもない/今こそ!/身を焦がす痛みに泣こう/泣きながら抵抗を始めよう/泣きながら抵抗しつづけるのだ/泣くことを一生やめてはならない/平和のために!」

 長い詩の最後の部分です。興味がある方はぜひ全文を読んでください。そして本当の勇気とは何かを見つけましょう。未来のために。・・・2014年8月19日記

 この年の7月1日、安倍政権は多くの反対を押し切って憲法違反といえる集団的自衛権行使容認の閣議決定を行った。国会での議論は尽きなかったが、国会を閉じ、その間隙を突いたような暴挙であった。戦後69回目の8月15日はいつもどおり暑かった。そしていつも以上に怒りが充満していたように感じていた。その日の戦没者追悼集会に立憲フォーラム代表で招かれ、あいさつをした。
 限られた短い時間、何を伝えようと考えた。すぐに頭に浮かんだのが、このなかにし礼さんの「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」の詩だった。反戦や平和を訴える私に浴びせられ続けてきた「平和ボケ」や「単独平和主義」といった罵声。どちらかといえば軟弱者扱いされ形見の狭い思いをしがちな私だが、それをどストライクで肯定し、抵抗とは勇気とは何だろうと考えさせてくれた。
 平和な時代に生まれ育った心やさしい若者たちに語りかける詩。軍事国家へと変貌しつつある日本の危険性を訴え、平和のかけがえのなさを歌い、弱き者が涙ながらに時代に抗うことを呼びかけた詩。何度読んでも勇気が湧く。
 そのなかにし礼さんも昨年12月23日に亡くなられた。82歳であった。私たちは、なかにし礼さんの思いをつなぐことができるだろうか。

ネット上で全文を探しました。こちらです。⇒「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」

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2021-04-13

風立ちぬ №7「わがまま坊っちゃんに率いられる不幸」2014/5/26

 オバマ大統領がやってきました。そして瞬く間に韓国に行ってしまいました。安倍、オバマの共同記者会見の全てがYouTubeにUPされています。通訳無しなのが残念ですが。
 見られた方は感じられたと思います。安倍総理が耳障りなほど「バラク」「バラク」と大統領をファーストネームで呼んでいたことです。彼に取っては、大統領との信頼関係をそんなことで表現したかったのでしょう。しかし、失礼なほど「バラク」を使う安倍総理が滑稽かつ情けなく思えてしまったのは私だけではないと思います。それに応える大統領の方が「シンゾー」とは言わず、「プライムミニスターアベ」や「ミスターアベ」と返していたから、なおさらです。
 大統領訪問が安倍政治に一石投じてくれることを期待していましたが、残念ながらそうはなりませんでした。というか大統領は記者会見の中で相当踏み込んで話をしていますが、我が宰相の方がてんで意に介していないのです。例えば、躍起になっている集団的自衛権については、安倍総理が「歓迎、支持すると大統領が言ってくれた」と話すのみで、大統領の口からは一言も聞かれませんでした。むしろCNNの記者から「中国への武力行使は?」は問われて、「レッドラインはない」と武力行使を否定しました。加えて日本では「尖閣の安保条約5条適用を大統領が言ったことは、画期的」と興奮しますが、「尖閣の領有権については関知しない」と大統領自らが突き放しています。大統領訪日ではっきりしたのは、「尖閣問題で中国を刺激するのはやめてくれ、何かあっても俺は知らないからな」と大統領が安倍総理を諭していたこと。しかし、総理は意に介さず、極めつけは記者会見の最後に「靖国」のことで持論を展開したことです。何とも情けない我が国の宰相の姿があらわになってしまいました。 ・・・2014年5月26日

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